名称 MIRS1205 標準ボード試験報告書
番号 MIRS1205-TECH-0002

最終更新日:2012.7.27

版数 更新日 作成 承認 改訂記事
A01 2012.7.27 岡本 牛丸教員 初版


目次






1.はじめに

MIRS1205班では、MIRS1205 標準ボード試験計画書に記載された計画に基づき、各ボードに対するテストを行った。
本ドキュメントは、その結果報告を記載したものである。


2.試験内容


試験対象の各々に対し、試験項目、試験内容、担当者名を示す。


試験対象 試験項目 試験内容 担当者 備考
電源ボード
  • 部品配置チェック
  • 導通チェック
  • 動作試験
MIRSSTND デュアルレギュレータ電源ボード製造仕様書 を参照 太田・小野 なし
ドータボード
  • 部品配置チェック
  • 導通チェック
  • 動作試験
MIRSMG3D ドータボード基板試験仕様書 を参照
その際 MIRSMG3D On/Off I/Oデータ取得試験プログラム を参照する
鈴木・中村 なし
モータ制御ボード
  • 基盤の確認
  • 試験プログラムの実行
MIRSMG3D MTCB試験仕様書 を参照 荻野・佐野 なし
超音波センサボード
  • 部品配置チェック
  • 導通チェック
  • 試験プログラムの実行
MIRSMG3D 超音波センサボード試験仕様書 を参照 岡本・山本 なし





3.試験結果

3.1 電源ボード

MIRS1205 標準ボード試験計画書 の電源ボードの実験方法に基づきテストを行った。
また、使用機器についても標準ボード試験計画書に従った。

3.1.1 部品チェック

MIRSSTND デュアルレギュレータ電源ボード製造仕様書 の実装図と、今回の試験で使う電源ボードを見比べて部品の取り付けの確認をした。
このとき、R2,R3の抵抗がそれぞれ1.5kΩ,4.7kΩに変更されていたので、この状態の出力電圧の値を測定した後、標準機の仕様(R2=2.0kΩ,R3=5.6kΩ)に変更することにした。

また、その他の部品については特に問題はなかった。

3.1.2 導通試験

テスターによる試験結果を 標準ボード試験結果[電源ボード](導通試験) の表にまとめた。
目視,テスターによる試験はどちらも特に問題はなかった。

3.1.3 動作試験

この試験結果を 標準ボード試験結果[電源ボード](動作試験) の表にまとめた。

標準機仕様の抵抗の制御系,駆動系の電源出力はどちらも目標である値(制御系は出力5.1[V],駆動系は出力6.1[V])より0.3〜0.5[V]程度大きかったが、
過度の大きさというわけではないため、特に問題はないと判断した。

また、抵抗R2,R3の値が変更されていた昨年の電源ボードの制御系の出力電圧の理論値を計算してみたところ5.4[V]となっていた。
このときの計算式はMIRS技術調査報告書を参照した。
実測値で確認したら5.8[V]となっていたので、標準機仕様の制御系の出力電圧より0.4[V]程度増えていることがわかった。
昨年の機体は超音波センサを追加して搭載していたため、電源出力を増幅させようとしたのではないかと考えられる。

なお、出力電圧の目標値と実測値に差が出たのは、CPUボードなどを接続せずに測定したためである。


3.2 ドータボード


ドータボードは去年のものを流用するので導通試験は省略する。

3.2.1 動作試験

動作試験における必要器具を以下に示す。

MIRSMG3Dドータボード2枚、CPUボード、FPGAボード、白線センサ、タッチセンサ、ディスプレイ及びケーブル、キーボード、安定化電源またはバッテリー2個、電源ケーブル

ドータボードの動作試験についての環境設定や動作手順は、
MIRS1205 標準ボード試験計画書の3.2.2 動作試験の項を参照。 これに基づき、動作試験を行った結果を以下に示す。

    ・全てのポートにセンサを取り付けない状態でプログラムを実行し、I/O[1〜8]、TS[1〜4]のすべてが1であることを確認。
    ・ポート一つづつにセンサを接続して、接続したポートが何もしない状態のとき信号0が出力されることを確認。
    ・白線センサに白い紙を5cm程度何回か近づけ、近づいたときに信号が1と出力され、離したときに0と出力されることを5回連続で確認。
    ・ポートTS[2]以外のタッチセンサに関して、センサに触ったときに1の信号が出力されることを5回連続で確認。

備考:
FPGAの影響でポートが1つ動作しないようなので、そのポートがどこかを調べた結果、ドータボード上段のTS[2]ポートが正常に動作しないことが判明した。
これはりFPGAのバグ原因だということなので、その他3つのポートをタッチセンサに使用し、TS[2]ポートは使用しないものとして注意する。以下にTS[2]ポートの位置の画像を掲載する。

