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名称 MIRS1701 標準機製作報告書
番号 MIRS1701-REPT-0001
版数 最終更新日 作成 承認 改訂記事
A2 2018.02.25 藤田 将史 小谷 進 第二版

目次

本ドキュメントについて

本ドキュメントは,MIRS1701標準機の製作報告書である。

製作担当者一覧表

製作物、製作担当者を示す。

製作物,製作担当者
製作物 製作担当者
電源ボード 小比田,藤田
Rasberry pi 鈴木,海野
Arduino 杉本,坂下
シャーシ 関原,大村

標準機製作手順

標準機製作における作業手順を示す。

電源ボード

モータと4pinコネクタとの接続

のようにモータのケーブルをを4pinコネクタに接続した。
モータとコネクタの両方のケーブルの被覆を剥がし、導線を露出させ、露出した部分をねじってはんだ付けした。このとき、ケーブルをねじって接続する前に熱収縮チューブをケーブルの中に通しておき、はんだ付けの後、被覆されていない部分を熱収縮チューブで覆い、ライターで炙り被覆した。


モータのケーブルと4pinコネクタの接続部

導通チェック

モータの入出力ケーブルとそれに対応するピンが導通するかをテスターで確認した。 チェックはFLUKE 107 600V CATⅢ MULTIMETERの導通チェックモードで行った。 抵抗が70Ω未満の場合、継続的にビープ音が鳴り、短絡であることを示す。

電源ボード基板の製作

の回路図の通りに回路を作成した。

電源ボード回路図
電源ボード回路図

電源ボード基板の導通チェック

電源ボード基板の回路の導通チェックをテスターで行った。

Arduinoのセットアップ

ユニバーサル基板の作成

Arduino のセットアップとデバイス接続 を参考にデバイスとの接続に使うユニバーサル基板の作成を行った。実装図を , に示す。


ユニバーサル基板実装図(表面)

ユニバーサル基板実装図(裏面)

実装後は全ての配線について導通・非導通の導通チェックをテスターで行った。

Raspberry Piのセットアップとデバイス接続

タッチセンサの接続

タッチセンサ等の ON/OFF IOデバイスの接続するGPIO ピンに対して、インプットモード指定およびプルアップ設定を行った。

ユニバーサル基板への接続ポートの実装

RaspberryPiとデバイスとの接続にはRaspberryPi用ユニバーサル基板UB-RPI02を用いた。 超音波センサ接続に必要なI2Cレベル変換器もこのユニバーサル基板上に実装した。

  1. ユニバーサル基板に付属の20ピンx2列のピンソケットを半田付けした。
  2. 信号線、ハウジング、ICソケット(8ピン、I2Cレベル変換チップ用)をハンダ付けし実装した。実装図を , に示す。

    RaspberryPiユニバーサル基板実装図(表面)

    RaspberryPiユニバーサル基板実装図(裏面)
  3. テスターを用いて、ハンダ付けを行った全ての回路系に対して、導通・非導通のチェックを行った。
  4. ユニバーサル基板のRaspberryPiへのマウントをした。
    RaspberryPiの HDMI端子の金属部と ユニバーサル基板面が接触してショートすることを防ぐため、ピンソケットのない2ヶ所の通しネジの間に5mmのスペーサを入れた。

超音波センサの接続

超音波センサをジャンパワイヤでRaspberryPiユニバーサル基板に接続した。

Raspbianのセットアップ

  1. RaspberryPi にmicroSDを挿し、ディスプレイ、キーボード、マウス、有線LANケーブルを接続して電源を入れた。
  2. Menu→Preferences→Rasbperry Pi Configurationを起動した。
    Interfacesタブを開き、Camera、SSH、I2C、SerialをEnabledに変更した。
    Localisationタブを開いて、Set Timezoneをクリックし Area→Japanを選択、Set WiFi Country を開いて Japan を選択した。
  3. 無線LANの接続を行った。無線LANアダプタのMACアドレスの事前登録をしたあと、デスクトップ右上のLANアイコンからMG4のアクセスポイントをえらんで接続した。
  4. 日本語IMEのインストールを行う。terminalを開き、次のコマンドを入力して日本語化した。
  5. 次のコマンドを入力し、OpenCVをインストールした。

超音波センサのI2Cアドレスの変更

複数の超音波センサを使用する場合は、センサのそれぞれのアドレスを他と異なる I2C アドレスに付け替える必要がある。 超音波センサ Devantech SRF02 の初期の I2Cアドレスは 0xE0 (7bit仕様では 0x70 )となっているが、以下にその変更手順を示す。

  1. i2cdetect コマンドでアドレスを確認した。

  2. i2cset コマンドでアドレスを変更した。以下のコマンドを入力した。

シャーシの製作

組み立て前の加工

標準機を組み立てるにあたり以下の加工作業を行った。

・長支柱、短支柱のタップ加工
3Dプリンタで作成した支柱(各2個)は上下2か所にタップ下穴が開いているので、M5タップ加工した。

・下段シャーシへの電源ボード固定穴加工
加工済みの下段シャーシは本来上下反転して使用することを考えていたため、電源ボード固定穴が前方向のみに空いていた。
前方に開けてある穴の位置を参考に、Φ3.2の穴を4か所開けた。

