沼津高専 電子制御工学科
MIRS技術調査報告書
MIRS0604-TECH-0001
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容
A01 2006.7.11 小谷田 高村 初版

1. デュアルレギュレータ電源ボードについて

左右のモータへの出力側にもレギュレータをつけ、電圧を安定化することによりMIRSの誤差を少なくしようという試みである。 ここでは、そのレギュレータの仕様について調査した結果をまとめる。

以下に、標準機の電源ボードに採用されているレギュレータLT1083CPの仕様書を示す。

 pdf.gif(406 byte) LT1083 - Low Dropout Positive Adjustable Regulators (LINEAR TECHNOLOGY)

このレギュレータは出力電圧が可変である。その式を以下に示す。

LT1083CP.bmp(178902 byte)


仕様書によれば、VREF=1.25[V]、IADJ=50[μA]である。
標準機の電源ボードの低電圧回路と同様、R2=2[kΩ]とし、R1を可変抵抗とすれば、Figure 1. の式よりR1≒538[Ω]のときVOUT=6[V]となる。

入出力電圧の差(Dropout Voltage)は、仕様書によると最大で1.5Vである(下図)。

Dropout.bmp(227694 byte)


バッテリとして用いるラジコン用ニッカド充電電池は7.2Vのものである。フル充電時で8V程はあるが、時間が経つにつれて電圧は落ちてくるので、レギュレーターを用いて6Vを保つのは難しいように思われる。
バッテリーの電圧を上げるか、モータの電圧をもう少し小さい電圧で我慢するかのどちらかが必要であろう。

・バッテリーについて

 調べてみると、ニッカド電池は1個が1.2Vであり、それを6個直列に繋いでパッキングしたのが標準機に搭載されているバッテリー(7.2V)である。
 7.2Vのものは主にRCカー用であるが、電動グライダーやRCヘリ用に8.4V、9.6V、10.8V、12Vが存在する。

・モータについて

 6V以下での駆動の可否・性能について更なる技術調査が必要である。


2. 超音波センサ

使用目的:ポストの探索、距離測定

標準機を起動させて、超音波の性能を確認。壁や天井など大まかな物体との距離は2000mm以上まで測れたが、 実際にポストとの距離を計測したときは600〜700mm程度の計測が限界でどうも不安定であった。
標準プログラムでMIRSを走行させたときには特に問題もなくポストを獲得できたのでMIRS本体が競技場の中心で回転しポストを探索する「中心型」では問題ないかもしれないが、スタート地点から競技場の反対側まで超音波によってポストを探索する「直進型」の場合は不安定な探索方法となってしまうかもしれない。

ただ、過去の技術調査書を見ると、超音波センサはいかなる状況でも2000mm程度の距離まで測定が可能であるようだ。
測定環境を見直して、再度調査を行いたい。
場合によっては、超音波センサの回路の見直しも必要であると考えている。


3. プラ板(不定)

使用目的:ポスト獲得

MIRS0604のポスト獲得方法は、ポストの周りを周回するのと同時に横に突き出したプラ板によってポストのスイッチを押して獲得する(システム提案書参照)。 よって使用するプラ板(ただし目的が達成できれば形状・材質に特に指定はない)は、スイッチと接触した際にスイッチを押せる弾力、その後MIRSの進行に影響のない柔軟性が必要とされる。 さすがにこれは実際にMIRSに取り付けて獲得試験を行ってみないと分からないので、今後の課題にしたい。

また、競技規定によりプラ板はMIRSの大きさ内に納めなければならない。
収納方法は現在検討中であり、

@:プラ板の先端に紐などを取り付け、MIRS内に引っ張り収納する。その紐の先をMIRSのタイヤの下に配置して固定、スタートと同時に展開する方法。
A:同じように内部に収納し固定。ポスト番号識別のため近づいたときに一度停止して識別するので、ポストがMIRSのタッチセンサに触れる。接触したときにMIRSの別の部分がポストに当たりそれでストッパが外れ、それによりプラ板を展開する方法。

の2つを考えている。今後の調査で、最善の方法を模索していく予定だ。

pura.bmp(472498 byte)


4. PIC

PIC(Peripheral Interface Controller:周辺機器接続制御用IC)とは元々メインのCPUの機能を分散して周辺機器の制御を行うために開発されたIC。

PICにもCPUと同じように演算処理機能があり、メモリーも持っていて、ソフトウェアで制御する。

メモリについ
処理能力、メモリ容量は大きくはない。PICの種類によって違うが、最大動作クロック周波数が20MHz位、プログラムを書き込むメモリーは1Kワードから4Kワード位。

処理速度について
クロック周波数はプログラムを読んで命令を解釈し、処理をする速さに関係する。クロック周波数だけでは処理能力が高い低いは論じられない。処理部分の構造(アーキテクチャ)によって変わる。同じ構造であるなら、クロック周波数が高い方が処理能力は高くなる。

利点
PICの便利なところは演算機能部、メモリ、入出力部などが一つのICに組み込まれている点。
性能、機能は限定されているが、いろいろなICを組み合わせなくてもPICだけで制御部を構成できるので回路をコンパクトに作ることができる。

PICを使うことによって… ※ただしPICを用いるときはPICのOUTPUTをFPGAを介して同期させてからISAバスに出力しなければならないのがPICを使用する上での注意点である。

まとめ
※PICを私たちの班のMIRSに採用するかどうかはまだ決まっていない。今後の技術調査でそのリスク/リターンについて考えていきたい。

5. モータ

別のhtmlファイルとしてまとめた。

 MIRSモータ技術調査報告書

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