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名称
MIRSMG3G モーター制御ボード概要
番号
MIRSMG3G-ELEC-2001
版数
最終更新日
作成
変更点
承認
改訂記事
A01
2015.05.01
石井建至
初版
A02
2015.05.07
赤池郁也
2.モータ制御ボードの仕様から「電源電圧を1つにまとめた。」を削除
8.必要部品の表の定電圧ダイオードの型名をDIODE_10Aから1N4002_1Aに変更
B01
2015.05.07
五十嵐雄介
ドキュメントのつくりを大幅に変更
青木先生
目次
1. はじめに
2. モータ制御ボードの仕様
3. FETについて
4. Hブリッジ回路の動作原理
5. FPGA回路の変更
6. モータ制御ボードの作成
はじめに
MIRSでは、TA7267BPのモータドライバを使用していたモータ制御ボード(
MIRSMG3D 新モータコントロールボード製造仕様書
)を使用していたが、昨年度から新しいモータに変わり、従来のモータの定格電流よりも大きい電流を必要としているため、新たにモータドライバから作成し、目標5[A]まで耐えられるようにする。また、モータを制御する原理であるHブリッジ回路を理解できるようにする。
モータ制御ボードの仕様
これまでの標準機のモータ制御ボードと比べると、全く新しいボードになった。そのため、仕様が大幅に変わることとなった。
以下に新しいモータ制御ボードの仕様を示す。
モータ制御を2pinで制御していたことを4pinでの制御に変更。(5.FPGA回路の変更で説明)
PWMキャリア周波数を約8[kHz]から約1.1[kHz]に変更。(5.FPGA回路の変更で説明)
既存のモータドライバを使用せず、nチャネルMOS-FETとpチャネルMOS-FETを使用した。
FETについて
FETはField Effect Transisterの頭文字を取ったもので、nチャネル型とpチャネル型の2つがある。以下に素子を示す。nチャネル、pチャネル共に、基本的に同じ形である。図はnチャネルのFETである。
図のGはゲート、Dはドレイン、Sはソースのことである。また、回路では下の図のように示す。
FETはゲートソース間電圧を変化させることでFETは駆動し、IDS(ドレインソース間電流)の大きさを変化させる。
nチャネルのFETとpチャネルのFETでは特性が真逆であり、pチャネルのFETがONになるためにはVGS(ゲートソース間電圧)をLowにすればよい。nチャネルはその逆である。
nチャネル、pチャネルのFETをそれぞれ使用するのは、pチャネルのドレイン側に負荷を、nチャネルのソース側に負荷を置かないためである。モータ制御ボードでの負荷はモーターである。nチャネルはFETがONになるためにはVGS(ゲートソース間電圧)をHIGHにする必要がある。ソース側に負荷を接続するとソースに電圧が発生し、VGSが低くなり、FETがOFFになってしまう。こうなるとFETが発熱してしまう。
Hブリッジ回路の動作原理
今回、作成した回路を元に原理を簡単に説明する。
以下に、作成したHブリッジ回路を示す。
Hブリッジ回路では、図のようにドレイン電流が流れることによりモータを正転・逆転させる単純な回路となっている。
今回作成した回路を見て分かるように、FETがそれぞれ独立した信号線を持つようにしたため、モータ制御を4pinにしている。
図の回路のコンデンサはVccの電流のノイズをなくすために使われている。ダイオードはキックバック防止用に使用されている。キックバックとは、モータで発生した電流がFETに逆流をしてしまうことである。ダイオードを接続することで、電流が逆流したときにダイオード側に流れるため、FETが守られる。
また、もしpチャネル、nチャネルの縦2つが同時にONになると、下の図のように短絡してしまい、FETが発熱してしまうので注意してほしい。今回のモータ制御ボードでは正転、逆転の信号を高速で切り替えると、一瞬だけ2つがONになってしまい、発熱してしまう。
FPGA回路の変更
新しいモータ制御と旧モータ制御での仕様が異なるので、以下にFPGAで変更しなければいけない個所を示す。
モータ制御を2pinで制御していたことを4pinでの制御に変更する。
PWMキャリア周波数を約8[kHz]から約1.1[kHz]に変更する。
これまでのモータ制御ではPWMのキャリア周波数は8[kHz]であったが、今回参考にしたモータドライバ(
フルブリッジDCモータコントロールキット
)が必要としているPWMキャリア周波数が1.1[kHz]なので、FPGA内のPWMの周波数を変更する必要がある。
これにはフォトカプラのスイッチング特性が影響している。フォトカプラのスイッチング特性(
TLP504A
)より動作する最小のパルス幅は42[μs]となる。PWM信号のパルス幅がこれより短いと、フォトカプラは正しく動作しない。PWMのキャリア周波数が8[kHz]の場合は、duty比30%のときにパルス幅は37.5[μs]となり、動作しなくなる。PWMキャリア周波数が1.1[kHz]の場合は、duty比10%のときでもパルス幅は90.9[μs]となり動作できる。PWMのキャリア周波数を変更することで動作するduty比の範囲が広くなる。
FPGAの回路の変更を詳細に示したドキュメント下記に示す。
FPGA回路変更説明書
このドキュメントを参考にして回路変更をしてください。
FPGA回路を変更しなければ新しいモータ制御ボードは使えないことを留意しておくこと。
モータ制御ボードの作成
モータ制御ボードの作成について記したドキュメントを下記に示す。
モータ制御ボード詳細設計書
MIRSMG3Gドキュメント管理台帳