沼津高専 電子制御工学科 | ||||||||
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改訂記録 | ||||||||
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版数 | 作成日 | 作成者 | 承認 | 改訂内容 | ||||
A01 | 2006.7.11 | 小谷田 | 高村 | 初版 | ||||
B01 | 2006.9.9 | 小谷田 | 高村 | ポスト間直接移動についてを追加、各項目に現状を追記 | ||||
左右のモータへの出力側にもレギュレータをつけ、電圧を安定化することによりMIRSの誤差を少なくしようという試みである。 ここでは、そのレギュレータの仕様について調査した結果をまとめる。
以下に、標準機の電源ボードに採用されているレギュレータLT1083CPの仕様書を示す。
LT1083 - Low Dropout Positive Adjustable Regulators (LINEAR TECHNOLOGY)
このレギュレータは出力電圧が可変である。その式を以下に示す。
仕様書によれば、VREF=1.25[V]、IADJ=50[μA]である。
標準機の電源ボードの低電圧回路と同様、R2=2[kΩ]とし、R1を可変抵抗とすれば、Figure 1. の式よりR1≒538[Ω]のときVOUT=6[V]となる。
入出力電圧の差(Dropout Voltage)は、仕様書によると最大で1.5Vである(下図)。
バッテリとして用いるラジコン用ニッカド充電電池は7.2Vのものである。フル充電時で8V程はあるが、時間が経つにつれて電圧は落ちてくるので、レギュレーターを用いて6Vを保つのは難しいように思われる。
バッテリーの電圧を上げるか、モータの電圧をもう少し小さい電圧で我慢するかのどちらかが必要であろう。・バッテリーについて
調べてみると、ニッカド電池は1個が1.2Vであり、それを6個直列に繋いでパッキングしたのが標準機に搭載されているバッテリー(7.2V)である。
7.2Vのものは主にRCカー用であるが、電動グライダーやRCヘリ用に8.4V、9.6V、10.8V、12Vが存在する。
・モータについて
6V以下での駆動の可否・性能について更なる技術調査が必要である。
※夏休みのMIRS特別講義の中では、6V弱の電圧でも問題なく動作していた。
使用目的:ポストの探索、距離測定
標準機を起動させて、超音波の性能を確認。壁や天井など大まかな物体との距離は2000mm以上まで測れたが、 実際にポストとの距離を計測したときは600〜700mm程度の計測が限界でどうも不安定であった。
標準プログラムでMIRSを走行させたときには特に問題もなくポストを獲得できたのでMIRS本体が競技場の中心で回転しポストを探索する「中心型」では問題ないかもしれないが、スタート地点から競技場の反対側まで超音波によってポストを探索する「直進型」の場合は不安定な探索方法となってしまうかもしれない。
ただ、過去の技術調査書を見ると、超音波センサはいかなる状況でも2000mm程度の距離まで測定が可能であるようだ。
測定環境を見直して、再度調査を行いたい。
場合によっては、超音波センサの回路の見直しも必要であると考えている。
※解決。超音波センサの正しい回路図が見つかったので、それを参考に回路を修正する予定。
使用目的:ポスト獲得
MIRS0604のポスト獲得方法は、ポストの周りを周回するのと同時に横に突き出したプラ板によってポストのスイッチを押して獲得する(システム提案書参照)。 よって使用するプラ板(ただし目的が達成できれば形状・材質に特に指定はない)は、スイッチと接触した際にスイッチを押せる弾力、その後MIRSの進行に影響のない柔軟性が必要とされる。 さすがにこれは実際にMIRSに取り付けて獲得試験を行ってみないと分からないので、今後の課題にしたい。
また、競技規定によりプラ板はMIRSの大きさ内に納めなければならない。
収納方法は現在検討中であり、
@:プラ板の先端に紐などを取り付け、MIRS内に引っ張り収納する。その紐の先をMIRSのタイヤの下に配置して固定、スタートと同時に展開する方法。
A:同じように内部に収納し固定。ポスト番号識別のため近づいたときに一度停止して識別するので、ポストがMIRSのタッチセンサに触れる。接触したときにMIRSの別の部分がポストに当たりそれでストッパが外れ、それによりプラ板を展開する方法。
の2つを考えている。今後の調査で、最善の方法を模索していく予定だ。
※基本設計では、プラ板ではなくプラスチック丸棒(またはゴム丸棒)を使うことにした。
PIC(Peripheral Interface Controller:周辺機器接続制御用IC)とは元々メインのCPUの機能を分散して周辺機器の制御を行うために開発されたIC。
PICにもCPUと同じように演算処理機能があり、メモリーも持っていて、ソフトウェアで制御する。
メモリについて
処理能力、メモリ容量は大きくはない。PICの種類によって違うが、最大動作クロック周波数が20MHz位、プログラムを書き込むメモリーは1Kワードから4Kワード位。
処理速度について
