名称 MIRS2101メカニクス開発報告書
番号 MIRS2101-MECH-11

版数 最終更新日 作成 承認 改訂記事
A01 2022/02/20 渡辺裕紀 青木先生 初版

目次

1.始めに
2.外観図
3.各部の評価及び変更点
4.制作物一覧
5.工数分析
6.総括



1.始めに

本ドキュメントは、MIRS2101メモリップのメカ担当班の開発報告書について示すものである。


2.外観図

まず、以下にメモリップ全体の写真を示す。

fig1.メモリップ全体写真

また、サイズは
上部のMEMOLIP札を含めると1300mm
これを含めない場合、1180mm
直径400mm
可動域300mm~1100mm(カメラの移動できる高さ)
ジンバル左右旋回角度180° 仰角90°
俯角60°

全体重量16.2kg

3.各部の評価及び変更点

以下に各部の写真及び評価、特記事項を示す。

3.1 標準機下段

以下に下段ブロックの全体写真を示す。

fig2.標準機下段ブロック全体写真

・タッチセンサ

fig3.タッチセンサ部写真

評価:当初の設計通り、作成することができた。また、タッチセンサの機能としても不具合なく、十分な完成度であったといえる。

・キャスター

fig4.キャスター部の写真

評価:フライス加工で設計通りの径にキャスターの穴を加工することが出来た。タイヤの高さとキャスターの高さは合うように、スペーサーを設計したが、それも特に問題はなかった。また、キャスターとして不具合なく機能した。

3.2 標準機中段

以下に下段ブロックの全体の写真を示す。

fig5.標準機中段の写真

評価:元の標準機と変えたところは電源ボタン基盤を置いたことだが、問題なく設計通りの加工を行うことが出来た。

3.3 標準機部上段

以下に上段各部の写真を示す。

fig6.超音波センサ

fig7.スピーカー

fig8.バンパー

評価:スピーカーの配置や固定方法に関して多少の変更はあったが、超音波センサ、バンパーに関しては設計通りの製作を行えた。

特記事項①:スピーカの設置について
設計段階では、スピーカーの固定方法は3Dプリンタ部品でマウントを作って固定しようと考えていたが、上板の穴あけの手間とスピーカーの置く場所の調整がしやすいようにすることを考えて、両面テープを用いて固定することにした。また、設計では前向きに配置する予定だったが、昇降台に当たってしまうため、斜め外向きに配置した。

特記事項②:使用したスピーカー
始めに発注したスピーカーは音量が小さかったので二つ目の別のスピーカーを発注し、それを使用した。(また、ラズベリーパイのスピーカーの関係で音量が思うような大きさでなかったため、社会実装及び発表会ではBluetoothスピーカーを使用した。

昇降機部

以下に昇降機構の各部の写真を示す。

・巻き取り部

fig9.ワイヤー巻き取り部

評価:モーターを変更したことで設計した巻き取り部の3Dパーツやマウントを大幅に変更することになったが、最終的にはワイヤーの巻き取りの機能を果たす十分な完成度であった。

特記事項①:モーターの変更によるパーツの変更
設計段階では朱雀のモーターを使用する予定だったが、そのジャンク品にエンコーダがついていなかったため、Maxonのモーターを使用することになった。そのため、モータマウント、サポートマウント、巻き取り部の3Dパーツが変更後のモータに合うように設計、作成を改めて行った。

・昇降ケーブル

fig10.昇降ケーブルの写真

特記事項②:昇降ケーブルの作成
設計段階では、昇降するときにケーブルをまとめるような機構を設計してなかったが、プラ段を用いることによって、昇降に応じてケーブルがまとめられるようにした。また、それに伴って、プラダンを固定するためのパーツおよびそのパーツを支柱に固定するための穴を設計、加工、製作した。

・昇降台初期化用タッチセンサ

fig11.初期化用タッチセンサの写真

特記事項③:設計段階では、昇降機構部にこれを取り付ける予定はなかったが、昇降台を初期化するにあたって必要と判断したため、設計、製作した。また、昇降台の当たり具合を変えれるように縦方向に高さ調整を行えるように作成した

3.4 昇降台

以下に、昇降台全体の写真及び、各部の写真を示す。

fig12.昇降台全体の写真

・昇降レール

fig13.昇降用レールの写真

評価:設計通りに製作することが出来、昇降台のレールとして計画通りの機能を果たしたので十分な完成度であったといえる。

fig14.レールガイドの写真

評価:穴の径に関して少し変更を行った。設計では、昇降時の多少のぐらつきはやむを得ないとして考慮していたが、実際に製作してみるとほとんどぐらつきのない結果となった。

特記事項①:レールパーツの穴の径の変更
設計では、パイプの仕様から直径9.6mmで設計していたが、パイプにスライドする程よいはめ合いにならず、実際にパイプを測定してみると仕様に記載されているものと異なっていたため、9.8mmで設計し直して製作した。また、きつくなる部分は棒やすりを用いて削った。

