ゲームが変わるN64が変えるに偽りなし

 1996年6月23日、N64が発売された。N64をめぐる状況はファミリーコンピューター(FC)と非常によく似ている。
 実際にやりもせず、ろくに知らないくせに、「あれはだめだよ、いまだにカセットだし。」などといっている知ったかぶりが多い所は、当時を再現しているようだ。
 これは新しい文化が誕生するたびに起こる現象だ。FC、映画、マンガ、あんなものを見るのは愚劣だ、あんなものを読むのは下品だ、などなど、これまでに体験したことのない娯楽が誕生したとき、世間はいつも過剰に反発するのだ。
 そう、N64に対する反発も同じ事である。「今迄のTVゲームの面白さ」だけしか知らない人が、N64がもたらす「新しいTVゲーム」の面白さに反発しているのだ。だから心配は要らない。N64のゲームは面白いのだ。面白いものは面白い。徐々にこれに気づき、この反応は収まるだろう。
 あなたがまだN64に触れていなかったら、「スーパーマリオ64」をやってみてほしい。目の前に広がるゲーム業界初の完全な3Dの世界、3Dスティックの快適な操作感を味わうことができる。もちろん、最初の十分間は戸惑うだろう。しかしこれは、新たな世界へ駆け上がる、一つの階段である。悪戦苦闘していると、いきなりこつが分かる瞬間がある。とたんにマリオを自由に操作できるようになり、今迄にない楽しさを味わえる。FCの頃からゲームをしている私は、ちょっとくらいのことでは、もうどきどきしない。しかし、久しぶりにどきどきした。マリオ64に圧倒されたのである。オーバーといわれるかもしれないが、初めてFCをやったときの感触が10数年ぶりに訪れた。久しぶりに心の底から、ゲームを楽しめた。マリオ64は、私にとってはテレビゲーム史上最高の傑作である。理由は別の所でかく。とにかく一度は触れてみてほしい。とにかくすごいのだ。マリオ64はテレビゲームにおける二度目のビックバンである。
 ちょっと話がそれてしまった。他には、マリオカート64もいい。そもそも前作はスーパーファミコンで一番売れたソフトだしね。完成度は非常に高いです。一般のレースゲームとは違い、アイテムを使ってのレースなので、ドライブテクニックだけで勝負は決まらないのだ。後ろの順位ほど強力なアイテムが出るなど、初心者にも十分配慮している。レース以外にもバトルモードもあり、十二分に楽しめる。
 アクションが苦手な人なら、栄光のアンドリュースもいいかもしれない。3Dスティックによるスウィング、パッティングの操作感は今迄のゴルフゲームとは、一味違う
。  ちょっと毛色の変わった所で、ジョゼットという擬人の女の子を育てる、J2もいいかもしれない。
 スポーツものなら、実況Jリーグ、実況パワフルプロ野球も面白いだろう。
 確かに多くの人がいうように、まだソフトは少ない。しかし、思い出してほしい。発売初年度にソフトが少ないのは、FC,SFCの時と同じなのだ。だから心配は要らない。後は時間が解決してくれる。さあ、目の前の新たなゲームの世界へ、思いっきって飛び込んでほしい。