名称 MIRS1102 解体報告書
番号 MIRS1205-TECH-0001

最終更新日:2012.5.18

版数 最終更新日 作成 承認 改訂記事
A01 2012.5.16 岡本、中村 初版
A02 2012.5.18 岡本、中村 牛丸教員 レビューの指摘箇所の修正、追加



目次




0. MIRS1102の全体図

  MIRS1102の全体図を示す。ただし、右・左とは正面から見たものである。また、参考にWebカメラの位置に印をつけた。
  
正面   右   背面   
  上面   下面

1. 上段シャーシの解体

1.1 バンパーの取り外し
 バンパーを取り外した。
 バンパーは上段シャーシの前面・右前面・左前面の三ヶ所に、蝶番を各二個使用して取り付けられていた。
 バンパーと蝶番の接続に使われるネジの長さがバラバラだった。また、ナットが使われていない箇所が一ヶ所あった。
 右前面・左前面のバンパーの蝶番と上段シャーシの接続に使われるネジの長さもバラバラで、ナットは一つも使われていなかった。
 しかし、シャーシの穴が、めネジの役割を果たしていたため、バンパーはしっかりと固定されていた。
 前面のバンパーの蝶番と上段シャーシの間にはスペーサーがあり、高さが小さなバンパーでも、下段シャーシのタッチセンサに反応するようになっていた。
 各バンパーはシャーシのカーブに合わせて湾曲していた。
 これは、上段シャーシの角がコースに引っかからないようにするためだと思われる。
 バンパーには、MIRS1102のマークやキャラクターが描かれていた。

  
バンパー
1.2 電源ボードの取り外し
 電源ボード、超音波センサの電源ボードを取り外した。
 MIRS1102はラックを使用していないため、各ボードは上段シャーシに取り付けられていた。
 それぞれのボードは、シャーシとボードの間にスペーサーが四本ずつはさまれて、ネジで固定されていた。
 また、電源ボードの上にもスペーサーが四本あり、その上にふたの役割を果たすプラスチックがつけられていた。

  電源ボード   超音波センサの電源ボード
1.3 コネクタの取り外し
 USBコネクタ(2ポート)、LPTコネクタ、シリアルコネクタ、VGAディスプレイコネクタなどのコネクタ類を取り外した。
 USBコネクタ取り付けボードはハードディスクの部品を流用していた模様。
 他のコネクタ取り付けボードはなかった。
 LPTコネクタはCPUの下を通り、その先でFPGAダウンロードケーブルと接続されていた。
 このケーブルはCPUとFPGAボードの通信に使用している模様。
 シリアルコネクタは超音波制御ボード親機から配線されたシリアル通信用ケーブルに接続されていた。
 このケーブルはFPGAから超音波制御ボードの通信に使用しているようだった。
 VGAディスプレイコネクタには何も接続されてはいなかった。
 またPS/2端子、USBコネクタにも何も接続されていなかった。

  各コネクタ
1.4 主要ボード類の取り外し
 ドータボード上段、ドータボード下段、FPGAボード、CPUボードを取り外した。
 130mmネジが上段シャーシの裏側から取り付けられていて、そこに上から
  ナット
  スペーサー
  ドータボード上段
  スペーサー
  ドータボード下段
  スペーサー
  FPGAボード
  スペーサー
  CPUボード
  スペーサー
 と固定されていた。
 130mmネジはバッテリーボードの取り付け前に取り付けられていた。
 そのためバッテリーボードを取り外さないと130mmネジは取り外すことができなかった。

  ドータボード上段   ドータボード下段   FPGA,CPUボード
1.5 超音波センサの取り外し
 超音波センサを取り外した。
 超音波センサは標準は三つだが、MIRS1102は四つ取り付けられていた。
 前に向けられたセンサは、上段シャーシの左右二ヶ所に取り付けらていた。
 また、正面から見て右に向けられたセンサと左に向けられたセンサはそれぞれ、上段シャーシの前と後ろに取り付けられていた。
 超音波センサは、超音波センサ取付用金具にスペーサーを挟んで、ネジとナットで固定されていた。
 この金具は、上段シャーシの左右二ヶ所は標準機のものだったが、前後二ヶ所は標準と異なり、大きなL字型になっていた。
 また、超音波センサが測定できる範囲は約20cm以上であるため、前の超音波センサは正面から見てカメラの左側にあった。
 このカメラが障害となるため、前の超音波センサの取付用金具は高さが高いものになってる。
 前後二ヶ所の超音波センサはL字の内側に接続されていたため、最初に超音波センサを金具から取り外し、その後金具をシャーシから取り外した。
 超音波センサのパターン面に、ホコリ防止とみられるガムテープが貼ってあった。