TS[2]ポートの位置

また、既存のプログラムでは、センサの値をとるopen("/dev/irs_ts_ws", O_RDONLY)という部分がwhile(1)の前の行で使用されていたために、プログラムを実行したその瞬間のセンサの値を繰り返して表示するようになってしまっている。
そのため、プログラムをwhileの中でopenするように書き換え、プログラム実行中は逐次センサの値を読み取れるようなプログラムにした。以下に変更後のプログラムを掲載する。

変更後のプログラム


3.3 モータ制御ボード


3.3.1 導通試験

MIRS1205 標準ボード試験計画書の3.3.1 導通試験の内容通りに導通試験を行った。
試験を行ったモータ制御ボードは新規に作成した1枚についてであり、昨年MIRS1102で使用されたモータ制御ボードは試験していない。
使用器具:MIRSMG3Dモータ制御ボード、はんだごて、はんだ、はんだ吸い取り線、テスタ
導通試験は目視とテスタの2回のチェックを行った。またこのとき、ICを実装せずに行った。
結果は目視、テスターによる試験はどちらも特には問題なかった。

3.3.2 動作試験1

MIRS1205 標準ボード試験計画書の3.3.3 動作試験1の内容通りに試験を行った。
USART.hexをPICに書き込みシリアル通信のテストを行うために
MIRSMG3D MTCB試験仕様書から試験用プログラムを解凍し、その中にある
siotest.cというLinux用アドレス指定アクセスプログラム(シリアル通信回路用に調整済み)
を用いシリアル通信が正しく動作しているのかをテストした。このテストはうまく動作しなかったが
MIRSMG3D 走行制御試験プログラムの走行制御試験プログラムであるmotor_testを実行したところプログラム通りに動作したため
シリアル通信が正しく動作していると確認できた。

3.3.3 動作試験2

MIRS1205 標準ボード試験計画書の3.3.3 動作試験2の内容通りに試験を行った。
MIRSMG3D MTCB試験仕様書にある試験用プログラムのRE.hexをPICに書き込み、ロータリエンコーダ読み取り部のテストを行った。
使用器具:MIRSMG3Dモータ制御ボード(2枚)、電源ボード、ドータボード、電圧安定化電源装置、NiCdバッテリー
結果、手動によってモータを回転させるとモータ制御ボードのLED1が正転なら点灯、逆転なら消灯することを確認した。
これによりロータリエンコーダ読み取り部についても不具合がないことを確認した。


3.3.4 動作試験3

MIRS1205 標準ボード試験計画書の3.3.3 動作試験3の内容通りに試験を行った。
MIRSMG3D MTCB試験仕様書にある試験用プログラムのPWM.hexをPICに書き込み、モータ制御部のテストを行った。
使用器具:オシロスコープ、MIRSMG3Dモータ制御ボード(2枚)、電源ボード、ドータボード、電圧安定化電源装置、NiCdバッテリー、電源ケーブル、信号線

最初に、上記の使用器具をMIRS1102 解体報告書の「下段シャーシの解体3.1 MTCB(モーターコントロールボード)の取り外し」に掲載した
MIRSMG3Dモータ制御ボードの写真及び、MIRSMG3D MTCB製造仕様書を参考に配線した。下に配線について述べる。

  • 電源ボード
    制御系電源入力には電圧安定化電源装置、動作系電源入力にはNiCdバッテリー(6V以上のものを使用)を接続した。
  • MIRSMG3Dモータ制御ボード
    MIRSMG3D MTCB製造仕様書を参照して、電源ボードの動作系電源出力から出た電源ケーブルをCH1に接続、
    CH2を電源ケーブルでMIRS1205の下段シャーシに取り付けたモータ(左右)に接続、CH3をロータリエンコーダ(左右)のケーブルと接続、
    ドータボード上段から出た2本の信号線をCH4に接続した。

    配線後、制御系電源を入れた。MTCBの緑色LEDが点灯すれば、MTCBの回路及び、ドータボードからの信号線に問題がないことが分かる。
    最初に、制御系電源をいれた際、片方(左・古)側のMTCBの緑色LEDが点灯していなかったため、調べたところ、信号線に問題があることが分かった。
    信号線に問題があることが分かる前に二回、動作系電源を入れてMTCBのモータドライバ(MP4212)が煙を出し、焼ける現象を観測した。
    このとき、MTCB(左・古)の緑色LEDは制御系電源を入れた後も点灯しており、モータドライバ(MP4212)が焼ける直前までは動作系電源を入れても正常に動作していた。
    二回、MTCBのモータドライバ(MP4212)が焼ける現象を確認してから(この二回は、信号線を変えずに使用したMTCB(両方、去年使用したもの)を交換しただけで動作チェックを行っていた)
    、 信号線の方に問題があるのではないかと考えた。信号線を確認したところ、接続部分のピンが劣化して突発的な接続不良を引き起こしていた。
    そのため、信号線を新たに製作して交換したところ、以後、MTCBのモータドライバ(MP4212)が焼ける現象は観測されなくなった。

