MIRS1303 管理台帳へ戻る

名称 MIRS1203 解体報告書
番号 MIRS1303-RPRT-0001

最終更新日:2013.5.19



版数 最終更新日 作成 承認 改訂記事
A02 2013.5.24 飯塚洸平・鈴木悠人 江上親宏 電源ボードの写真を編集
乾電池の記事改訂
LEDボード記事改訂
シャーシ、バンパー記事改訂
端子台記事改訂
MCB記事改訂
キャスター記事改訂
車輪記事改訂
標準機について記事追加
A01 2013.5.10 飯塚洸平・鈴木悠人 初版


目次




1.はじめに

本ドキュメントは、MIRS1203の解体手順とMG3標準機との相違点に関する分析結果について記したドキュメントである。

2.全体図

写真1に全体図を写真2に上面図を示す

写真1 全体


写真2 上面図

3.上段シャーシの解体

3.1 ボード類の取り外し

電源ボード、LEDボード、端子台、超音波センサ4個が上段シャーシに取り付けられていた。
写真3に電源ボード、写真4にLEDボードの、写真5に自作ボード、写真6に超音波センサを示す。

電源ボードは3箇所をボルトとナットで直接上段シャーシに固定されていた。
コネクタ固定の補強にホットボンドが使用されていた。
電源ボードは標準機と変更されていなかった。
参考:MIRSSTND デュアルレギュレータ電源ボード製造仕様書

LEDボードは、LED・抵抗・ダイオードが各5つ取り付けられていた。
乾電池につながれていて、バンパー用のLEDボードに使用する電圧を調整するために使われていた。
5つのLEDは同時に光るように配線されていた。

小型化が図られているため配線が複雑になっており、それを補助するために端子台が使用されていた。
下段の配線を、上段を経由して接続するために使っていた。
また、後方にバンパーのLEDを点灯させるための乾電池が設置されていた。バンパーのLEDボードを光らせるために使用されていた。

超音波センサは前、左、右2個の計4個取り付けられていた。
MIRS1203は、分岐点で画像処理をしないでとにかく右に曲がってコースを攻略するという右手法を用いているため、右側の壁との距離が重要である
そのため、このような取り付け方になっていると思われる。
右側に2つ設置されているため、車体が壁と平行かを確認できる。
機体の中央付近から外側に向けて、L字の金具を用いて垂直に取り付けられていた。
これは、壁との距離が近すぎると正確に測定できないため、距離をとるために機体の中央付近に設置したと思われる。
参考:MIRSMG3D 超音波センサボード製造仕様書



写真3 電源ボード


写真4 LEDボード


写真5 端子台


写真6 超音波センサ


3.2 バンパーの取り外し

バンパーは前面・右前面・左前面の3ヶ所に取り付けられていた。写真7にバンパーを示す。
前方は蝶番を2個、左右は蝶番を1個使用していた。
バンパーは塩ビ製で、シャーシに合わせて湾曲していた。
シャーシが円形のためそれにあわせてこのような形状になったと思われる。
また、各バンパーには上段シャーシのものとは別のLEDボードが取り付けられていた。
バンパーが押されたときに光るようになっていて、タッチセンサの反応を確認できるようになっていた。

写真7 バンパー

参考:MIRS1203 メカトロニクス詳細設計書




3.3 コネクタの取り外し

USBコネクタ2個、VGAディスプレイコネクタがシャーシに直接取り付けられていた。写真8にコネクタの取り付け口を示す。
シャーシに専用の穴が開けられていて、そこにそれぞれネジ2本ずつで固定されていた。
これにより、コネクタ取り付けボード( 参考:MIRSMG3D 各種ポート取付板製造仕様書 ) を作る必要がないので、省スペースになっていると思われる。

写真8 コネクタの取り付け口



4.シャーシの切り離し

上下のシャーシを切り離すためにシャーシ間を繋ぐケーブルを外しておく。
ネジ3本と支柱(丸)によって固定されていた。
支柱は自作になっており標準機より長く、128mmになっていた
ボード類を下段シャーシに移したためであると思われる。
参考:MIRSMG3D 支柱製造仕様書



5.下段シャーシの解体

5.1 ボード類の取り外し

モータ制御ボード2枚が前後にL字の金具を用いて垂直に取り付けられていた。写真9にそれを示す。
そのうち前方の1枚ははんだ面保護のために、同サイズの基板を取り付けていた。
標準機からは、電源ケーブル用のコネクタが変更され、DCジャックを使用していた。
接続ミスを無くすためであると思われる。
また、モーター制御ボードの裏にバッテリーを入れるための箱が設置されていた。
重心を後ろにし、ステップ・シーソーを攻略しやすくするためであった。
参考:MIRSMG3D MTCB製造仕様書

写真9 モータ制御ボード


中央には、上からドータボード、FPGAボード、CPUボードの順で重ねられ、ネジ4本で固定されていた。
写真10にドータボード、写真11にFPGAボード、写真12にCPUボードを示す
ドータボードは、標準の2枚から1枚に変更されていた。
1枚にまとめたことで、I/O エラーを減らしていると思われる。
また、ドータボードは一昨年のMIRS1104からの引き継ぎであることがわかった。
ただ、モータ制御ボードへのコネクタが外され、ケーブルを直接つないでいた。
参考:MIRS1104 daughter board仕様書



写真10 ドータボード


写真11 FPGAボード


写真12 CPUボード




5.2 タッチセンサの取り外し

タッチセンサは、バンパーの下の位置にそれぞれ1個ずつ設置されていた。写真13にそれを示す。
シャーシの上に直接、ネジ2本を使って固定されていた。
スポンジのクッションも設置されていて、バンパーが強く押されないと反応しないよう工夫されていた。

