名称 MIRS1905 標準機製作報告書
番号 MIRS1905-REPT-0001
版数 最終更新日 作成者 承認者 改訂記事
A01 2019/6/14 赤池寛太 初版
A02 2019/7/8 赤池寛太 青木先生 第二版

目次

1. 本ドキュメントについて

本ドキュメントはMIRS1905標準機の製作報告書である。

2. 製作担当者一覧

製作物、製作担当者を示す。

製作物 製作担当者
電源ボード 武田恋 林直哉 渡邉裕斗
RaspberryPi 佐塚舜 赤池寛太
Arduino 津川陸人 室伏恭輔
シャーシ 安藤瞭汰 酒井燈

3. 標準機製作手順


標準機製作における作業手順を示す。

3.1. 電源ボード

3.1.1. 基板の作成

電源ボード基板は駆動系電源スイッチと接続ケーブルを基に作成した。
作成時に参考にした電源ボードの回路図をfig.1、実際に作成した基盤の画像をfig.2、fig.3に示す。


fig.1 電源ボード 回路図


fig.2 電源ボード 表


fig.3 電源ボード 裏

押しボタンスイッチについて
N.O ;常開端子(a)
N.C.;常閉端子(b)
COM :共通端子(c)

ON状態とOFF状態でのスイッチ内部での動きをfig.4 fig.5に示す。
COMにN.Oの信号が入ればL+に出力(fig.4)
COMにN.C.の信号が入ればL-に出力(fig.5)

fig.4 スイッチONの状態


fig.5 スイッチOFFの状態

工夫した点
  • ジャンパ線を使わないように基板の両面を用いて配線を行った
  • 少しでもわかりやすくなるよう、素子の配置を回路図と同じ配置にした
  • Arduino班がわかりやすいよう、バッテリーとモーター制御ボードピンに目印を付けた

    3.1.2. 単体試験

    導通試験と動作試験を行った。
    導通試験では接続されるべき端子の接続、及び意図しない短絡がないことを確認できた。
    動作試験では、スイッチをONの状態ではLEDが点灯しArduinoに電流が流れ、OFFの状態ではLEDが消灯し、Arduinoに電流が流れない仕様を確認できた。

    3.2. Arduinoのセットアップ

    3.2.1. Arduinoシールド基板の作成

    Arduinoシールド基板はArduinoのセットアップとデバイス接続を基に作成した。 工夫として、基板裏のジャンパ線が短くなるような配線をした。 作成した基板の画像をfig.6、fig.7に示す。


    fig.6 arduinoシールド基板 表


    fig.7 arduinoシールド基板 裏

    3.2.2.単体試験

    導通試験と動作試験を行った。
    導通試験では接続されるべき端子の接続、及び意図しない短絡がないことを確認できた。
    動作試験ではArduino単体での動作試験を基に配線し、試験を行った。今回、モーターのギア比を1:27から1:14に変更した。
    エンコーダ試験の結果をfig.8、fig.9、パルス波形をfig.10に示す。また、直進走行制御試験の結果をtab.1に、旋回走行制御試験の結果をtab.2に示す。なお、直進走行制御試験の条件は速度25[cm/s]、移動距離100[cm]で行い,旋回走行制御試験の条件は角速度45[deg/s]、回転角180[deg]で行った。


    fig.8 エンコーダ試験1


    fig.9 エンコーダ試験2



    fig.10 エンコーダパルス波形

    tab.1 直進走行制御試験

    回数 時間(s)
    1 4.39
    2 4.33
    3 4.42
    4 4.35
    5 4.33
    理論値 4.00
    平均値 4.364
    標準偏差 0.036

    tab.2 旋回走行制御試験

    回数 時間(s)
    1 4.40
    2 4.32
    3 4.45
    4 4.26
    5 4.15
    理論値 4.00
    平均値 4.316
    標準偏差 0.106