・ジンバル機構

fig15.ジンバル機構の写真

評価:設計したものと大幅に再設計を行って製作した。ジンバルとしては機能したが、下部をモーター一点で支えていることもあって、時々前後の揺れが激しくなる結果であった。

特記事項②:ジンバル部のパーツの再設計
当初設計したパーツでは、カメラが上下に動いた際に横幅がカメラの幅より小さかったため、横に当たってしまった。また、カメラを固定しているねじに関しても下と干渉してしまった。そこで、横幅は広くし、上下回転部のサーボモーターの位置及び、高さを高くするように再設計を行った。

ジンバル振動防止パーツ

fig16.ジンバル振動防止パーツの写真

特記事項③:上記で述べたジンバルの振動を防止するために、昇降台とジンバル機構下部パーツの間に、ジンバル機構を支えるようなパーツを設計し、製作した。このパーツによって大幅にブレは改善されたが、多少ブレが残る結果となった。

サーボモータの取りつけ

fig17.サーボモータの取りつけ

評価:設計通りにレーザー加工での加工を行い、モーターを取り付けることができた。

特記事項④:ねじの長さ変更
サーボモーターから延びるコードにねじが干渉してしまったため、干渉せずかつねじを止めやすい長さに鉄ノコで加工した。

3.5 外装

外装部の固定

fig18.L字金具

評価:設計通りに外装部の固定や製作を行うことが出来た。しかし、スプレーで塗装したものが引っ搔くとはがれてしまうという問題は残ってしまった。

3.6 タブレットケース

タブレットケース

fig19.タブレットケースの写真

評価:タブレットの固定方法を設計では詳しく考えておらず、試作品として試行錯誤して設計した。タブレットを入れるケースとしては十分な完成度だった。

特記事項①:タブレットを固定する内側パーツについて
また、タブレットを入れる際に、内側のパーツに当たって入れづらくすることで、ゆっくり入れないと入らないようにし、投げ込まれたり勢いよく入れられたりしない防止策とした。

タブレットケース下部のタッチセンサ

fig20.タッチセンサの写真

評価:設計したものと大幅に変更点があったが、変更後のものはタブレットの出し入れを感知する十分な機構となった。

特記事項②:タッチセンサ部について
タッチセンサに被さるアクリル板の上の写真の赤丸で示した部分について、ねじとナットで止めるとそれが突起となってタブレットがタッチセンサ部にあたりづらくなるため、アクリル板に直接ねじ切りを行って取り付けた。また、タッチセンサの高さの位置を変えれるようなパーツを設計、作成した。

3.7 整備用ドア

整備用ドア

fig21.両開きスライドドアの写真


ドアのレール

fig22.整備用ドアレールの写真

評価:整備ドア、及びレールともに設計通りにスライドドアとして機能する完成度となった。しかし、レールを標準機の下段及び上段に固定する用の穴をあけた際に、レールが少し内側に固定されるようになってしまい、右側の扉に関して、少し左の扉よりも固くなってしまった。

3.8 タブレット

以下にタブレット全体写真を示す

fig23.タブレット全体の写真

評価:設計では、基盤のコードの置き方などもあって内部を詳しく設計していなかったが、試作品として試行錯誤して製作して完成させた。コードが出来るだけ最小スペースでまとめられ、できるだけコンパクトに設計をすることができた。

特記事項①:基盤の取り付けについて

fig24.基盤の取り付け部

基盤の下にHDMIケーブルがタブレットに挿さっており、ケーブルを挿し抜きしやすいように基盤の固定は一か所にし、ナットを回すことで高さを変えることが出来るように製作した。

特記事項②:ARマーカーの追加

fig25.ARマーカー

メモリップを指定場所まで誘導するためのものだが、このマーカーを印刷して両面テープでユーザーの手がマーカーに被さらない位置に設置した。

3.9天板

以下に天板各部の写真を示す。

fig26.天板部の写真

ワイヤーの滑車

fig27.ワイヤー滑車

天板固定

fig28.天板固定用L字金具

非常停止スイッチ

fig29.非常停止スイッチ

パイプ用キャップ

fig30.パイプ用キャップ

評価:天板部の各部に関して設計通りに加工、製作を行うことが出来た。

特記事項①:ロゴの追加

fig31.Memolipのロゴ

社会実装にて、わかりやすいデザインに関して意見をいただいたので、天板部にロゴをとり受けた。取り外しがすぐにおこなえるよう、テープで固定した。

4.制作物一覧

以下に制作物一覧を示す。

〇:設計通りの製作
   △:設計書にない小さな変更(調整のための加工)
   ×:再設計や大幅な変更

制作物 個数 ドキュメントリンク 開発状況 設計との差異
標準機下段 1 MIRSMG4D ドキュメント管理台帳よりメカニクスの項を参照 完成
標準機中段 1 MIRSMG4D ドキュメント管理台帳よりメカニクスの項を参照 完成
標準機上段 1 MIRSMG4D ドキュメント管理台帳よりメカニクスの項を参照 完成
昇降機構 1 昇降台詳細設計
昇降機構詳細設計
完成 ×
ジンバル機構 1 ジンバル機構詳細設計 完成 ×
タブレットケース 1 タブレット詳細設計
タブレットケース詳細設計
完成
外装 1 外装詳細設計
天板詳細設計
完成

