おそらく、信号解析の手法として最もよく知られている手法はフーリエ解析であろう。フーリエ解析は、
信号を異なる周波数の正弦波要素に分解する。
また、フーリエ解析のもう一つの考え方は信号を見る我々の観点を、時間領域から周波数領域に変換するための
数学的な技術のことである。
信号の周波数成分は非常に重要な情報であるため、フーリエ解析は多くの信号に対して極めて有効である。
では、なぜウェブレット解析のような、他の技術が必要なのだろうか?
フーリエ解析には、信号を周波数領域に変換することにより、時間情報が失われてしまうという欠点がある。
ある信号のフーリエ変換を見ても、特別な出来事が「いつ」起きたのか、を知ることは不可能である。
もし、信号が時間とともにあまり変化しない、すなわち、静的信号であるのなら、この欠点は重大なものではない。
しかし、興味深い信号のほとんどは、多くの変動的・一時的な特徴(動向、傾向、突発的変化、その出来事の始まりと
終わりなど)を含んでいる。
これらの特徴は、しばしば、信号の最も重要な部分であり、フーリエ解析はそれらを検出するのに適していない。