6. まとめ
MP3に関する問題をじっくり考えてみると、他の問題同様、結局使う人間の意識と言う事に帰着すると思う。もちろん、これから何らかの技術的規制も出てくるであろうと思われるが、それは本質的な解決ではない。そしてそれがこの手の問題の解決を難しくしていると思う。いかに個人がモラルを持って著作権を守ることが難しいかは、MP3の例ばかりではない。CD-Rでソフトウェアの違法コピーを行うのも、そしてそれが同様にインターネットで配布や交換が行われているのも、結局は個人のモラルだということを物語っている。ここで、間違ってはいけないのは、安易にCD-Rが悪い、インターネットが悪い、と言う技術を悪者にする事だと思う。どんな技術も悪用するのは人間である。ただ単に技術の発達により、この事を露呈しやすくなっているのだと思う。自分の事を考えてみてもそうだが、物理的実体を伴わない事や物に対して、それにお金を払いたくないという考えがあると思う。例えば、昔の電気屋は、修理してもなかなか技術料というものを払ってくれないので、悪くない部品まで変えていたという。部品代なら、客も納得するのだそうだ。そのくせ、金を払う事に対しては、しっかりサービスを要求する。通信販売のカタログのCMに、「サービス悪けりゃ命取り」というのがあったが、少なからず今でもこういう風潮はあると思う。結局まだ、社会全体の意識が成熟していないのだと思う。そして、全体の意識を高めるには、一人一人が意識を高める必要がある。そしてそれが著作権の保護にもつながると思う。