サイズが変更できる領域をもつウィンドイング技術の一つであるウェブレット解析は次の論理的段階を意味する。
ウェブレット解析は低周波数情報をより正確に知りたいところでは長い時間間隔を、
高周波数情報を知りたいところでは短い時間間隔を使うことができる。
ここに、信号の時間領域・周波数領域・短時間フーリエ変換での視点の違いを示す。
ウェブレット変換が、時間-周波数領域ではなく、時間-スケール領域を使用していることに注目しよう。
スケールの概念については、あとで詳しく説明する。
ウェブレット解析は何ができるのか?
ウェブレット解析の主な利点の一つは、大きな信号の局所的な部分の解析する局所解析を行えることである。
かろうじて目に見えるくらいの小さな不連続点を持った、正弦波信号を考えてみよう。
このような信号は、パワー変動あるいはノイズスイッチのようなものにより現実の世界でも簡単に起こり得るものである。
この信号の、フーリエ係数(fftコマンドによって生成される)の図(左下図)は一つの周波数を表す二つのピークがあるだけで、
特に興味深いことは示していない。しかし、ウェブレット係数の図(右下図)は不連続点の正確な時間的位置を明確に示している。
(横軸は時間、縦軸はスケールを表す)
ウェブレット解析は、他の信号解析技術が見逃してしまうような、高次微分の不連続や断絶点・傾向・自己相関といった、
データの様子を明確にすることができる。
さらに、ウェブレット解析は従来の技術によって表されたものに加えてデータの異なった観点をもたらす
ので、信号をほとんど劣化させずに、圧縮やノイズ除去を行うことができる。
実際に信号処理分野におけるその短い歴史の間、ウェブレットはすでに信号処理解析の重要なツールとして
実証されてきており、普及されつつある。