クロック周波数はプログラムを読んで命令を解釈し、処理をする速さに関係する。クロック周波数だけでは処理能力が高い低いは論じられない。処理部分の構造(アーキテクチャ)によって変わる。同じ構造であるなら、クロック周波数が高い方が処理能力は高くなる。
利点
PICの便利なところは演算機能部、メモリ、入出力部などが一つのICに組み込まれている点。
性能、機能は限定されているが、いろいろなICを組み合わせなくてもPICだけで制御部を構成できるので回路をコンパクトに作ることができる。
PICを使うことによって…※ただしPICを用いるときはPICのOUTPUTをFPGAを介して同期させてからISAバスに出力しなければならないのがPICを使用する上での注意点である。
- このPICを使って、超音波センサーの制御を行うこともできる。
- PICにより動作命令すれば、そのぶんFPGAボードの負担が軽くなる。
- プログラムであるため数値計算においてFPGA以上の期待が持てる。
まとめ
- TTLでは一寸大変だけどZ80のようなマイコンを使うほどでもない。電池で長時間動作させたい。というような用途にもってこいの小さなワンチップマイクロコンピュータ。
- メモリも入出力回路もみんな1個のICに入っている便利もの。特に PIC16F84は、メモリがEEPROMなので、何度でもプログラムを即時消去し簡単に書き換えできアマチュア工作には有り難い。
- 開発用のソフトがフリーソフトで入手できる。おまけにROMライタも簡単に自作出来る回路が用意されている。自作でなくても市販品が安く入手できる
- 命令数が少ないので覚えやすくプログラミングが易しい(35命令)。素人でも使える!!
※PICを私たちの班のMIRSに採用するかどうかはまだ決まっていない。今後の技術調査でそのリスク/リターンについて考えていきたい。
※基本設計の段階では、PICは使用しないことになっている。
別のhtmlファイルとしてまとめた。
MIRSモータ技術調査報告書
競技の開始時に記録した各ポストの距離・角度から、ポスト間を直接移動するのは可能であろうか?
調べてみると、MIRS0403が同じくポスト間を移動する方式をとっていた。
その関数についての記述を引用する。
この方法には、「求めた角度Bだけポスト1の周回を移動する」という手順が含まれる。int post_to_post2(int target_post, int next_post_no)
二つのポスト間を直接移動する関数。引数 target_post と next_post_no で、現在のポスト番号(ポスト1とする)と次に接近するポスト番号(ポスト2とする)を与える。
この関数は post_get() 終了後のポスト1周回開始点から始まる。アルゴリズムとして、フィールド中心点と二つのポストの中心点を結ぶ三角形を考える。
まずポスト1とポスト2の座標から、ポスト1の中心点とポスト2の中心点を結ぶ直線aの長さを余弦定理により求める。求めた直線aの長さと、フィールド中心点から見たポスト1とポスト2の間の角度A、およびフィールド中心点からポスト2の中心点までの距離bから、正弦定理を応用して、ポスト1の中心点とフィールド中心点を結ぶ直線cと直線aのなす角度Bを求める。
求めた角度Bだけポスト1の周回を移動することにより、ポスト1とポスト2を結ぶ直線a上まで移動することができる。その後、直線aの長さとプロペラ右側の超音波センサの値を比較し、誤差が大きければポスト周回軌道上を前後に移動して補正を行う。補正終了後、90度回転しさらに前方の超音波センサで補正を行う。この時超音波で読み取った値を、ポスト1とポスト2間の距離として改めて保存する。
保存されたポスト間の距離をもとに、ポスト2の手前30cmまで移動し正対補正を行い、その上でポスト2の周回開始点まで移動する。
しかし、もしその角度移動する中にポストのスイッチがあった場合、予期せずしてそのポストを獲得してしまう恐れがある(MIRS0604のシステムはポストを周囲するだけでポストを獲得することができる為)。また、そうでなくてもこの動作は無駄である。
よって、この動作を省き、下図のような動作を行うべきである(下図参考)。
この場合も、ポスト間の距離・角度の導出方法は変わらない。
上図のような三角形を考える。×はMIRSがその場回転してポストを探索する基準点である。
ここで注意するのは、BはMIRSの基準点での超音波探索によって測定された値ではない、ということだ。超音波センサで測定された値は、基準点からポスト中心までではなく、MIRS前方の超音波センサの計測開始点※からポスト側面までの距離である。
したがって、基準点からP1,P2までの超音波センサでの測定値をそれぞれr1,r2とすると、
A = r1
B = r2 +(MIRSの中心〜超音波センサの計測開始点までの長さ)+(ポストの半径)
である。導出式自体は変わらないので、その式に基づいて計算すれば、ポスト間の直接移動に必要なポスト間の距離・角度が得られる。
※超音波センサの計測開始点
データシートによると、超音波センサの先端ではなく、だいたい中間ほどである。
関連文書 |
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