2 赤外線センサの種類
量子型
フォトンを吸収しキャリアを励起することによって直接赤外線を検出するセンサである。このセンサは後に述べる熱型センサより100〜1000倍の検出能力を持つが、動作温度が低いため通常は液体窒素などで冷却の必要があるため、MIRSでの利用は望めない。
熱型
エネルギー吸収による温度変化を利用するもの。素子としては、熱電対サーミスタ・ボロメータ、焦電型素子などがある。特に焦電型素子は比較的感度が高く、構造が簡単なのでよく用いられる。
◎赤外線センサの利点は、主に”赤外線は可視光線に比べて空気中の透過率が高い”ということ。(しかし、波長によっては透過率が低い赤外線もある
3 赤外線センサについて
- 使用素子
・<発光側>赤外線LED TLN105B
◎特徴
放射強度が大きい。
指向特性が広い。
光出力の直線性が良く、パルス動作、高周波による変調が可能。
・<受光側> SHARP IS1U60
- 指向特性
赤外線送信機の指向特性
赤外線受信機の指向特性
- 発光側の定格及び特性
- 外観
- 最大定格
最大定格(Ta=25)
項 目 | 記号 | 定格 | 単位 |
直流順電流 | IF | 100 | mA |
直流順電流低減率(Ta>25℃) | ΔIF/℃ | -1.33 | mA/℃ |
パルス順電流 | IFP(注) | 1 | A |
直流逆電圧 | VR | 5 | V |
許容損失 | PD | 150 | mW |
動作温度 | Topr | -20〜75 | ℃ |
保存温度 | Tstg | -30〜100 | ℃ |
(注)パルス幅≦100μs、繰り返し周波数=100Hz
- 電気的特性
電気的特性(Ta=25℃)
項目 | 記号 | 測定条件 | 最小 | 標準 | 最大 | 単位 |
順電圧 | VF | IF=100mA | --- | 1.35 | 1.5 | V |
逆電圧 | IR | VR=5V | --- | --- | 10 | μA |
放射強度 | IE | IF=50mA | 12 | 20 | --- | mW/sr |
光出力 | PO | IF=50mA | --- | 11 | --- | mW |
端子間容量 | CT | VR=0,f=1MHz | --- | 20 | --- | pF |
ピーク発光波長 | λP | IF=50mA | --- | 950 | --- | nm |
スペクトル半値幅 | Δλ | IF=50mA | --- | 50 | --- | nm |
半値角 | θ1/2 | IF=50mA | --- | ±23.5 | --- | ° |
- 波長特性
(標準値、IF=50mA、Ta=25℃において)
- 製作における注意
- リードフォーミングは、リード線のストッパ部より先端部分で、素子に跡が残らないように曲げ、その後に半田付けする。
- 半田付けは、リード線のストッパ部より先端部分で行う。
- 半田付けの温度は、260℃以下。時間は5秒以下とする。
- 受光側の定格及び特性
- 外観
- 構成図
- 絶対最大定格
項目 | 記号 | 定格値 | 単位 |
電源電圧 | VCC | 0〜6.0 | V |
動作温度 | Topr | ※1 −10〜60 | ℃ |
保存温度 | Tstg | −20〜70 | ℃ |
半田温度 | Tsol | ※2 260 | ℃ |
※1 結露なきこと。 ※2 樹脂端面より下部の位置で5秒間
- 推奨動作条件
項目 | 記号 | 動作条件 | 単位 |
電源電圧 | VCC | 4.7〜5.3 | V |
- 電気的特性
項目 | 記号 | 最小 | 標準 | 最大 | 単位 | 備考 |
消費電流 | ICC | − | 2.8 | 4.5 | mA | 入力光なし、出力端子OPEN |
Hレベル出力電圧 | VOH | ICC−20 | − | − | V | ※3、出力端子OPEN |
Lレベル出力電圧 | VOL | − | 0.45 | 0.6 | V | ※3、プルアップ抵抗2.2kΩ |
Hレベルパルス幅 | T1 | 400 | − | 800 | μs | ※3 |
Lレベルパルス幅 | T2 | 400 | − | 800 | μs | ※3 |
B.P.F中心周波数 | f0 | − | 38 | − | kHz | |
下図に示すバースト波を、送信機にて送信するものとする。
回路構成
赤外線センサ信号処理回路
・割り込み信号部は、赤外線センサー受光部からの信号に変化が生じたときに割り込み信号を出すと思う。信号自体は、一発パルスではなく他の波形になると思われる。
4 検討
- 赤外線センサ取り付け高さについて
赤外線受信機のy方向指向性特性からわかるように、角度θ=0のときが一番受信距離が長いので、赤外線センサの取り付け高さは、赤外線発光部と同じ高さ(床から6cm)が良い。
ポストから赤外線センサまでの距離(アームの長さ)をxcmとすると、取り付け可能な高さは、床から6±tan30゜cmとなる。
- ポート数について
使用するポート数は、センサの数+2(割り込み要求信号と許可信号)
- ポスト探索モードで赤外線センサを使うか
ポスト探索モードで赤外線を拾えれば、ポスト獲得がはやくなるが、赤外線センサは、指向性が広く大まかな方向しかわからず、距離も測れないため、超音波センサと併用してもそのままでは使う事はできない。
使用素子を変える、センサを壁で囲うなどして指向性を狭くしなければならない。そのとき、ポスト獲得のために指向性の広いセンサも残しておく必要がある。