    エンコーダ試験は車体のタイヤが床等に接触しない状態で行った。fig.8、fig.9より回転し始めは左のモータが先行していて、安定してくると右のモータが先行していることがわかる。このことから動き始めは左に車体がずれるが、すぐに右に車体がずれる挙動を示す可能性があると考えられる。
    Fig.10より、エンコーダのA層とB層の位相が適切に取れているため正しく動作している。また、波形の幅が常に一定でないのは、エンコーダ内の磁石が並行でないからと考えられる。

    3.3. RaspberryPiのセットアップ

    3.3.1. Raspbianのインストール

    Raspberry Pi のインストールとセットアップを基に、MicroSDカードにRaspberryPi用のOSであるRaspbianをインストールした。

    3.3.2. RaspberryPiシールド基板の作成

    RaspberryPiシールド基板はRaspberry Pi のセットアップとデバイス接続を基に作成した。 工夫として、短絡を防ぐため、基板両面を用い配線した。 作成した基板の画像をfig.11、fig.12に示す。


    fig.11 RaspberryPiシールド基板 表


    fig.12 RaspberryPiシールド基板 裏

    3.3.3.単体試験

    導通試験と動作試験を行った。
    導通試験では接続されるべき端子の接続、及び意図しない短絡がないことを確認できた。
    動作試験ではRaspberry Pi での動作試験を基に配線し、試験を行った。配線した状態をfig.13に、行った試験とその結果をtab.3、tab.4に示す。


    fig.13 単体試験 実際の配線


    tab.3 RaspberryPi単体試験

    テストプログラム 確認できた内容
    test_io タッチセンサのON/OFFの判別 (正常)
    test_uss tab.4に示す
    test_camera USBカメラで映像が写せること (正常)
    test_capture USBカメラのキャプチャ画像 (正常)
    test_number 45(30)cm以上340(350)cm以内の範囲で安定して数字を認識した(括弧内は不安定動作の値)

    tab.4 超音波センサ試験 左右各5回平均

    実際の距離(cm) 左センサの値(cm) 左センサ誤差(cm) ※全て+の誤差 右センサの値(cm) 右センサ誤差(cm) ※全て+の誤差
    50 56.2 6.2 57.2 7.2
    40 47 7.0 46.8 6.8
    30 37 7.0 36.8 6.8
    20 29.6 9.6 28.8 8.8
    tab.4より、左右の超音波センサ両方で実際の距離から平均して+6.2(cm)から+9.6(cm)の誤差が見られる。この誤差は実際の距離が離れるにつれ減少している。
    各距離の左右の誤差の平均、超音波センサプログラムの仕様を考慮し、実測値から+7.15%することにした。

    3.4. 標準機本体の製作

    3.4.1. 部品整理

    製作に必要なねじ等の個数を確認し、補充した。確認した部品をtab.5に示す。

    tab.5 確認した部品の一覧
    部品名 必要個数(s) 確認数 過不足
    5mm キャップボルト 12mm 24 21 -3
    3mm なべねじ 15mm 16 11 -5
    3mm なべねじ 12mm 28 28以上 +約50
    3mm なべねじ 10mm 2 2 ±0
    2.6mm なべねじ 30mm 4 8 +4
    2.6mm なべねじ 10mm 6 6 ±0
    スペーサー 10mm 10 6 -4
    スペーサー 5mm 12 6 +4
    スプリングワッシャ 5mmキャップボルト用 24 21 -3
    スプリングワッシャ 3mm用 8 14 +6
    スプリングワッシャ 2.6mm用 6 6以上 +約20
    ナット 3mm用 36 36以上 +約50
    ナット 2.6mm用 10 10以上 +約20

    3.4.2.部品の作成

    3Dプリンタで作成する部品のうち、駆動用バッテリーホルダー、制御用バッテリーホルダーは昨年度のMIRSで使っていたものを使用した。
    超音波センサマウントは新しく設計し、3Dプリンタで作成した。
    使用した部品の写真、作成した部品の図面をfig.14、fig.15、fig16に示す。


    fig.14 左:制御用バッテリーホルダー 右:駆動用バッテリーホルダー



    fig.15 超音波センサマウント三面図



    fig.16 超音波センサマウント


    超音波センサマウントは、昨年度の機体の物を参照したが、穴の位置が標準機の中段シャーシと一致していなかったため、作り直している。
    また、片方のモーターマウントにタップ加工がされていなかったため、M5タップを用いタップ加工を施した。
    超音波センサマウントのネジ穴のうちの1つが部品の端にあり、破損の恐れがあった。そのため、外形を1mm大きくし、破損を防ぐ工夫をした。

