こんにちは。
大庭研究室10期OB(2009年度卒業)の伊藤敦です。
現在は豊橋技術科学大学の博士前期課程(修士課程)にいます。
2週間ほど前の週末、小休止のつもりで実家に帰って、その折に高専にも顔を出してきました。
夏に来たときにも見たのですが、正門から入ってすぐのロータリーにモニュメント「成長の芽」ができたのですね。
先輩から話は聞いていましたが驚きました。
専攻科棟の前や学食の入り口付近にも寄贈されたモニュメントが元々ありましたし、10年、20年後にはまた新しい記念碑が学内に建つのかもしれませんね。
この「成長の芽」ですが、よくよく解説を見てみると、フルモールド法、と呼ばれる鋳造方法で造られていると書かれていて更に驚きました。
私は今、安全でかつ効率のよい鋳造プロセスの実現を目指した、液体注ぎロボットの研究を行っているため、ロボット工学や制御工学以外に鋳造関連の情報も収集しています。
フルモールド法はその鋳造業界では有名な鋳造方法の一つで、所望の精密な形状の製品を高い精度で実現できる利点があります。
このフルモールド鋳造法で「成長の芽」を作った木村鋳造所がほぼ地元にあることを知らなかったことに大きな悔しさを覚えつつも、鋳造工学に関わる身としては、母校に優れた鋳造技術で造られたモニュメントがあるということはなかなか感慨深いものがあります。
元々学会関係で知ってはいましたが、高専から帰った後、改めて木村鋳造所のHPを見てみました。
企業のHPなので、当然製品の技術やその紹介が載っているわけですが、その中に韮山反射炉に関するページがありました。
静岡県東部が地元の方はよく知っているとは思いますが、韮山反射炉は地元の名士・江川担庵が幕末に、大砲を鋳造するために建造したものです。
最近だと「明治日本の産業革命遺産 九州・山口及び関連地域」のうちの一つとして世界文化遺産への推薦が決まっていますね。
実はこの韮山反射炉に関して木村鋳造所の方が実際に鋳造ができるのかどうか検証をされていて、さらに先ほどのフルモールド法を使って大砲の復元を行ったというのです。
三島駅からなら車で30分程度の位置です。
これは行かなければならないと思い立ち、高専に行った翌日に実家の車を借りて観光に行ってしまいました。
韮山反射炉の周りはそれほど広くなく、少し大きな公園、といった印象です。
今は反射炉本体のみが残っていて、大砲製造のための穿鑿装置が置かれていた建屋などはなくなっています。
割合静かな、落ち着ける空間でもありましたが、反射炉の随所に炉の各部の解説ボードが置いてあり、現代の鋳造プロセスを知る自分としてはそこに凝らされた工夫、当時の技術の素晴らしさを知ることがとても楽しいものでした。
反射炉のそばには勿論お土産屋さんもありましたが、それとは別に地ビール工場とビールの楽しめるレストランがありました。「反射炉ビール」として売り出されています。
反射炉でのビール造りは江川担庵公が当時パン食を提案していたことに由来するそうです。
最初は「なぜ反射炉でビール?」と思いましたが、パンの発酵プロセスからビールが生まれた歴史もありますから、そう考えるとではビール造りに至ったのは自然な流れなのだとも思いました。
雨が降るかもしれない、とも思い車で来ましたが、地ビールがあることを到着してから気づいてとても悔しいと思いましたね。
思い立ってどこかに行くことは、それはそれで大事なことだとも思っていますが、やはり十分な下調べはしておくべきです。焦ってはなりませんね。
この間はそう時間もなかったので反射炉しか見てきていませんが、少し移動すれば担庵の暮らしていた江川亭もありますし、伊豆長岡で温泉を楽しんでくることもできます。
世界遺産に決定したら今は失われている反射炉周辺の建屋の復元もやるらしいので、その時にまた来て、今回楽しめなかった部分も十二分に堪能できたらなぁ、と思います。
当然、今度は必ず伊豆箱根鉄道で。
何かまた新しい出来事があったら報告します。
では、また!!
|