 MIRSMG3D 超音波センサ取付版

  超音波センサ   超音波センサ(標準機)
1.6 Webカメラの取り外し
 Webカメラを取り外した。
 Webカメラは標準のもので、前の一ヶ所に取り付けられていた。
 MIRS1102はカメラの接続に、標準機に使用しているカメラ取り付け金具を使用していなかった。
 また、標準機のカメラはカメラ取り付け金具に取り付けるために、中央付近に3mmの穴を一つ開けている。
 しかし、MIRS1102は中央の穴に加え、さらに二つ穴を開けている。
 この二つの穴と二つのネジを使用して、MIRS1102のカメラは取り付けられていた。
 使用していなかった中央の穴は、標準機を作成したときに使用したと思われる。
 また、MIRS1102のカメラの土台が標準機と逆の向きに取り付けられていた。
 これは、土台がスペースを無駄に使用するのを防ぐためだと思われる。

 MIRSMG3D カメラ取り付け時の側面の画像

  Webカメラ(上)   Webカメラ(正面)

1.7 バッテリーボードの取り外し
 バッテリーボードを取り外した。
 バッテリーボードは上段シャーシの裏側に取り付けられていた。
 また、バッテリーの落下防止のためと思われる輪ゴムが取り付けられていた。

  バッテリーボード



2. 上段シャーシと下段シャーシの分解

 上段シャーシと下段シャーシを接続していた支柱(丸)を取り外した。

  
支柱(丸)

3. 下段シャーシの解体

3.1 MTCB(モーターコントロールボード)の取り外し
 モーターコントロールボードを取り外した。
 モーターコントロールボードは下段シャーシに二つ取り付けられていた。
 それぞれが直接下段シャーシにナットと4本のネジを用いて固定されていた。
 右のモーターのコントロールボードは下段シャーシの後方に、左のモーターのコントロールボードは下段シャーシの前方に取り付けられていた。
 ドータボードと電源ボードに延びる配線は2つのMTCBのどちらも上段シャーシ中央の穴に向かっていた。
 しかし、MIRS1102の機体ではロータリーエンコーダーの配線が下段シャーシ後方の穴に配線がのびてロータリーエンコーダーに接続するような設計になっていた。

  
MTCB(右)   MTCB(左)
3.2 タッチセンサの取り外し
 タッチセンサを取り外した。
 タッチセンサは下段シャーシの前面・右前面・左前面の三ヶ所に、取り付けられていた。
 それぞれがネジ2本によってシャーシに直接固定されていた。
 それぞれの配線は上段シャーシと下段シャーシの間を通り、上段シャーシ中央の穴を抜けてドータボードへとつながっていた。

  タッチセンサ
3.3 白線センサの取り外し
 白線センサを取り外した。
 前方サスペンションにアクリル板が、ボールキャスターと同じ位置に横長に取り付けられ、その両端に1つずつ取り付けられていた。
 また白線センサから延びる配線は、サスペンション機構やモーターなどに影響しないよう配線軌道をガムテープによって修正されていた。

  白線センサ
3.4 ボールキャスターの取り外し
 ボールキャスターを取り外した。
 ボールキャスターは下段シャーシの前後のサスペンションの先端に取り付けられていた。
 サスペンション機構の支柱2本に、ネジをそれぞれ1本づつ使用し、ボールキャスターを固定していた。
 前方サスに関しては位置も力学的に計算して決められ、取り付けられていたようだった。

  ボールキャスター
3.5 サスペンションの取り外し
 サスペンションを取り外した。
 1102オリジナルのサスペンションで、前方と後方でつくりが違った。
 バネ状のサスペンションユニットはアルミ角柱(10×10mm)二本に穴を開け、その穴とサスの一端の穴に長ネジを通してナットではさみこみ位置を調整、固定してあった。
 また、そのアルミ柱は下段シャーシに直にアルミ柱一本につきネジ2本とナット2つで固定してあった。
 その他に直接下段シャーシに蝶番が前方サス用に1つ、後方サス用に2つの計3つ取り付けられていた。
 どの蝶番も下段シャーシにネジ4本とナットを用いて固定されていた。
 後方サスに蝶番を2つ使用し頑強にしたのは、障害を乗り越える過程で前方サスよりも大きな荷重がかかるからであることと、乗り越えるときの角度の問題からと予想される。
 同じ理由で後方サスは支柱の幅を前方サスよりも広めにとってあると予想する。
 解体作業3.5では、サスユニット固定アルミ柱×4、前方サス用蝶番×1、後方サス用蝶番×1と下段シャーシを固定するネジとナットを外した。
 つまり、1102班のサス機構を保存し流用が可能なよう、下段シャーシに固定されている部分だけを取り外し解体作業の完了とした。

 MIRS1102 サスペンション詳細設計書

  サスペンション   サスペンション(標準機)



