名称MIRS2602 走行制御POC設計
番号MIRS2602-DSGN-0004

版数最終更新日作成承認改訂記事
A012026.09.07森 匠未初版
A022026.09.22森 匠未試験場内動作の動作確認結果(2026.09.14実施)を反映。盤・待機場所の位置指定に「地図タップ」方式を追加

1. 目的・位置づけ

本書は MIRS2602-DSGN-0003(制御システムPOC設計) の後継である。DSGN-0003 は「人を追従して動く」制御だけを設計していたが、その後の 走行系PoC検証(MIRS2602-REPT-0001) で、追従走行だけでは施設内をまっすぐ安定して移動できないことが分かった (緊急停止5回・直線でも約1mの蛇行・本体との通信断・速度上限が約1m/s)。

これを踏まえ、走行制御の詳細仕様では移動の方式を複線化した。本書はそのうち 教示再生走行と試験場内動作の設計を、概念と全体像の レベルで示す。詳細仕様は分量が大きいため、この2つに絞る。追従走行そのものの設計、 カメラ昇降機構(MIRS2602-DSGN-0002)、 音声による議事録作成は本書の対象外とする。

2. 適用範囲

対象教示再生走行(教示・順再生・逆再生)/ 試験場内動作(前日の地図作成から、当日の盤前移動・向き合わせ・呼び寄せまで=配電盤の前でカメラを昇降できる状態にするまで)
対象外追従走行の詳細設計 / カメラ昇降の制御(ピッチ・ヨー・高さ)/ 盤前での低速並進 / WebUI 画面設計の詳細

3. 走行モードの全体像

4. 教示再生走行の設計

4.1 考え方

人が一度ロボットを手動で運転してコースを1周し、地図と経路を記録する(教示)。 以後はロボットが単独でその経路をなぞる(再生)。産業用ロボットの 「ティーチング/プレイバック」(ISO 10218)と同じ考え方である。追従走行は毎回人が 先導する必要があるのに対し、教示再生は一度教示すれば以後は人が同行するだけでよい。 何度も使う経路ができたとき、または物の配置が大きく変わったときに教示し直す。

4.2 教示(記録)

4.3 再生

4.4 順再生・逆再生

独立した方式ではなく、教示再生画面の中の選択肢(往路の経路をそのまま逆にたどる)。

4.5 検証状況

走行系PoC検証2(MIRS2602-REPT-0003) の第5回(2026年9月7日、校舎3階 約170m)で、教示・再生とも完走し、終点誤差は500mm以内だった。

5. 試験場内動作の設計

5.1 考え方

試験会場に着いてから、配電盤の前でカメラを昇降できる状態にするまでの一連。会場内では 常時追従せず、待機し、要請があったときだけ移動する(試験員の作業の 邪魔をせず、狭い場所での衝突リスクも下げる)。ここでは速度は評価軸にならず、問われるのは 「盤前に何cm・何度で着けるか」と「1つの盤あたり何操作かかるか」(盤の数だけ操作が積み上がる)。

中核の考え方は、盤の位置を、現地の何か(試験員・ロボット本体・操作者の目)と 結びつけて与えること。これにより「地図の原点が毎回変わる」「地図のどこが盤か 読めない」という2つの問題が同時に消える。初版では「試験員がそこに立つ」(2点指示)の 1方式だけを想定していたが、2026年9月14日の動作確認(5.11節)でいまの姿勢で登録 と地図タップの2方式を追加検証し、3方式を選べる設計とした(5.4節)。

5.2 全体の流れ

【前日】
  試験場に到着
   → 追従で連れ回しながら地図を作る
   → 各盤の位置を登録(地図にピンが立つ)。方式は
      いまの姿勢で登録/2点指示/地図タップ の3通りから選ぶ(5.4節)
   → 1ボタンで待機場所へ戻る → 地図を直す → 保存

【当日】
  機体を待機場所に置き「待機場所にいる」と宣言
   (システムが LiDAR で照合し、ずれていれば警告)
   → (a) ピンを選ぶ  = 登録済みの座標へ移動
      (b) その場で呼ぶ = いま試験員がいる位置へ移動
   → 試験員が退いたのを確認して発進 → 到着 → 向き合わせ → 撮影
   → 次の盤 / 待機場所へ戻る

