lpr
コマンドには, テキストの整形や, 図や他のファイル形
式の変換, 複数部コピーの生成, ジョブの扱いなどをを制御すること
ができます. この節では, これに関するオプションについて記してい
ます.
以下の lpr
用のオプションはジョブにおけるファイルの
整形の制御に関するものです. このオプションは, ジョブにプレイン
テキストが含まれない場合や pr
ユーティリティを使ってプレイ
ンテキストを整形する場合に用いてください.
次の例では, プリンタ bamboo
に (TeX 組版システムによる)
DVI ファイル fish-report.dvi
を印字しています.
lpr -P bamboo -d fish-report.dvi
このオプションは, ジョブに含まれるすべてのファイルに対して適用さ
れます. したがって, 1つのジョブに (例えば) DVI ファイルと ditroff
ファイルを混在させることはできません. その代わりに, ファイルを
形式毎に別々のジョブに分け, それぞれのジョブでその形式用の変換
オプションを使って印字してください.
注意: -p
と -T
を除くすべてのオプションを使用
するためには, 出力先プリンタ用の変換フィルタが必要です. 例えば,
-d
オプションを使用するには, DVI 用の変換フィルタが必要
です. 詳細については, 「
変換フィルタ」で説明しています.
-c
cifplot ファイルを印字します.
-d
DVI ファイルを印字します.
-f
FORTRAN プログラムを印字します.
-g
plot のデータを印字します.
-i number
出力に対して, number カラム分の字下げをおこないます. number が省略されると, 8カラム分字下げされます. このオプションはある変換フィルタと一緒の指定されたとき のみに機能します.
注意: -i
と数字の間に空白を入れてはいけませ
ん.
-l
制御文字を含む文字通りのテキストデータを印字します.
-n
ditroff (device independent troff) データ を印字します.
印字する前に pr
によってプレインテキストを整形し
ます. 詳細については pr(1) をご覧ください.
-T title
pr
コマンドにより生成されるヘッダを, ファイル名の
代わりに title とする. このオプションは, -p
と一緒に使ったときのみ機能する.
-t
troff データを印字します.
-v
ラスタのデータを印字します.
次の例では, ls
のマニュアルを美しく整形したものをデフォ
ルトプリンタで印字しています.
zcat /usr/share/man/man1/ls.1.gz | troff -t -man | lpr -t
zcat
コマンドで ls
のマニュアルのソースファイルの圧
縮を復元し, これを troff
コマンドに渡しています. これによ
り, ソースファイルが整形され, GNU troff の形式となります. そ
の結果は lpr
に渡され, LPD スプーラへジョブの要求が発せ
られます. lpr
には -t
オプションが使われているため,
スプーラにて, GNU troff の形式からジョブを印字したときにデフォ
ルトプリントが解釈できる形式へと変換されます.
以下のオプションは, lpr
によって, そのジョブを特殊
な扱いにするよう LPD に指示するためのものである.
ジョブに含まれるファイルのそれぞれを1部だけ印字するの ではなく, copies 部のコピーを生成させるものです. 管理者によっては, プリンタの消耗を避け, コピー機による 複製を奨励するためにこのオプションの使用が禁止されてい るかもしれません. これに関しては, 「 複数部のコピーの印字を制限する」をご覧ください.
次の例では, デフォルトプリンタで parser.c
を3
部コピーし, 次に, parser.h
を3部コピーしています.
lpr -#3 parser.c parser.h
印字ジョブが完了した後で, メールを送ります. このオプショ ンを付けると, LPD システムはジョブの扱いが終了したと きに, あなたのアカウントにメールを送ります. メールのメッ セージには, ジョブが正常終了したのか, あるいは, 何か異 常があり, (しばしば) その異常が何であったのかが書かれて います.
印字ファイルをスプールディレクトリにコピーせず, 代わりに, シンボリックリンクを作成するよう指示します.
印字させるジョブのサイズが大きいとき, このオプショ ンを使うと便利かもしれません. このオプションにより, スプー ルディレクトリの容量が節約されます (それに, 巨大なジョ ブのお陰でスプールディレクトリのあるファイルシステムの 空き容量がなくなってしまうかもしれません). さらに, LPD がいちいちすべてのデータをコピーする必要がなくなりま すので, 時間の節約にもなります.
ただし, 欠点もあります. LPD はオリジナルのファイルを 直接参照するので, 印字が終了するまでそのファイルを変更 したり削除することができません.
注意: リモートのプリンタで印字している場合, LPD
は, 結局のところ, ローカルホストからリモートホストにファ
イルをコピーする必要があります. したがって, -s
オプ
ションはローカルのスプーリングディレクトリの空き容量を
節約するだけで, リモート側では節約されません. それに
も関わらず, このオプションはそれでも有用です.
ジョブに含まれるファイルを, スプーリングディレクトリに
ファイルをコピーした後に削除します. もしくは, -s
オプションと一緒に使われた場合は, 印字終了後に削除され
ます. このオプションの使用には十分注意して下さい.
以下のオプションにより, ジョブのヘッダページに通常印字さ
れるテキストを lpr
に調整させることができます. 対象のプリ
ンタからヘッダページが出力されない場合は, これらのオプションは
何の効力も持ちません. ヘッダページの設定に関する情報については,
「
ヘッダページ」を参照してください.
ヘッダページに印字されるホスト名を text に置き換 えます. なお, ホスト名の場所には, 通常, ジョブの要求が あったホストの名前が印字されます.
ヘッダページに印字されるジョブ名を text に置き換 えます. ジョブ名の場所には, 通常, ジョブの最初のファイ ル名, または, 標準入力からデータが印字されたときは 「stdin」が印字されます.
ヘッダページを出力を禁止します. 注意: サイトによっ ては, そのヘッダページの生成方法により, このオプション の効果が現れないかもしれません. 詳細は, 「 ヘッダページ」をご覧ください.