IPv6の特徴
パケットのフォーマット
IPv6では、パケット長のうち、基本ヘッダとして40バイトを使用する。IPアドレス部がIPv4の4倍になったのに対し、IPヘッダ全体の大きさは2倍となっており、オーバヘッドが抑えられるよう配慮されている。したがって機能の増えた分は、基本ヘッダとは独立にオプションヘッダとする方法を取っている。これにより、必要のない場合は、パケットヘッダを小さくすることができ、オーバヘッドの低減とルータの負荷の軽減が可能になる。
ストリーム化されたヘッダ・フォーマット
IPv6のヘッダは効率的な処理を行うために最適化されている。余分なフィールドは除去され、全てのマルチバイト・フィールドは自然な境界に整列化されている。
IPv6基本ヘッダ
0 4 8 16 24 31
-----------------------------------------------------------------------
| バージョン | 優先度 | フローラベル |
-----------------------------------------------------------------------
| ペイロード長 | 次ヘッダ | ホップ制限 |
-----------------------------------------------------------------------
| |
| |
| 送信元アドレス |
| |
-----------------------------------------------------------------------
| |
| |
| 宛先アドレス |
| |
-----------------------------------------------------------------------
| |
フロー・ラベル
新しいヘッダにはフロー・ラベルが含まれている。特殊なサービス品質要求をもつトラフィックの特定のストリームにはフロー値を割り当てても良い。フロー・ラベルは、送信元アドレスと組み合わせて、ネットワーク中の特定のトラフィック・フローを見分けるために使われる。
実時間性の考慮:実時間性を要するトラフィック(ビデオ会議とか)をよりよくサポートする為に、IPv6にはフローラベルというのが含まれている。フローラベルを使うと、ルータはあらゆるパケットがどのend-to-endのフローに属しているかを知ることができる。すなわち、これを用いれば実時間性を要するトラフィックに属するパケットがどれかが分かる。
- フローとは
- 「ある始点からある(ユニキャストまたはマルチキャストの)終点へ送られるパケット郡のうちで、始点が中間のルータに特別な扱いを要求するものを言う」
128ビットのネットワーク・アドレス
IPv6は128ビットのネットワーク・アドレスをサポートしている。
ヘッダ・チェックサムの除去
IPv6にはヘッダ自体のチェックサムはない。
送信元ホストのみによる分割
ルータはデータグラムを分割できない。送信するホストのみが分割できる。
拡張ヘッダ
IPv6ではオプションのサポートが大幅に柔軟になっている。オプションは、データグラム中でIPヘッダ部の次に現れる拡張ヘッダ部に含まれる。パス上の宛先システムや中間システムに対して付加的は情報を届けるために拡張ヘッダが使用される。
セキュリティ機能の組み込み
IPv6では認証(authentication)のための特別は拡張が定義されており、IPv6の全てのホストはその拡張ヘッダをサポートしなければならない。デフォルトの認証アルゴリズムとして、MD5(Message Digest 5)アルゴリズムが規定されている。ただし、もし2つのホスト間で通信に認証は必要ないと感じるならば、データグラムから認証を自由に外すことができる。
IPデータグラムは多くの異なるシステムとネットワークを経由することになるので、そのデータグラムを宛先以外の第三者が調べてその内容が分かってしまう可能性がある。このような脅威から防御するためには機密性(confidentiality)が必要となる。このような機密性を提供するために、カプセル化セキリュティ・ペイロード(Encapsulating SecurityPayload:ESP)が用意されている。