  (a) と (b) は同じ操作の「あとで行く版」と「今行く版」で、
  保存するかどうかだけが違う。

5.3 モード

前日の地図作成・登録はすべて「試験準備」モードの内部で行う。当日は、行き先を選んだ 時点で「配電盤ナビ」「呼び寄せ」「待機場所ナビ」に入り、盤前に着くと「盤前到着」へ 移る。「到着」は滞在する状態を作らない(向き合わせが終わった瞬間に「盤前到着」へ移る)。

5.4 盤・待機場所の位置と向きの与え方(登録方式)

盤・待機場所の位置と向きを与える方式として、次の3通りを用意した。いずれも1回の操作で 「位置」と「向き」を1組の情報として登録する点は共通する。

方式やり方ロボットを動かす必要試験員が動く必要
いまの姿勢で登録ロボット本体を実際に盤の前まで動かし、「いまの姿勢で登録」を押す。そのとき認識している自己位置がそのまま記録される。ありなし
2点指示①ロボットに立ってほしい位置に試験員が立って押す(=ゴール地点)。②そこから盤へ一歩寄った点で押す(向きを与えるためだけで、保存されない)。①→②のベクトルが盤の正面方向になる。人物追跡センサで2点を読み取る。なしあり
地図タップタブレット画面に表示された地図を指でタップして位置を、そこからもう一点ドラッグして向きを指定する。ロボットも人も動かさず、画面操作だけで完結する。なしなし

5.5 盤前移動と向き合わせ

5.6 退避待ちゲート(安全上の要)

呼び寄せなどでは、試験員がゴール地点から一定距離離れ、その状態が一定時間続くまで 発進しない。追跡が切れているあいだも発進しない。一定時間たっても退避が 確認できなければ中止し、2点指示からやり直す。この待ちのあいだは手動操作を無効化する。

5.7 人物トラッキングの使いどころ

人物データを使うのは「呼び寄せ」の全体と、前日の登録のうち2点指示を選んだ ときの「登録の瞬間」だけ。いまの姿勢で登録・地図タップでは人物データを使わない。ピンを 選んでの盤前移動や待機場所への移動でも使わない。会場内の人物候補と選択中の対象は追従走行と 同じレーダー部品で表示・選択し、画面ごとに見た目や選び方を変えない(取り違え防止)。

5.8 前提条件

5.9 検証項目

盤面の平面検出の成功率 / 登録方式(いまの姿勢で登録/2点指示/地図タップ)ごとの位置・向き 誤差[cm・度]の比較 / 1つの盤あたりの画面操作回数・登録所要時間(盤の数だけ積み上がる)/ 地図作成+盤登録の所要時間と手修正回数(目標: 試験員1人で完結し、地図の手修正が不要)/ 地図タップにおける誤タップ(画面上の地図で実際と違う場所を指定してしまうこと)の発生率。

5.10 未確定事項

5.11 検証状況

2026年9月14日、クリエイティブラボにて2回の動作確認を実施した(詳細は MIRS2602-REPT-0006 「走行系(試験場内)PoC検証」。6節参照。)。

第1回は、5箇所を配電盤に見立て、前日準備から当日の全箇所巡回・障害物や 人への対応・呼び寄せまでの一連が事故なく動作するかを確認した。前日準備(地図作成→5箇所 登録→待機場所復帰→保存)を3分55秒、当日の全箇所巡回を5分11秒で、いずれも途中停止なく 完了した。進路上への人の飛び出し・段ボール箱による進路ふさぎ・連続した進路ふさぎのいずれも 自動で停止し、障害物がなくなれば自動で再開した(衝突なし)。呼び寄せ・追跡対象の選び直しも 正常に動作した。

第2回は、登録方式(いまの姿勢で登録/2点指示/地図タップ)の比較を行った。 地図タップはこの試験当日に新規実装し、実機のタブレットで動作確認する過程で 見つかった不具合2件(地図の拡大操作ができない、タップ位置と実際に登録される位置がずれる)を その場で修正した。3方式とも登録した位置へ実際に到達できることを確認した。精度・所要時間の 比較結果は5.4節に反映した。

6. 関連文書




MIRS DATABASE