写真13 タッチセンサ


5.3 白線センサの取り外し

シャーシ前方の下に2個取り付けられていた。写真14に白線センサを示す。
画像処理を行わないため、主にゴールの検知にのみ使用されたと思われる。

写真14 白線センサ


5.4 車輪・モータの取り外し

車輪は自作のもので、アルミ製の大きな車輪に滑り止め用のゴムシートを貼り付けてあった。写真15に車輪を示す。
標準のものよりも薄い車輪になったので、幅の調整のために、塩ビ製のワッシャーを3枚重ねて使用していた。

モータはシャーシの上に、ロータリエンコーダと共に金具を用いて固定されていた。写真16にロータリーエンコーダを示す。
ロータリエンコーダへ回転を伝える輪ゴムがかけてあったが、片方は8の字に輪ゴムがかけてあった。
これは、前進したときに左右どちらのエンコーダも正負のそろった値を返すようにする工夫であった。
車輪が薄くなったので小型化になっている。

コース攻略がしやすくなる一方で、車輪の変更にはデメリットもある。
まず、車輪の径や幅が変わるため、各パラメータの調整が必要であること。
また、アルミのままでは滑りやすいので、ゴムシートが必要であること。
使用しているとゴムシートが滑りやすくなってきてしまうため、定期的な交換が必要になることである。

参考 MIRS1203 メカトロニクス詳細設計書

写真15 車輪


写真16 モータ・ロータリエンコーダ



5.5 ボールキャスターの取り外し

キャスターは、前後に1つずつ取り付けられていた。写真17にその写真を示す。
前後で高さが違い前のキャスターの方が低かった。
機体が前後に傾けるようになり、ステップ・シーソーの攻略がしやすくなると思われる。

写真17 キャスター



6.解体後の全部品

写真18に解体後の全部品を示す。全体として、部品数が少なくなっており、コンパクトにまとめられていたことがわかる。

写真18 解体全体

7.総括

MIRS1203は標準機から大幅に変更されており、迷路クリアのための工夫点が多くあった。
それらの変更点のまとめを表1に示す。

表1 標準機との変更点まとめ
パーツ 改良点 目的
シャーシ 上段はPET製、下段は塩ビ製に変えた 小型化、軽量化のため
Webカメラ 取り外した 不要パーツ削減し、配線を簡単化するため(画像処理は行わないためカメラ不要)
バンパー 塩ビ板で自作した 軽量化のため
ボード類(FPGA・CPU・daughter) 下段に移動した 上段のスペース確保のため
モータ制御ボード シャーシに対して垂直に取り付けた 機体の小型化を実現するため
超音波センサ 4つ取り付けた 右手法による攻略を確実なものとするため
端子台 取り付けた 配線を管理・整理するため
LED基板 作成・取り付けした 機体の状況確認・デバックのため
コネクタを取り付ける穴を作成した 省スペース化のため
ホイール 自作のものに変更 ステップ・シーソーの攻略のため
ドータボード 一枚に集約 I/Oエラー対策、省スペース化のため
タッチセンサ クッションを取り付けた 誤作動を防ぐため
キャスター 前後で高さを変えた 機体の姿勢を安定化させるため
バッテリー バッテリーBOXを作成した バッテリーを固定するため

参考
MIRS1203 メカトロニクス詳細設計書
MIRSMG3D 上段シャーシ製造仕様書書
MIRSMG3D 下段シャーシ製造仕様書書

今回の解体で、MIRS1203の構造については理解できた。
しかし、MIRS1203は標準機との変更点が非常に多かったため、標準機についての理解はまだ不十分であると思われる。
以下に標準機の理解がまだ足りていないと思われる点をまとめる。
・Webカメラの配線、取付方法
・ドータボードを2枚使った場合の配線
・ラックの取付、使い方
・各パーツの標準機での取付位置
これらを5月24日までに理解することを目標とする。

―追記―
標準機について理解した部分を表2にまとめる。

表2 標準機への理解
調査箇所 調査結果
Webカメラ L字の金具を2つ組み合わせ、コの字型にしたものを使用して固定する。
また、USBケーブルを使用して接続する。
ドータボード 各センサとFPGAボードの中継をしている。
上段には、シリアル通信ポート(MCB)2ポート・タッチセンサポート4ポートがある。
なお、タッチセンサからの4つの入力は、PICを通してから出力してチャタリング除去をしている。
下段では、On/Off I/Oポート8ポートがあり、赤外線センサ、白線センサなどに使われる。
ラック シャーシの裏側からネジを通して固定する。
側面にコネクタ取り付けボードを取り付ける。
上部には電源ボード、超音波センサの電源ボードを取り付ける。
各パーツの取り付け位置 上段に設置するボード(CPUボード・FPGAボード・ドーターボード)が下段に設置されていた。
細かい位置の変更や、取り付け方法の変更もあったので、パーツ取り付けの際は注意する。

参考
MIRSMG3D ドータボード製造仕様書
MIRSMG3D ドータボード取扱説明書
MIRSMG3D 組み立て手順書


・看板娘が乗っていた。かわいかったので写真19にそれを示す。

写真19 看板娘



8.所感

 MIRS1203の最大の特徴である「小型化」というのは、数多くの苦労を私たちにもたらした。
まず、男7人で解体するには機体が小さすぎること。
そして小さいが故に多くの素子、基板が密集・凝縮していること。
さらには、標準機とは変更点の多い設計であること。
標準機の面影も感じられない新規の部品は仕分けの際我々に牙を向いた。
しかし、そのような変更点は昨年度のMIRS1203の苦悩の結果であり、我々に今後のヒントを示唆するものであった。
今回のMIRS解体を通して、部品・ケーブルの知識、各種工夫案、今後の展望など、様々なものを得ることができた。




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