スーパーファミコンに愛を込めて
1996年年末商戦、スーパーファミコン市場が、久しぶりに活況を呈した。スーパードンキーコング3、ドラゴンクエスト3、ミニ四駆、桃太郎電鉄など、キラーソフトが次々に発売された。この商戦で一番活躍したのは、間違いなくSFCなのだ。
これを読んでいるような方は年齢が比較的高く、少なくても16歳以上だろう。そうすると、みなさん方にとっては、PS、SS、N64が主流機種になっているだろう。しかし、多くのファミリー層や小学生は、まだSFCが現役機であるのだ。そんなこと知ってもらえれば、この現象も納得されるだろう。
SFCはもう丸まる6年以上も現役機でいる。しかし、N64、PSなどの新型機の為にソフトの発売本数は減少している。しかし、その分質の良いゲームが発売されてもいるが。そうはいってもSFCの余命を大幅に伸ばすほどではない。そんな中、1996年11月に任天堂から驚くべき発表が行われた。書き換え可能なカセットを用いて、好きなソフトを店頭で書き換えるというものだ。書き換え料金は1000円〜4000円を予定。新作ソフトでも4000円で帰ることになるし、過去の名作を1000円や2000円で買えてしまうのだ。このカードリッジ革命によってスーパーファミコンは2度目の春を迎える。
また、任天堂はSFCでロイヤリティーを大幅に値下げした。それによって、ソフトハウスの利幅が拡充されたことになる。(ソフト一本当たりの利益が増えるってことでゲス。)これらの措置は単なる「延命策」ではない。複数の世代のゲーム機を現役機として併売していくとことで、ゲームはビジネスとしても文化としても、厚みを持つことになるのだ。
任天堂がどこまでスーパーファミコンにこだわり続けることが出来るのか。この事は案外TVゲーム業界にとって重大なことのように思える。N64は順調に売れてはいるものの、まだまだSFCがビジネスの主体となっているだろう。現に、ドンキーコング3も200万本販売されているのだ。(日本国内)それに、任天堂が掲げる「TVゲームの質的転換」はなにもN64だけでしか出来ないわけではないはずだ。SFCでも、可能なはずだ。
なにより、N64の最大のライバルである、ミニ四駆、カラオケ等を楽しんでいるファミリー層の多くの人には、SFCが現役機であるのだから。そしてゲーム離れが起きつつある小学生をゲームに呼び込む力があるのは、SFCとN64だけである。ファミリー層の方にTVゲームにとどまってもらうには、N64だけでなく、SFCの力も重要なのである。
ファミリー層の方がこの2機種を愛せるかは、今後のゲーム業界の動向をも左右する事になるだろう。任天堂だけでなく、ぜひソフトメーカーもSFCにこだわっていただきたい。SFCの存在は多くの人が思っているほど軽いものではないはずだ。
これを読んでいただいた方にSFCの重要性をご理解いただければ幸いである。皆さんも家に帰ったら、もう一度SFCで遊んでいただきたい。もちろん、『スーパーファミコンに愛を込めて』。