5.工数分析

まず、当初の基本設計段階におけるメカニクスのガントチャートをfig32に、実際の作業に関してをfig33に示す。

fig32.基本設計時点でのガントチャート

fig33.実際の作業

基本設計時のガントチャートと実際の作業内容を比べると、詳細設計に時間がかかったことにより一つ一つの製作が遅れ、製作自体も想定より多く時間を使ってしまったと言える。
また、前半においては各設計や製作を順に行っていたが、後半において統合を行う中で発生した問題を解決するため、幾つかの作業をバラバラに行うなど、基本設計において想定していなかった問題が発生した。外装やタブレットに関してはそれが顕著であり、タブレットとタブレットケースの設置において、外装と干渉することが発覚したために、これらの作成に特に手間取ったと考えられる。
その他にも、想定では社会実装時点では組み立て及び統合試験が修了していると考えていたが、上記の問題により社会実装1回目で試験が十分でなかったために不具合が発生してしまったと考えられる。この時点ではメカでは基本的な機能を十分クリアしていたが、完成自体が遅れたことによりソフトやエレキなど他担当との十分な試験が行えていなかった。
個人で見ると基本的に2人で別々に分担して作業を行っていることが主であり、どちらかが仕事をしていないという期間はなく、想定外の事項が発生したことにより全体の遅れは発生したものの第2回目の社会実装も実施することが出来、効率よく設計・製作を行うことが出来たと考えられる。

fig34.野谷作業割合

fig35.渡辺作業割合

メカの詳細設計の総時間は、97(h)で、その内訳は野谷、渡辺の順で58.5(h)、38.5(h)であった。また、メカ製造は計227.5(h)で、その内訳は155.5(h)、72(h)であった。そして、ドキュメント整備は計32(h)で、その内訳は2(h)、30(h)であった。
グラフからも分かるように、野谷は詳細設計と製造の割合が大きかった。これは、CADでの設計を行っており、製造の時にも修正点が多々あり、その度にCADでの再設計の作業を行っていたためである。また、渡辺がドキュメントを整備するのと同時進行で製造を行っていたためである。一方渡辺は、メカの詳細設計と製造の割合が少し小さい分、ドキュメントの割合が大きいことがわかる。これは、野谷がCADでの設計に専念する代わりに、渡辺が全てのドキュメントに専念していたからである。そのため、製造の内の設計時間を挿し抜けば、おおよそ製造は同じくらいやっており、設計とドキュメント整備を分担して行うことが出来ていたことがわかる。

fig36.メカ作業内訳

fig36はメカ全体における各作業の時間及び割合を示したものである。
 メカとしての仕事で大半を占めているメカ製造・試験及びメカ詳細設計についてだが、作業時間を比べるとメカ製造・試験に関する時間の方が2倍以上とかなり大きな割合となっている。
  これは、個別に設計、製造した部品を統合する際にうまくいかなかったために、何度かやり直したり設計段階へ戻った後に再度組み直す、といった作業が増えたからである。
また、いくつかの部品についてはソフトの機能試験に合わせて分解することがあったため、これも製造・試験の割合が大きくなった原因だと考えられる。

