この文章は、僕がインターネットを通じて目にしたり、感じたことをベースとして、インターネットの先輩方の助言を参考にしながら、ネチケットについてまとめたものです。
ネチケットについて 制御情報システム工学専攻 田所 想平
目次 電子メールにおけるネチケットここ数年、情報交換、意思疎通の手段として、電話に匹敵するほどの需要を持ち始めた電子メールであるが、そのあまりの簡便性ゆえに、通常の手紙や電話であれば当然マナー違反であると考えられているものが、当然のようにまかり通っていたりする場合が見うけられる。電子メールの長所は数え上げれば切りがないのだが、大きく言って、一般郵便物より簡便であり、リアルタイム性が高いことと、電話と違い伝えたいメッセージだけを正確に伝えることができることと、ディジタル情報であるために保存が容易であることがあげられるのではないかと思う。しかし、逆に考えれば、一般郵便物より手を抜きやすく、電話より人間味がなく、また、失礼な文章が半永久的に相手の手元に残ってしまうとも言える。電子メールにおけるネチケットは、相手に送りつけたディジタル情報に、いかに人間味を持たせ、また、あとで読み返されても困らない文章を書けるかどうかに集約されていくような気がする。それでは、実際にメールを書くときの注意点を見ていきたいと思う。
メールの本文の先頭には、相手の名前を書く多くの場合、メールアドレスは個人が所有しており、あて先のアドレスが間違っていなければ、そのメールは本人の元に届くはずであるが、会社などにおいて部署単位で1つのメールアドレスを使っている場合や、間違った相手にメールを送ってしまった場合を考えて、メールには先頭に相手の名前を書いておくべきだろう。もちろんこれは、そのメールの文章に人間味を持たせるのにも役に立つ。一般の封書のように、時候の挨拶などは必要ないが、文章のあらたまり具合は、そのメールを送る相手に応じて使い分ける必要は当然あるだろう。『○○さんへ』と、先頭に書いてあるだけで、ずいぶんと文章からそっけなさをなくすことができるものである。
用件は最初の方に書く簡潔に用件だけを伝えられるのが、電子メールの長所である。封書のような形式美もないし、電話のような世間話も要らない。よって、まどろっこしい前置きなど書かずに、必要な用件は最初の方に書くべきである。そうしたほうが、受け取る人にとってもはるかに読みやすい文章になるはずだ。ただし、(何度もいうようだが)最低限の"人間味"は忘れずに。
適当な個所で改行するメールを受け取った人が、読むときのことを考えて、文章は適当な個所で改行すべきである。相手がそのメールを開く環境(画面のサイズなど)がわからない以上、最低限の環境に合わせてメールを書くべきだ。つまり低解像度の画面(モバイルツールなど)でもストレスなく見ることができるように、自分が高解像度の画面でメールを書いているときでも、半角80文字程度を目安に改行するように習慣づけておくとよいだろう。
文末に署名をつける誰からきたメールかは、メールのヘッダを見ればすぐにわかることだが、本文に差出人の名前が全くないのはやはり失礼になると思われる。封書でも文末にサインを入れる習慣があるように、電子メールでも、文末には署名(シグニチュア)を入れる習慣がある。名前のほかにも、自分の電子メールのアドレスや、(持っている場合は)ウェブページのURLなどを入れておくとよいようである。ただし、やたらにシグニチュアを飾り立てる人がいるが、本文が短くて、シグニチュアばかりがあまりに長いのも、冗談のネタにしかならないので、ほどほどにしておいた方がよいだろう。
送る前に一度読みなおす送る前に、自分の書いた文章を一度読みなおすべきである。感情的になって、相手を傷つけるようなことを書いていないか、文章が稚拙で、無用な誤解を与えるような文章ではないか、もう一度見なおしてから、送信するべきである。
あまり大きな添付ファイルは避けるメールにはファイルを添付して送ることができる機能があるが、相手の回線速度などの環境がわからないか、遅いことがわかっている場合は、数十kを超えるような大きな添付ファイルは避けるべきである。メールは、サーバにつないだ瞬間、その内容や大きさに関係なく、自動的にダウンロードされてしまうので、受信する側が、物理的、時間的な準備ができていない可能性がある。どうしても大きなファイルを添付して送らなくてはならない場合は、圧縮技術を使ってできるだけファイルを小さくするように工夫し、また、事前に受け取る側に連絡をしておくべきであろう。
