ネチケットに関する考察

ネチケット:個人がネットワークを使用するにあたって倫理的、道徳的に守らなくてはならないエチケット

制御・情報システム工学専攻
番号:IY05
坪井 保憲



0、はじめに

 私たちは普段気軽にインターネットに接続し、ホームページを見ているが、これにはどのような注意が必要なのか(ホームページを見るにあたってのネチケット)、また、自分のホームページを管理する上でどのような注意が必要なのか(ホームページを作成するにあたってのネチケット)を調べ、今後、インターネットに対してどのように接していくべきかを考えるためにネチケットの調査を行った。
 また、近年急増しているネットワーク犯罪について調べ、今現在のネットワークの危険性について知るために調査を行った。

1、ホームページを見るにあたって(利用者)のネチケット

  • インターネットにおけるサービスのすべては、他人の所有物であることを覚えておきましょう。提示されている情報に対して有料か、無料かを必ず確認しておきましょう。


  • ファイル形式を表わすために用いられる慣習的なファイル名のつけ方がありますが、このファイル命名法が適用されていると思い込んではいけません。例えば、「.doc」ファイルは、必ずしもワープロのファイルではありません。


  • あなたが見つけたどのような情報でも、決してそれが最新のものだとか、正確なものだと決めつけてはいけません。
     最新のテクノロジーにより誰でも情報を提示できるようにはなりましたが、なかには提示に対して責任を持たない人もいることを覚えておきましょう。


  • あなたが現状のセキュリティと認証に関する技術を確信しているのでない限り、他のシステムに送る情報はどれもインターネット上で「白日のもとにさらされ」ながら転送され、ハッカーや偽造者に対して無防備であることを覚えておきましょう。


  • インターネットは地球を渡り歩くものですから、情報サービスはあなたの属する社会とは著しく異なった文化や生活様式を反映するかもしれないことを覚えておきましょう。あなたにとって不快な文書を見つけたとしても、実はそれが許容されている地域から発信されたものかもしれません。いつも寛大な心を保ちましょう。


  • 人気があるサーバーの情報が欲しいとき、ミラーサーバーの一覧が提供されていれば、必ず近くのミラーサーバーを利用しましょう。


  • 人気があるサイトのシステムの負担を分散するために、混雑する時間帯を避け、空いている時刻にログインすることを考えに入れましょう。


2、ホームページを作成するにあたってのネチケット

  • ホームページのような、あなた自身の情報サービスを立ち上げるときには、所属組織のシステム管理者に、自分の組織ではどんなガイドラインがあるのかを必ず確認しておきましょう。


  • 複製しても良いものがどれで、複製してはいけないものがどれかを明示しましょう。


  • あなたのサイトとあなたの組織で何が利用できるのかを記述しましょう。すべての一般的方針を必ず明示しましょう。


  • あなたのサイトのミラーサイトについて、把握している限りの一覧を提示しましょう。ミラーサイトが適用できる著作権表示を確実に含めておきましょう。可能なら、それらの更新予定も一覧にしましょう。


  • 人気がある(しかも大きい)情報には、それを支えられるだけのバンド幅(回線容量)を確実に持たせておきましょう。


  • ファイル拡張子の命名法を使いましょう。asciiテキストには.txt、HTML文書には.htmlか.htm、Postscriptには.ps、Portable Document Formatには.pdf、SGMLには.sgmlか.sgm、非UNIX系実行ファイルには.exeなどです。


  • 転送されるファイルには、できるだけ8文字以内にし、一意性のあるファイル名をつけましょう。


  • 断わりなく、他のサイトへのリンクを設けてはいけません。


  • あなたの情報の長命さに敏感になりましょう。時間に敏感な題材には必ず日付をつけ、この情報が良く維持され続けるように絶えず警戒を怠らないようにしましょう。


  • 掲示板のような方法で情報を求める場合、集めた情報をもとして何をしようとしているのかをユーザに知らせましょう。かれらの発言を公表しようとしている時には、たとえ受動的に他のユーザが利用できるようにするだけにしても、あらかじめ人々に警告しておく必要があります。


3、ネットワーク犯罪について

 法律を守るということがネチケットの大前提である。しかし、近年、ネットワークを用いて行っている凶悪な事件が増えているように思われる(最近ではインターネットを通じて無許可で薬物の販売を行っていた事件など)。世界的にもネットワーク犯罪については大きな問題となっており、アメリカではこれらの犯罪を防ぐための法律ができている。ネットワーク犯罪の種類には大きく分けて次のようなものがある。
以下に過去に起きた世界的に有名なネットワーク事件の例を示す。

A、ハッキング事件

1.マティアス・シュピール(偽名)
 有名なハッカーの1人「マティアス・シュピール」は、ドイツのハノーバーの大学にある自分の基地から、米国のローレンス・バークレ−研究所、バージーニア州ノーフオークのアメリカ海軍情報センター、米国やドイツの種々の陸海軍基地、大学所有の重要施設など、米国、ドイツ、カナダ、日本の30ものコンピュータシステムに侵入した。
 このようなハッカーを逮捕するには、電話の逆探知をするしかない。逆探知を成功させるには、長時間にわたって電話回線を接続させておく必要がある。そのためには、トッブシークレット情報が含まれているように見せかけたダミーファイルにハッカーをおびきよせ、このファイルのダウンロードのために長時間接続させておく方法が使われる。