    信号線の問題を克服後、MIRSMG3D 走行制御試験プログラム
    の走行制御試験プログラムのmotor_start、motor_restartを実行して、動作チェックを行った。
    最初、この動作チェックで左右のモータを回転させることができることを確認できたが、正しく動作されていなかった。
    モータの動作が正常でない理由を調べてみたところ、MIRSMG3D モータ出力・エンコーダケーブル接続手順書から確認したところ、
    左右両方のMTCBのCH2とモータを接続する電源ケーブルが+−が逆に接続されていたことが原因であることが分かった。

    電源ケーブルの接続を直したところ、左右のモータが走行制御試験プログラム通りに正常に動作することを確認した。
    そして、pwm制御信号によるduty0〜100%のモータへの出力波形を測定することができた。オシロスコープで観測した出力波形を下に示す。


    今回のテストではduty比40%以上はほとんど同じ結果となったので0%から40%までのduty比の画像を載せることにする。

    duty比0% duty比10%

    duty比20% duty比30%

    duty比40% duty比50%

  • 3.4 超音波センサボード

    3.4.1 試験方法

    MIRS1205 標準ボード試験計画書の3.4.3動作試験を行った。

    • 計画では、親機と子機それぞれ一台を試験する予定だったが、標準機に使用する分の親機一台・子機二台の計三台を試験した。
    • 円柱の直径が30cmのものを使用した。
    • 平らな板には、プラ板を使用した。
    • 板の傾け方はのように、板の中心を軸に傾けた。軸までの各距離を測定距離とした。

    3.4.2 試験結果

    試験結果を以下に示す。
      標準ボード試験結果[超音波センサ]@A 

    • それぞれの子機には○、△の記号を付けた。
    • 9999はエラー表示である。

    <<共通事項>> (親機、子機○、子機△)
      20cm以内で測定をすると出力結果は20cmとなった。また、測定距離が200cmを超えると、誤差が10%を超えたり、エラー表示されたりした。そのため最大測定距離は200cmであると判断した。

    <親機> 
      平らな板との距離の測定は、それぞれの測定距離の平均値が誤差5%以内を達成することができた。よって、親機の試験は合格となった。斜めの板との距離の測定は、板との距離が20cmのとき、±30°では正確な測定をすることができ、±60°では誤差が大きくなってしまった。板との距離が50cmのとき、±30°でも誤差が10%近くあった。板との距離が100cmを超えると、どの角度でもエラー表示になってしまった。円柱との距離の測定は、150cm以内では誤差がほとんどなく測定することができた。それ以上の距離ではエラー表示が出てしまった。

    <子機○> 
      平らな板との距離の測定は、それぞれの測定距離の平均値が誤差5%以内を達成することができた。よって、子機○の試験は合格となった。斜めの板との距離の測定は、板との距離が20cmのとき、どの角度でも正確な測定をすることができた。板との距離が50cmのとき、すべての角度で誤差が大きくなる、またはエラー表示となった。板との距離が100cmを超えると、どの角度でもエラー表示になってしまった。円柱との距離の測定は、50cm以内では誤差がなく測定することができた。90cm台までは測定をすることができ、それ以上の距離では、エラー表示が出てしまった。

    <子機△> 
      平らな板との距離の測定は、それぞれの測定距離の平均値が誤差5%以内を達成することができた。よって、子機△の試験は合格となった。斜めの板との距離の測定は、板との距離が20cmのとき、どの角度でも正確な測定をすることができた。板との距離が50cmのとき、すべての角度で誤差が大きくなる、またはエラー表示となった。板との距離が100cmを超えると、どの角度でもエラー表示になってしまった。円柱との距離の測定は、100cm以内では誤差がほとんどなく測定することができた。それ以上の距離ではエラー表示が出てしまった。


    3.4.3まとめ

    超音波センサ試験合否20cmでの測定可能角度円柱の測定可能距離
    合格±30°150cm
    子○合格±60°90cm
    子△合格±60°100cm
    20cm以内での測定結果最大測定可能距離
    "20"と出力200cm

    標準機に使用する分の超音波センサ3台は十分な性能があることが確認できた。
    ※測定可能角度が広いことが、必ずしもいいことだとは限らない。

    4.関連文書

    MIRS1205 標準ボード試験計画書