第3者に見られる可能性を考える暗号化のソフトなどを使わない限り、一般的には電子メールはそれを盗み見ようとする人に対して無防備である。特に重要な情報を伝える場合は、電子メールの使用を避けるか、暗号化ソフトなどを使うべきである。一般的に言って、こんなことは葉書には書けないなと思われる情報は、電子メールにも書かない方がよいだろう。掲示板、チャット、会議室におけるネチケットメールと違い、掲示板やチャット、会議室は、それを読む相手が不特定多数であったり、全く見ず知らずの人であったりするため、メールよりもさらにトラブルの原因になりやすいと言えるだろう。インターネットの急速な普及の一端を、これらのサービスが担っていることは確かだが、しかし、これらのサービスは、相手のことを全く知らない状態で、会話をしたり同じ時間を共有するという、新たな状況を作り出した。その結果、相手が自分のことを全く知らないのをいいことに、傍若無人な言動を取る人々が、少なからず現れたことは事実である。そしてまた、インターネットでは、行方をくらませようと思えば、簡単に行方をくらますことができてしまうので、これらの人々を取り締まったり、制裁を加えたりすることが非常に難しいのもたしかである。すくなくとも自分がそうならないために、また、他の人にそういう誤解を与えないために、実際にどんなことに気をつければいいのかを、これから何点か見ていこうと思う。(ただし、ここでいうチャットとは、1対1の会話ができるチャットソフトを用いたものではなく、多くの人の目に触れるWebチャットを指している。)
プロバイダーの規約に違反する行為はしない当然であるが、その掲示板なりチャットなりのページを管理しているプロバイダーの規約に反する行為、発言を行ってはいけない。これは、そのページの管理者の責任問題に発展し、悪質な場合には、そのページの閉鎖を招くことになり、その他の多くの利用者にも迷惑が及ぶことになる。
法律や公序良俗に反する行為はしないこれも当然であるが、案外守られていないことが多いのが実情であったりする。著作権法などは、投稿者の方も全く罪の意識などなく簡単に破られていたりするし、その他、誹謗、中傷、わいせつ的表現、セクハラ発言、営業活動、政治活動、宗教勧誘なども頻繁に見られる。本人がジョークのつもりでも、受け取る側がそう受け取るとは限らないため、例え冗談であれその手の発言は控えた方がよい。
テーマに沿って発言をするその掲示板、チャットルーム、会議室で話されている内容、交わされている会話をよく読み、できるだけその内容に沿った発言をするべきである。ひとりだけ、全く違う話題をして、他の参加者を混乱させたり、他の参加者に迷惑になるような発言は控えるべきである。また、新しい話題を持ち出すときも、その掲示板やチャットルームの雰囲気に沿ったものかどうかを考えてから発言しなくてはいけない。
プライベートな発言は控えるウェブチャットや掲示板は、誰が読んでいるのかわからないので、プライベートな情報を投稿するのは止すべきである。その情報が悪用されないとも限らないからである。
HTMLタグは最小限にとどめる掲示板などでは、HTMLタグを使って文章を装飾できるようになっているページがある。しかし、あまりタグを多用すると、文章自体が見にくくなってしまったり、他の投稿の邪魔になってしまったりして、迷惑になる場合がある。また、タグの入力ミスなどで、他の投稿に迷惑をかけてしまうことも考えられる。使うばあいには、入念なチェックが必要である。ウェブページ管理者のネチケットここ数年のインターネットの爆発的な普及で、個人でウェブページを持つ人が多くなった。インターネット普及の功罪ということを考えたときに、もっとも大きな"功"のひとつに、誰でも自由に情報発信ができるようになったということが挙げられると思う。これは、よりひとりひとりの個性が求められている現代において、ものすごく希少で重要な個性の発露の場だと思う。斯く言う僕も、プライベートなものを含め、いくつかのウェブページを持っているが、なんでそんなものを作っているかという事を考えると、やはり、誰かに自分の個性を見てもらいたい、あるいは自分の個性というものをディジタルデータという形で結晶化しておきたい、という思いのあらわれではないかと思う。そういう個性を、よりたくさんの人に、より分かりやすく、見やすく、心地よく見てもらうために、ウェブページ管理者のネチケットと言うものを考えてみようと思う。
