T.インターネットのエチケット
ネチケット(netiquette)とはネット(net)とエチケット(etiquette)を
組み合わせて作った造語で、インターネットを利用する際のエチケットのことである。通常、私たち
のおける環境で、どのような小さな組織や団体にも管理者や運営者が決めたルールがあり、利用者は
そのルールに従って行動している。ところが、インターネットには”こうすべきである”という明確
なルールは存在しない。なぜなら、インターネットは特定の人物や企業、国家の所有物ではないから
ルールを設定する権限を持つ人物なり組織が存在しないからである。仮に誰かがルールを決めようと
しても、ユーザーが住んでいる地域の文化や習慣、個人の考え方の違いから、誰もが納得するルール
を作成するのは事実上不可能であると感じる。また、そもそもインターネットはボランティアベース
で発展してきた誰でも利用できるオープンなネットワークだから、強制力を持つルールを作ること自
体がナンセンスなのだろうと感じる。
しかしルールがなければ何をやってもいい、ということではない。そのような無法状態になると、心
ない人々によって、不当な権力介入をみちびく恐れがある。そのような事態をふせぐために、インタ
ーネット利用のガイドラインとしてネチケットが考えられているのである。
コンピューターネットワークという特殊な環境であるインターネットではあるが、利用する際のエチ
ケットは一般的なものと対して変わりはないと思う。つまり、他人に迷惑をかけない、一般に犯罪と
判断されるような行為はしない、相互の理解を心がける、などという社会常識である。
社会常識的に考えると次のようなことがあげられる。
- 他人を傷つけるためにコンピューターを使ってはならない。
- 他人のコンピューターの作業に干渉してはならない。
- 他人のファイルを覗き見してはならない。
- コンピューターを使って盗みをしてはならない。
- コンピューターを使ってうそをついてはならない。
- 利用料金を払わずにソフトを使ったり複製してはならない。
- 許可なしに他人のコンピューターの資源を使ってはならない。
- 他人の知的産物を自分のものにしてはならない。
- 自分の作成するプログラムが社会に与える結果を考えねばならない。
- 思いやりと敬意を持ってコンピューターを使うべきである。
そうはいっても、これまでインターネットほどの規模のボーダーレスネットワークは存在しなかった
ため、従来では予想もしなかった問題が持ちあがることもある。何かトラブルに見舞われたときには
感情的にはならず、自分の行為が相手にとってどのような影響を与えるかをよく考えて行動するべき
である。
U.電子メールのマナー
電子メールの書き方にこうでなければならないという決まりはないが、公共性の高いネットワークな
ので次のようなマナーが考えられる。
一行の文字数
返信時に原文を引用する場合のことを考慮して、1行の文字数は全角で35文字程度にするのが適当である。
機種依存型の文字は避ける
インターネットは、大勢のユーザーがいるネットワーク だから、使っているパソコンやソフトはそれぞれ違う。
だから、ハードやソフトに依存する文字(半角カタカナや外字など)は、場合によっては文字化けをおこすこと
があるため、使用は避けたほうがよい。
署名を入れる
手紙の最後に署名(Signature)を入れる様に、電子メールにも文末に署名を入れなければならない。
これは、本名やメイルアドレスなどを含めて3から5行程度にまとめるのが適当である。
チェインメイルの禁止
チェインメイルとは、幸福の手紙や不幸の手紙のような、別の人に同じ内容のメールを転送することを養成する
メール(連鎖手紙)である。インターネットは利用者すべてのものであるから、ネットワークやサーバーに無意
味な負荷をかける行為はやめるべきである。
フレームメールの禁止
フレームメールとは、相手を罵倒するようなメールです。不特定多数のユーザーが参加するメーリングリストや
ネットワークニュースでおきやすい問題で、裁判にいたったケースもある。罵倒と批判が異なるものだと十分意
識しなければならない。
V.ネットニュースのマナー
電子メールは基本的に1対1、あるいは特定のメンバーによる小人数グループを対象とした情報交換
システムであるが、ネットニュースはその規模をもっと拡大した不特定多数のユーザー間の情報交換
システムである。ネットニュースは基本的にボランティアで運営されており、各グループごとにルー
ルがあるので、それに従うべきである。例として以下のような点に注意すべきである。
いきなり記事を投稿しない
緊急を要する質問などの場合は別として、そのグループでどのような話題が出ているのか程度は事前に把握して
おくべきである。様子を見ることで記事の書き方や投稿の仕方がわかるのである。
グループの趣旨に沿わない投稿はしない
ニュースグループは扱う情報のテーマごとに分類されているので、テーマに沿わない内容の記事を投稿してはい
けない。メッセージのやり取りを繰り返すうちにテーマが切り替わってしまったら別のニュースグループに投稿
するか、電子メールで直接情報交換するべきである。
インターネットを利用するものにとってネチケットという概念は大切なものである。この概念を自ず
から学びセルフコントロールすることは、いわずとも常識である。西暦2000年には、4億人を突
破するという試算もあるインターネットにおいて、その発展に不可欠であることは確かだと感じる。