3.6 タイヤの取り外し
 タイヤを取り外した。
 タイヤには専用のナットが使用されていた。

  タイヤ   タイヤのナット
3.7 モーター、ロータリーエンコーダの取り外し
 モーターとロータリーエンコーダを取り外した。
 標準機と違い、モーターとロータリーエンコーダーは下段シャーシの下側にあった。
 これは、MIRS1102の最大の改良点であるサスペンションに、広いスペースが必要であったからである。
 まず、ロータリーエンコーダとロータリーエンコーダ取り付け用金具を固定してある取り付け用金具側面のネジ2本を取り外し、ロータリーエンコーダを取り外した。
 次にモーターとモーター取り付け用金具の側面の3つの穴を固定してあるネジを取り外し、モーター(ギアも含む)を取り外した。
 ここで左のロータリーエンコーダとその取り付け用金具はモーター取り付け用金具に固定されていた。
 しかしそれに対して、右側ではロータリーエンコーダ取り付け用金具がシャーシに直接固定されていることがわかる(※ロータリーエンコーダー参照)
 そのため、右側のモーターの場合はロータリーエンコーダ取り付け用金具と下段シャーシをつなぐネジを外し、モーター取り付け用金具とシャーシをつなぐ4つのネジを取り外した。
 左側ではモーター取り付け用金具とシャーシをつなぐ4つのネジと、モーター取り付け用金具とロータリーエンコーダ取り付け用金具をつなぐネジを外した。
 このような構造にしたのはサスペンションがロータリーエンコーダの配線に干渉しないようにするためと思われる。
 1102のモーターはギアが変えられていた。
 標準機のギアについては、青木教員から支給された。

  ロータリーエンコーダー   モーター

4.解体後の全体図


 解体後の全体図を示す。
  
解体後

5. 総評・所感

 MIRS1102の改良点を表に示す。

 今回の解体作業で解体した1102班のMIRSは、基本的にハード改造をしていない機体構成だったため、比較的解体作業はスムーズに進んだように感じた。
 しかしエレキの配線関係は難しく、どれがどういった役割を果たしている線か悩むことも多かった。
 事前に解体報告書を作成することを伝えられていたので、気づいたときになるたけ写真を撮影したが、解体報告書を作成する段階になると写真データの不足となった。
 写真データの情報としての有用性を再認識するとともに、これからの作業に関しても写真データを可能な限り残し、後日確認が可能なようにしようと思う。
 画像でたりなかった部分は過去のドキュメントを見直して確認することも多かった。
 1102班の標準機に近い機体がそういった点で助かった。
 ただ、標準機の機構のままでは越えられないシーソー障害の対策として考案されていたサスペンション機構のために、下段シャーシ周りは細かい工夫がされていたように思う。
 そういった細かい工夫はある程度みられたので、自分たちのMIRSに応用する予定である。
 配線などにはある程度工夫した点がみられたが、逆にMIRSで問題がよく発生した原因だったのではないかと考えたりもした。
 そういった細かいところからハードとエレキ、ソフトの連携性を感じた。
 MIRSというのはその3つの分野が連携してやっと動作することを、かすかながらも実感することができた。
 ただ、解体作業は短時間で終わらせることができるが、組み立て作業はこの何倍も大変で時間がかかると予想できるので、気を引き締めていきたいと思う。


改良場所MIRS1102の詳細目的
バンパー前面のバンパーと上段シャーシの間にスペーサーがある使用するバンパーの幅を小さくするため
バンパーが蝶番で固定されている丈夫にするため
シャーシのカーブに合わせて湾曲している上段シャーシの角がコースに引っかからないようにするため
電源ボードプラスチック製のふたがついているボタンの誤操作、ほこりを防止するため
超音波センサ正面から見て左向きに一つ追加されている本体の両側の壁との距離を測定するため
前後のセンサが機体の中心線より手前にあるセンサの最低測定距離を考慮するため
前のセンサの取付金具が高いものになっている障害となるカメラを避けるため
Webカメラ新たに穴をあけ、金具を使用せずにシャーシに直接取り付けている本体が標準機より高いので、カメラの位置を下げるため
土台の向きが標準機と逆であるスペースを有効に活用するため
バッテリーボード輪ゴムが取り付けられているバッテリー落下を防止するため
白線センササスペンション機構の先端のボールキャスターの両端に取り付けられているサスペンションを搭載した上で、白線検知の精度を上げるため
キャスターサスペンションの先端に取り付けられているサスペンションを搭載した上で、スムーズな走行を実現するため
モーター下段シャーシの下側に取り付けられているサスペンションのためのスペース確保のため
ロータリーエンコーダ下段シャーシの下側に取り付けられているサスペンションのためのスペース確保のため
標準機のように、下段シャーシ上で点対称になる配置でなく、線対称な配置にしてある配線がサスペンションに干渉しないようにするため
ロータリーエンコーダ取り付け金具(右)モーター取り付け金具の上ではなく、下段シャーシに直接取り付けられている配線がサスペンションに干渉しないようにするため
下段シャーシサスペンションが取りつけてあるシーソー、ステップの攻略のため



関連文書