1. はじめに

本ドキュメントは、MIRS標準機標準プログラム Ver.2.1 の概要を示すものである。

本プログラムは、標準プログラム Ver.1.0 の行動制御プログラムをに、MIRS0401 のポスト確認などの 関数を一部取り入れて作成された。センサー関連のデバイスドライバ、RTカーネルモジュールは、超音波 センサの IRQ が変更された以外は、Ver.1.0 から基本的な変更はない。

2. Ver1.0 からの変更点

1. MIRS0401 の post_check 関数を取り入れ、ポスト探索の精度を高めた。
2. MIRS0401 の circle_position 関数を取り入れ、ポスト周回の精度を高めた。
3. MIRS0401 の correct_direction1, correct_direction2 を採用し、ポスト正対が確実にできるようにした。また、correct_direction1 では、補正角度をグローバル変数 cor_ang に入れるようにした。
4. ポスト距離(post.dis)をMIRS中心とポスト中心の距離に統一し、中心位置補正動作の精度を高めた。
5. 超音波距離測定に用いる IRQ を 5 から 11 に変更した。（FPGAデータと併せて変更した。）
6. MIRS の中心位置補正を２回のポスト獲得モードにつきに１回のみ行うように変更した。
7. 中心位置補正時のポスト探索で、２回自転してポストを必要個数発見できなかった場合は、ポスト探索を諦めるようにした。
8. ポスト確認動作(post_check)を入れたことで、ポスト探索(post_search)ではポスト認識における得点制をやめ、最小値をそのままポスト位置として一旦認識させるようにした。
9. 行動制御プログラムで使用されているパラメータを、control.h で与えるようにした。
10. MIRS_STD のディレクトリで全てのファイルに対して make, make clean が適用できるようにした。

3. 要求仕様

1. 競技場の半分のスペースにある２個のポストを3分以内にポスト番号順に獲得す る。

2. このソフトウェアは、MIRS標準機上で動作するものとする。

4. 動作の特徴

• 直進、回転、公転は全て 最適レギュレータによる LQR 制御を行い、高精度の走行制御を行う。
• ポストを一周して戻ってきたら、最初に記憶したポスト 位置を基準に、中心位置（自己位置）を補正する。
• センサ入力のデータの読み取りは、独立のスレッドで行うことを基本 とする。

5. 動作概要（モードの定義）

1. スタート位置から中心位置に移動する。
2. その場回転を行いながら、左側の超音波センサでポスト位置を探索する。(ポスト探索モード）
3. ポスト位置を正面のセンサーを使って再確認する。（ポスト確認モード）
4. 然るべきアルゴリズムにそって周回するポストを選択する。（ポスト選択モード）
5. 距離、方向を補正しならがら、ポストに接近する。（ポスト接近モード）
6. 赤外線をみながら、ポストを周回する。その途中、獲得すべきポストであれば獲得する。（ポスト周回・獲得モード）
7. 中心位置へ戻る。（中心復帰モード）
8. 2,3の動作でポスト位置を再確認し最初に計測したポスト位置との差から、初期の中心位置とのずれを計算し、初期の位置に移動する。（中心位置補正モード)
9. 獲得したポストが全ポスト数と等しければ、プログラムを終了する。

6. 行動制御プログラム構成

Tgif オブジェクトファイル

7. ディレクトリ構成

ディレクトリ名	置かれているファイル
control	行動制御プログラム
pwm_enc	駆動系制御 RT カーネルモジュールおよびテストプログラム
irs_ts_ws	赤外線、タッチセンサ、白線センサデバイスドライバおよびテストプログラム
uss	超音波距離測定 RTカーネルモジュール
lcd	LCD デバイスドライバおよびテストプログラム（標準プログラムでは未使用）
iotest	ioperm などのシステムコールを使った IO テストプログラム
modeules	組み込むカーネルモジュール（それぞれのカーネルモジュールへのシンボリックリンク）
testprogram	テストプログラム（それぞれのテストプログラムへのシンボリックリンク）
download	FPGA データ(ttfファイル）およびダウンロードプログラム

8. プログラムの限定事項動作

• スタート位置と中心位置の移動途中には、ポストは存在しないと仮定している。
• 2つのポストは、中心から見て重なった位置に置かれていないと仮定している。
• 2つのポストは、中心から見て 1m 以内に置かれていると仮定している。
• 中心位置補正プログラムは、ポストが2個であることを前提にしている。（それ以外は、10個までのポストに対応している。）
• 所定の行動以外の動作は想定していない。（危機回避の動作は全く組み込んでいない。）

わかっている問題点

• バッテリー電圧によって、走行制御、正対補正動作に問題が生じることがある。バッテリー電圧が下がってくると、正対補正で方向を帰られないことがある。また、電圧が高い直進走行がスムースでなくなることもある。その様な場合、pwm_enc_module.h の drshift, dlshift の値などを適当に調整する必要がある。
• 1m 以内にポストを置いた場合でも、その位置によって、ポストを獲得できないことがある。

9. MIRS標準機試作機のデモ

MIRS 標準機試作機に標準プログラム Ver2.1 で動作させたときの動画

• ポスト位置 ポスト１ 270度 75cm、 ポスト２ 150度 60cm
• ポスト獲得までの獲得時間：155秒
• ファイル形式 AVI、ファイルサイズ 52MByte

（この写真をクリックすると、動画が再生されます。）

10. プログラムパッケージ

• パッケージ名: mirs_std
• バージョン: 2.1
• ソースプログラム： mirs_std_v2.1.tar.gz