サテラビュー10年後をにらんだ大いなる実験




 空からゲームが降ってくる、新作ソフトのお試し版が遊べる、過去の名作が遊べる、などをうりに発売されたサテラビュー、しかしこれに対して一般に評判は芳しくない。もちろんその根拠は理解できる。サテラビュー専用のオリジナルゲームが少ない、メモリーパックの容量が少なく、別売りでメモリーパックがないため、やりたいゲームがあると、以前にダウンロードしたお気に入りのゲームを消さねばならないなどなど。
 しかしこういった負満点は、任天堂も重々承知だろう。そしてサテラビューとは、任天堂にとって、大いなる実験なのではないだろうか。
 今でこそ店頭で発売もされているサテラビューだが、発売当初は、任天堂の直販で、通信販売のみであった。おそらくディスクシステムの失敗の経験と、ユーザーを明確に把握でき、データーの収集が容易だからであろう
 任天堂は、ファミコンの初期の頃から、ノンパッケージを目指していた。ファミコンブームの真っ只中に、ディスクシステムを考え出し、いち早くファミコンを端末として活用することを考えていた。あのファミコンブームのときにだよ!!すごいよねー!しかしながら、流通、ソフトメーカーの利益が少ないために失敗に終わったのだった。そういえばセントギガの買収も早い段階で行われていたようだ。(いつかはちょっと知らないのだけど。かなり早い時期なのは確かです。)
 しかし、10年後も今現在の販売方式で良いかというと、販売方式を変えていかなくてはならないことは、任天堂もわかっている。そのための実験が、サテラビューなのだ。
 よく言われる家庭にいながら〜の何とかオン・デマンド。しかしこれはまだ、全ての分野で実験段階である。実現には、なかなか難しい課題が多いように感じている。
 ゲームを衛生で配信することを考えてみよう。例えば、書き込み可能な「64DD」のディスクにゲームを送るとしよう。任天堂にとっては、流通費用がないぶん利益が増える、ソフトメーカーは製造コストがかからない、ユーザーは自宅にいながら好きなときに好きなゲームを手にできる。さらに、以前の名作や、新作のお試しもできる。まさに夢のような話だ。だかそんなにすんなりと、事は進まないのだ。
 まず、ディスクシステムでも悩まされた、違法コピーの問題がある。ダウンロードしたゲームを他の人にコピーされては利益が出ない。サテラビューに限っていえば、ソフトを無料で配信しているので、利益はスポンサーからの収入と、ハードの売り上げだけだということ。これでは、なかなかソフトメーカーは本腰を入れにくい。その他の問題点、新たに発生した問題点を検証し、解決することがサテラビューの実験の意味なのである。そういったことは、1年や2年で終わるようなものではない。5年、10年後を見据えた任天堂の壮大な計画の布石であり、実験である。
 10年後、進化したサテラビューはどんなものになっているだろう、その頃ゲームの販売方式はどうなっているのだろう。答は誰にも分らないが、良い結果になることを祈るばかりである。