「プロキシ ARP」方式を利用せずに SLIPクライアントとその他のネットワーク
(Internetも含む) の構成要素との間でパケットをルーティングするときには,
SLIPサーバ経由で SLIPクライアントが属するサブネットまでの経路を, 最も
近いデフォルトのルータ群へ静的な経路情報として追加しなければならないか,
または gated
を FreeBSDによる SLIPサーバへインストールして,
SLIP サブネットについての経路情報を, 適当なルーティングプロトコルでルー
タ群へ通知できるように設定するか、のどちらかをおこなわなければなりません.
静的な経路を最も近いデフォルトのルータ群へ追加することが困難なことがあ ります (経路情報を追加できる権限がなければそもそも不可能となる). もし あなたの組織に複数のルータで構成されたネットワークがあるならば, ある種 のルータ (たとえば Ciscoや Proteonなど) は, 静的な経路を SLIPサブネッ トへ使うようにルータを設定しなければならないだけでなく, その静的経路を 他のどのルータへ知らせるのかもあらかじめ指定しておく必要がありますから, 静的経路に基づくルーティングを軌道に乗せるにはそれなりの専門的技術やト ラブルシューティングやコツが必要だと思います.
静的経路についての頭痛への代替手段は, gated
を FreeBSDによる SLIPサー
バへインストールして, 適切なルーティングプロトコル (RIP/OSPF/BGP/EGP)
を使って SLIPサブネットについての経路情報を他のルータへ知らせるように
設定することです. gated
は, 匿名FTPを使って,
ftp.gated.cornell.edu
の /pub/gated
ディレクトリから
入手できます. このチュートリアルを執筆時点の最新バージョンは
gated-R3_5Alpha_8.tar.Z
であり, このファイルだけで FreeBSDで
動作させることができます. gated
についてのすべての情報と文書
は http://www.gated.cornell.edu/
からはじまる Web上で入手でき
ます. gated
のコンパイルとインストールを行ったならば, 独自の
設定のために /etc/gated.conf
ファイルを記述してください. 次の
例は, 筆者が FreeBSDによる SLIPサーバで使っている内容と類似のものです.
----- begin sample /etc/gated.conf for gated version 3.5Alpha5 -----
#
# gated configuration file for dc.dsu.edu; for gated version 3.5alpha5
# Only broadcast RIP information for xxx.xxx.yy out the ed Ethernet interface
#
#
# tracing options
#
traceoptions "/var/tmp/gated.output" replace size 100k files 2 general ;
rip yes {
interface sl noripout noripin ;
interface ed ripin ripout version 1 ;
traceoptions route ;
} ;
#
# Turn on a bunch of tracing info for the interface to the kernel:
kernel {
traceoptions remnants request routes info interface ;
} ;
#
# Propagate the route to xxx.xxx.yy out the Ethernet interface via RIP
#
export proto rip interface ed {
proto direct {
xxx.xxx.yy mask 255.255.252.0 metric 1; # SLIP connections
} ;
} ;
#
# Accept routes from RIP via ed Ethernet interfaces
import proto rip interface ed {
all ;
} ;
----- end sample /etc/gated.conf -----
この gated.conf
ファイルの例では, SLIPのサブネット
xxx.xxx.yy
についての経路情報を RIPを使って Ethernetへブロー
ドキャストしています. もし ed
ドライバ以外の Ethernetドライバを使
うのであれば, ed
インタフェースの記述を適切なものに置き換えてくだ
さい. またこの例では, gated
の動作をデバッグするために,
/var/tmp/gated.output
へトレース情報を出力するように指示して
います. gated
が希望通りに動作したならば, このトレースオプショ
ンを止めることができます. なお, 例における xxx.xxx.yy
を, あ
なた自身の SLIPサブネットのネットワークアドレスに換えてください (また
proto direct
部分のネットワークマスクも換えることを忘れないこ
と) .
gated
のコンパイルとインストールが終了し, コンフィグレーショ
ンファイルの作成も完了したら, FreeBSDシステムではデフォルトの
routed
に代わって gated
を起動してください. そのため
には, /etc/netstart
の routed/gated
起動パラメタを
適切な値に設定してください. gated
のコマンドラインパラメタにつ
いての情報は, gated
のマニュアルページを参照してください.