    3.4.3.本体の組み立て

    本体の組み立てはMIRSMG4D 標準機組み立て手順書を基に行った。
    作業の過不足を補うため、行った手順を以下に示す。

    1. タイヤをタイヤホイールと接続し、カップリングとタイヤホイールをM3ねじで固定した。
    2. モータマウントサポートをモーターに通し、モータマウントとモータをM3ねじで固定した。
    3. タイヤホイールのDカット部のネジ穴にM3x10のなべねじを回し入れ、モータシャフトに固定した。
    4. モータマウント、モータマウントサポートと下段シャーシをM5のキャップボルトで固定した。
    5. 駆動用バッテリーホルダ(4個)をM3ねじとナットで固定した。
    6. ボールキャスター(2個)をM2.6ねじとナットで固定した。
    7. 短支柱と下段シャーシをM5キャップボルトで固定した。
    8. 長支柱と下段シャーシをM5キャップボルトで固定した。
    9. モータ制御、電源ボードを下段シャーシに取り付けた。
    10. Raspberry Pi、Arduino を中段シャーシに取り付けた。この際、適宜スペーサーを挿みこんだ。
    11. 制御用バッテリーホルダ(4個)をM3ねじとナットで固定した。
    12. 超音波センサマウント(2個)をM3ねじとナットで固定した。
    13. 中段シャーシと短支柱をM5キャップボルトで固定した。
    14. 制御系ボード、駆動系ボードにケーブルを接続した。
    15. 上段シャーシと長支柱をM5キャップボルトで固定した。

    完成した機体をFig17に示す。


    fig.17 標準機機体

    4. 標準機統合機能試験

    標準機の機能試験を行った。各パーツの実際の配線をfig.18に示す。


    fig.18 統合試験 実際の配線

    4.1. ゲイン調整

    直進におけるPゲイン、Dゲインの調整の過程をtab.6に示す。測定結果に信頼性を持たせるため、ラボ内とラボ前廊下で調整を行った。

    tab.6 直進ゲイン調整

    回数 Pゲイン Dゲイン
    1 40 0
    2 30 0
    3 20 0
    4 10 0
    5 15 0
    6 15 5
    7 15 10
    8 15 15
    9 10 50
    10 10 40
    11 0 0
    12 50 50
    計12回の調整の結果、10回目の調整ゲインを班員の過半数が最もブレの小さい安定した走行と判断したため、10回目の値、Pゲイン10、Dゲイン40を採用した。
    この調整ゲインでの走行の様子をtab.7に示す。条件として、50[cm/s]で200[cm]走行させた。

    tab.7 走行の様子

    場所 前進時のずれ 後進時のずれ   
    ラボ内 右側に1.0(cm)のずれ    右側に1.0(cm)、後ろ側に0.5(cm)のずれ
    ラボ前廊下 右側に5.5(cm)のずれ    右側に3.3(cm)、後ろ側に1.5(cm)のずれ

    tab.7より、3.2.2.単体試験での予想が正しかったことがわかる。
    今回の試験により、予想していた誤差よりも実際の誤差が小さいことが判明した。この誤差は実用範囲内では問題がないと判断し、特にモータ回転比の変更などはしなかった。

    4.2. 電圧検証

    直流安定化電源を用い、動作に必要な電圧を検証した。
    検証の結果、4.4[V]以上で動作したが、安定動作には5[V]以上必要と判明した。

    5. 生じた不具合

    標準機の製作過程で起きた不具合を以下に示す。

    2pinケーブルの発熱及びモータの動作不良
    スイッチの入力に対し動作なし
    超音波センサの発熱
    ボールキャスターの不具合
    モータマウントの設計ミス
    超音波センサマウントの設計ミス

    6.報告会資料

    6/14日に行われた標準機製作報告会の資料を以下に示す。

    報告会資料