2.カオス・コンピュータクラブ
 ドイツのハンブルクにあるカオス・コンピュータクラブも有名なハッカーである。このハッカ−は、NASAのSPAN(Space Physics Analysis Network)を利用して、6力月の間に世界中の175台のコンピュータに侵入したという。その中にはドイツのマックス・プランク研究所、マサチューセッツ工科大学、バリ天文台のコンピュータが含まれている。このハッ力−はソ連のチェルノブイリ原発事故の際、当時の西ドイツ政府よりも多くの情報を一般に流している。この情報は、すべて政府のコンピュータに不法侵入して得た情報である。

B、コンピュータウイルス事件

1. ワーム事件
 1988年11月米国コーネル大学コンピュータサイエンス学科の学生ロバートモリス(当時23歳)は、NASAのエイムス研究センターやマサチューセッツ工科大学、その他米国の大学を結ぶネットワークをまひさせる「ワーム」によって、発見されるまでに6000台の機械に漫延した。この「ワーム」は、ネットワーク指向で、ネットワーク上の休止中のワ一クステーションや端末機を探し出して感染する繁殖型のプログラムである。


日本におけるネットワーク犯罪の事例を以下に示す。

事例1 電子掲示板を利用した薬物売買事件

 大手パソコン通信ネットワークの電子掲示板に「ミンザイ売ります」(注:「ミンザイ」 とは、「ハルシオン」等に代表される向精神薬の略語。)という広告を掲示し、電子メールにより注文してきた密買客に対して電子メールにより銀行口座を指定し、代金の振り込みと引換えに薬物を郵送していたもの。協力者の通報により端緒を得、協力者の協力により手口等を解明し、検挙に至ったものの、被疑者の実名等の確認は困難であり、また、密買人はほぼ全国の区域にわたる広域犯罪であった。

事例2 電子掲示板を利用した商品販売名下の広域詐欺事件

 大手パソコン通信ネットワークの電子掲示板に「パソコン売ります」とのメッセージを掲示し、電子メール又は電話により問い合わせてきた客に対して、電子メール等により銀行口座を指定し、代金の振り込みをさせたもの。被害者からの届出により認知され、検挙に至ったが、他にも多数の被害者がいたにもかかわらず、これらは被疑者との交信をIDとハンドルネームで行っており、人定の確認には至らない者も多かった。  これらはいずれもパソコン通信を媒介にして、薬物密売、わいせつ図画頒布及び詐欺の従来型犯罪を行ったものである。しかしパソコン通信の特性を悪用することによって、被疑者・被害者の匿名性を高めること、人定を困難にすること、不特定多数の関心ある客を遠隔地にあっても容易に誘引し得ること、売買等の記録を容易に消去できることなど、行を容易にし、認知、捜査、検挙を困難にする要因を生じさせている。

事例3 パソコン通信を利用したわいせつ図画公然陳列事件

 パソコンネットワークを開設し、わいせつ画像をホストコンピュータに記憶させ、大手パソコン通信の電子掲示板を活用して募集したパソコン通信の不特定多数の会員が常時閲覧可能となる状況を設定し、当該わいせつ画像をアクセスしてきた会員に閲覧させていたもの。住民・関係機関等からの通報により認知し、検挙に至った。わいせつ画像そのものが公に陳列・流通するものではなく、認知は極めて困難であり、アクセスや料金振り込みにはすべてIDが活用されていたことから、会員の特定が困難であった。また、会員の募集は大手パソコン通信を活用してなされていたことから、会員は広域・広範にわたっていた。会員の中には高校生も含まれており、このようなわいせつ画像に少年が自由にアクセスできるという問題が顕在化した。

 インターネットは便利でいろんな情報を容易に入手することができる。しかし、その使いやすさの裏には、大きな問題を抱えていることも事実である。上の例から見て、いつ自分がこのような犯罪に巻き込まれてもおかしくない状況にあるというのが分かる。いつでも警戒心を忘れず、うまい話にはのらないように個々が気をつけなければならないと思う。

4、まとめ

 近年、日本のプロバイダが受けているネットワークの不正行為による被害が増えている。特に多かったのは「他のサイトからのメール爆弾による被害」が212件もあり(警視庁調べ)、その他には「他のシステムへの踏み台としての利用」、「パスワードファイル盗用」、「他のサイトからのサービス不能攻撃」などがある。このようなネチケットを守らない行為に対して、日本の法律では今現在裁くことができない。アンケートでこれらの行為に対して法律で取り締まったほうがいいと答えた人が86%もおり、これからネットワークがより活躍して行く時代にネットワークの不正行為による法律は必要なものであるという認識を受けた。確かに不正行為を法律で裁くことはいいかもしれないが、やはり各個人がネチケットを守ることが一番大切なのではないかと思う。また、不正行為ができない環境を作るのも今後の我々の課題なのではないかと思う。

5、参考文献

 項目1、2のネチケットの文章はサリー・ハンブリッジ著(インテル社)、高橋 邦夫訳(東金女子高等学校)のネチケット・ガイドラインより引用

千葉工業大学電子計算センター助教授:竹本 篤郎 情報倫理概論
http://www.cc.it-chiba.ac.jp/~p00takem/rinnri/mokuji.html

警視庁ホームページ
http://www.npa.go.jp/

毎日新聞ホームページ
http://www.mainichi.co.jp/


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