6.総括

全体に関して

 全体の製作は無事完成させることが出来たが、計画していた日程よりも大幅に遅れてしまった。これは設計に時間がかかり制作のフェーズまで移るのがかなり遅かったからであると考えられる。MIRS2101のメカの人数は二人で、野谷はCADでの設計を、渡辺はメカに関するドキュメント全てを担当した。初めは二人で設計をしていたが、それぞれの機構を別々で設計していると各パーツ―は上手く設計できるが、それをCAD上で統合するときに穴の位置やFusion360の仕様上の問題などで不具合が生じ、上手く統合することができないことがわかった。そこで、設計の構想などに関しては話し合いながらも、設計とドキュメントで二手に分かれることにした。しかし、1つの機構を設計するのに時間がかかってしまったことで、詳細設計にかなり時間がかかってしまった。しかし、自分たちの中ではこれが効率的な分担であったように考える。
 また、二つ目の原因として、タブレットおよび、タブレットケースの作成にかなりの時間を費やしてしまったからであると考えられる。タブレットとケースに関しては、コードの配置や複雑な形状ということもあってFusionのCAD上で設計することはできず、ほとんどの部分が試作を繰り返して作ることになった。それによって、時間を多く費やすことになってしまった。これに関して、無理やりFusion上で設計を行わなくても、配置くらいならBlenderなどのアプリを使ってもう少し時間を削減することが出来たかもしれないと感じた。
 そして各機構を統合するときのねじの取り付けのしにくさや、標準機と昇降部分を外したり取り付けたりする整備性が悪いことが三つ目の原因であると考えられる。そのため、メカの他のエレキ、ソフトなどのパートの人ともう少し構造について話し合っておけば良かったと感じた。
 また、作業を進めるうえで、「それ言ったじゃん」ということが、メカ内でも各パート間でもあった。その行き違いが設計のし直しなどを招き、時間ロスを引き起こす原因にもなったので、ワークレコードや自分たちのメモに話し合った内容を記録しておき、もっと情報を共有するべきであったと考える。

野谷和生

 自分はドキュメント整備は渡辺に任せることにし、CADの設計を担当したが、Fusion360を使うことが初めてだったり、そもそもロボット自体の設計が初めてだったりしたので、設計になれるまでに余分な時間を費やしてしまった。複数人で設計をすると個人の設計のノウハウやくせで上手く合わさらないという理由で二手に分担したため、設計に時間がかかってしまったのはすべて自分が原因であることは明確である。その原因として、自分は設計段階でどこまで妥協してよいのかわからず、できるだけリアルなものを作りたく、ワイヤーやねじ、ねじ切りなどすべてCADで描いたこで、それに時間がかかってしまった。
 また、整備用のドアなどで、普通の引き戸で良いものを自分のこだわりで円形のスライド式のドアにした。そういった、メモリップに必要な最低限の要素以外の+αで、完成までに余計な時間を費やしてしまったことを反省した。
 また、タブレット、タブレットケースについては設計製作を自分一人で行ったのっで完成時の達成感が大きかった。しかし、完成させること第一の目標としてきたため、整備性などを一部考慮することを忘れており、組み立てや分解に時間がかかることが多かったので、もう少し少ない部品で組み立てを行えるものを考慮すべきだったと感じた。
そして、もう一人のメカの渡辺がドキュメント全般と製作を担当してくれたことで、自分は設計及び製作に専念することが出来たので、機体が何とか間に合ったのはその存在がかなり大きかったと思う。予定よりは少し遅れてしまったが、メカに関しては一つも妥協する部分をつくらず、むしろ+αの要素を取り入れて完成させることが出来たので、最高のMIRS開発を行うことが出来たと感じている。

渡辺裕紀

私はドキュメントに専念しCADによる設計は野谷に主に任せたが、最終的にはこの構図は成功したのではないかと考える。 最初の頃は二人とも初めて3DCADを触ったために、共同で各部分を設計していたが、後半になって統合に関する設計を行う段階で役割を分けた。これは、前半では個々の機能が独立していたために設計しやすかったが、後半の統合において、複数人で設計を行おうとすると全体を見たときに齟齬が生じるためである。
代わりに私はドキュメントや部品の加工を担当したわけだが、ほぼドキュメントだけであったからこそ、設計に対して指摘がしやすかったとも思う。ドキュメント制作のために図面を作成する中で気づいたことや修正点を第三者的な目線で見ることができ、自然とチェック機能が作用していたと思う。
また、事前に野谷の設計をまとめておく、という仕事だったため、加工時に用いる寸法などを確実に把握でき、精度の求められる加工において十分要求に達する製作ができたと思う。
ただ、全体的にクオリティの高く、代わりに工程の多い設計思想な野谷と、簡素で組み立てやすいがクオリティが低くなる私の設計思想において衝突することがままあり、出来上がったMemoLipを見ると十分なクオリティを期間内に作り上げることができているため、そこについて考えが当時凝り固まっていたのは反省点である。
その他にも、前述のとおり私は基本的な加工を行った。これは穴あけや裁断などの組み立てに用いる部品を制作するものである。基本的な組み立ては野谷主導で行っていたが、特に昇降機構などは自分がつくったために精度が大変求められ緊張した。一番細かく測って作ったと自負しているが、つっかかりなく滑らかに昇降ができている点から見ても、成功と言えて満足している。
今回、もう一人のメカの野谷が設計と製作を担当してくれたことで、高いクオリティと妥協のない機能を搭載することが出来たので、機体が問題なく動作し、社会実装や発表会において評価を得られたのはその存在がかなり大きかったと思う。設計をドキュメント整備のために確認する中で、当初問題となっていた2人間の齟齬が解消されたために後半の設計をスムーズに終えることが出来、満足できるMIRS開発を行えたと思う。



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