法律、プロバイダー規約に抵触しないページを作る当たり前であるが、法律や、プロバイダーの規約に違反したページを作ってはいけない。わいせつ画像の公開や、名誉毀損に当たるような文章等の公開、著作権、肖像権を無視したページの公開は、法律違反になるおそれがある。
見る人の環境によって左右されないページを作る同じHTMLのファイルを見る場合でも、見る人の使用している環境によって見え方が大きく異なる場合がある。まず、ブラウザの違い。ほとんどの人が NetscapeNavigator か InternetExplorer を使っているが、この二つのブラウザは、フォントやテーブルの表示などが異なり、全く同じようには見えない。また、同じシリーズのブラウザでも、バージョンが違うと見え方が異なる場合がある。また、スタイルシートやダイナミックHTMLなどの新しい技術は、サポートの状況がブラウザによって違うため、使用するにはそれなりのリスクを背負うことになる。現在(2000年2月)の段階では、 NetscapeNavigator 、 InternetExplorer ともに、Ver.4.0で正常に見ることができれば、いいのではないかと思う。 次に画面の解像度、色数、の違いがある。デスクトップで見ている人は、大概がフルカラーで、それなりに大きな画面で見ていることが多いだろうが、モバイル環境から見ている場合は解像度、色数とも、ぐんと低くなる。ある程度、どんな画面でもまともに見えるようなデザインを考えるべきである。 つぎにファイルサイズの問題である。画像ファイルを大量に使うと、特に回線速度の遅い環境ではページの閲覧に時間がかかることになる。見る人がどのような通信速度でインターネットに接続していても、それほどストレスなくページの閲覧ができるように、気を配るべきである。 最後に特殊ファイルの使用の問題である。フラッシュやJAVAなどの新しい技術を使ったページを作るときは、あらかじめその旨トップページに断りを入れておいた方がよい。とくに、JAVAはページを閲覧するたびにいちいちプログラムを起動するため、コンピュータに負荷がかかることを嫌い、ブラウザの設定をオフにしている人も多い。そういう人のためにも、トップページにはひとこと断りの文章を入れておくとよいだろう。
ハイパーリンクについて自分のページから他の人が管理するページヘハイパーリンクを張る場合は、相手ページのリンクに関する記述を注意深く読む必要がある。「リンクを張る場合はご一報を」などという記述があった場合は、リンクを張る前に許可を請うメールを出した方がよい。また、リンクフリーと書いてあった場合や、なにも書いていない場合でも、事後承諾でもよいので、メールを一本書くくらいは最低限しておいた方がよいと思う。
署名と連絡先を記しておく誰が書いた文章であるかを示す表記を、ページのどこかにしておくとよいだろう。別にニックネームでもかまわない。また、管理者への連絡口として、メールアドレスは最低限公開しておくべきである。ただし、あまりプライベートなことを全て公開してしまうのは、防犯やいたずら防止のためにも止しておいた方がいいだろう。せいぜい、氏名、年齢、性別などのプロフィールとメールアドレス程度にとどめておくのがよいと思う。感想に代えて ― リアルとバーチャル
「ネチケット」という言葉は悲しい言葉だと思う。「ネチケット」という言葉が意味するものは、インターネット特有の礼儀作法ではない。ごく一般に、ふだん誰しもが日々の生活の中で何気なく使っている人間社会の常識の延長線、あるいは、ちょっと特殊なバージョンに過ぎない。しかし、「ネチケット」という言葉の浸透度から見ても分かるように、インターネット上では、その常識が通用しないやからが大勢いるのである。大勢いるから、しかたなく、「インターネットではこういうことに気をつけなければいけませんよ」という指針として、ネチケットという言葉が出現したのである。 このページを作るに当たって、ネチケット千夜一夜、ネチケット向上委員会(仮)を参考にさせて頂きました。 |