ねじ・スペーサーの準備

標準機組み立てに使用した、ねじ・スペーサをに示す。

ねじ・スペーサの個数
名称 用途 長さ[mm] 個数 ワッシャーの有無 ナットの有無
M5キャップボルト モータマウント固定 12 8
短支柱固定 12 8
長支柱固定 12 8
M3ねじ ギアヘッド・モータマウント接続 15 8
駆動用バッテリーホルダ固定 15 8
制御用バッテリーホルダ固定 12 8
超音波センサマウント固定 12 4
超音波センサ固定 20 4
Arduino固定 12 3
モータドライバ固定 12 8
電源ボード固定 26 4
M2.6ねじ Raspberry Pi固定 30 4
キャスター固定 10 6
スペーサ Arduino固定 5 3
モータドライバ固定 5 8
電源ボード固定 10 4
Raspberry Pi固定 10 6
超音波センサ固定 5 4

駆動部の組み立て

以下の手順に従って、駆動部の組み立てを行った。

  1. のように、タイヤの中に細いタイヤ2本をセットした。
    Fig. タイヤ図
    タイヤ
  2. タイヤホイールとタイヤを接続した。
  3. モータマウントサポートをモータに通し、モータマウントとモータをM3のネジで固定した。
  4. モータシャフトにタイヤホイールを固定した。
  5. モータマウント、モータマウントサポートと下段シャーシをM5のキャップボルトで固定した。
  6. 駆動用バッテリーホルダ(4個)をM3ねじとナットで固定した。
  7. ボールキャスター(2個)をM2.6ねじとナットで固定した。
  8. 短支柱と下段シャーシをM5キャップボルトで固定した。
  9. 長支柱と下段シャーシをM5キャップボルトで固定した。

制御部の組み立て

以下の手順に従って、制御部の組み立てを行った。

  1. 制御用バッテリーホルダ(4個)をM3ねじとナットで固定した。
  2. 超音波センサマウント(2個)をM3ねじとナットで固定した。
  3. 中段シャーシと短支柱をM5キャップボルトで固定した。

拡張部の組み立て

上段シャーシと長支柱をM5キャップボルトで固定した。組み立て後の写真を に示す。


組み立て後のシャーシ

支柱の付け替え

長支柱を3Dプリンタ製からアルミ製の物に交換した。
交換後の写真をに示す。


長支柱の交換

バッテリーホルダの再設計

標準機の駆動用バッテリーホルダがバッテリーと干渉していた。
そのため干渉しないバッテリーホルダを設計し、3Dプリンタで出力した。 設計図のPDFファイルのダウンロードリンクを下に示す。
バッテリホルダ-11
バッテリホルダ-21
バッテリホルダ-1
バッテリホルダ-2
バッテリーホルダシャーシ組図
取り付けた後の写真をに示す。


バッテリーホルダの取替え

標準機単体機能試験 評価結果

Arduino単体での動作試験

Arduino単体での動作試験 を参考に、Arduino単体での動作試験を行った。

  1. Arduino に接続して動作させるデバイス(モータ、エンコーダ、電源監視)を接続した。
    モータのケーブルとの接続は技術情報の ケーブルについて と、 エンコーダ出力の確認 に記載されている情報を確認して行った。
  2. エンコーダの波形を確認した。波形はエンコーダの仕様通りだった。
    波形をに示す。
    fig2.エンコーダ波形
    エンコーダ波形
  3. PWM波形を確認した。 PWM値を64,128,192,255にしたときの左右のPWM波形をFig.12~19に示す。

    PWM値64のときのPWM波形(左)

    PWM値64のときのPWM波形(右)

    PWM値128のときのPWM波形(左)

    PWM値128のときのPWM波形(右)

    PWM値192のときのPWM波形(左)

    PWM値192のときのPWM波形(右)

    PWM値255のときのPWM波形(左)

    PWM値255のときのPWM波形(右)

Raspberry Pi単体での動作試験

Raspberry Piでの動作試験 に従って、Raspberry Piの動作試験を行った。
以下のテストプログラムを実行して、動作を確認した。

超音波センサの測定結果
実距離(cm) 右センサ計測距離(cm) 左センサ計測距離(cm)
10 -1 -1
20 28 28
30 38 38
40 48 38
50 58 58
60 68 68
100 108 108
140 146 146
150 156 152

標準機統合機能試験 評価結果

以下に示す手順で標準機の統合試験を行った。

標準機統合

ケーブルの接続 を参考にして、標準機の組み立てを行った。

組み合わせ動作確認

ArduinoとRaspberry Piの通信

ArduinoとRaspberry Piの通信を行った。 Raspberry Pi での動作試験 からダウンロードしたコンパイル済みのテストプログラムtest_requestを実行し、実動作を確認した。
test_requestの標準プログラムでは RaspberryPiからArduino側には走行指令、ArduinoからRaspberryPi側にはバッテリー電圧や走行状態を送ることができる。
実行の結果、プログラムの通りに直進走行、旋回し、ArduinoからraspberryPiに状態が送られることをを確認できた。

走行制御ゲイン調整

Arduinoソースコードにある直進制御のPゲインKsを変更して直進できるように調整した。
距離4m、速度30cm/sで調整した。
Ks>20のとき、機体が震えながら走行した。
Ks≦20のとき震えが止まったが、機体がやや左に曲がる走行になった。
Arduinoソースコード内のdefine.hにある左タイヤに対する右タイヤの回転比L_R_RATIOを1.005に変更し、Ks<20の範囲で直線走行できるようになった。
デフォルトのL_R_RATIO値では機体が曲がってしまったのは、モータの回転とタイヤの進む距離の比が左右で異なるからだと考えられる。
最終的にKsは20とした。

標準機完成

以上のとおり製作し、標準機が完成した。完成図をに示す。


組み立て後の標準機

不具合情報

標準機作成の際に起こった不具合を報告する。