沼津高専 電子制御工学科
MIRSATLM ロータリエンコーダ技術資料
MIRSATLM-TECH-0001
改訂記録
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A01 2001.2.13 川端 長澤 初版 MIRSATLM
  1. はじめに

     このドキュメントはMIRSATLMのロータリエンコーダ周辺回路についてまとめた技術資料である。

  2. ロータリエンコーダの概要

     ロータリエンコーダというものは、アナログ量であるモータの回転数をディジタル量としてカウントするものである。これによって、モータの回転数からMIRSが自己位置を認識できるようになる。MIRSのロータリエンコーダ部は大きく分けて2つの部分から構成される。一つ目は、モータの回転数を90度位相がずれた矩形波に変換させるマイクロエンコーダ、そしてその回転数をカウントするFPGA内に構成されるロータリエンコーダモジュールである。その二つを組み合わせることによってアナログ量であるモータの回転数をディジタル量でカウントしている。MIRSでは、光学式のロータリエンコーダを用いている。

  3. ロータリエンコーダについて

    1. ロータリエンコーダとは

       製品にコネクタを接続し、タイヤの回転数(アナログ量)をパルス数(デジタル量)に変換する機能がある。MIRSでは最も一般的な光電式を使用する。ロータリーエンコーダは、回転軸の回転速度に比例した、互いに90°位相の異なる2相の近似正弦波を出力しているもので、2相の位相関係から回転方向が判別できる。他に、2相の信号をカウントして回転数を求めることができる。 一般的なロータリーエンコーダの使用方法は、回転子の回転数の検出、 更に、回転子の速度の検出である。

    2. 光学式ロータリエンコーダの概要


      fig.1 光学式ロータリエンコーダの概要

       fig.1に光学式ロータリエンコーダの概略図を示す。発光ダイオード(LED)と受光素子(フォトトランジスタ)が、回転軸に取り付けられた回転スリット(A)と固定スリット(B)をはさみ相対して取り付けられている。回転スリット(A)が回転すると、ダイオードの光がスリットにって通過、遮断を繰り返す。この光を受光素子により検出して、信号(パルス)に変換する。出力信号を2相にするため、固定スリット(B)のスリットは2つで、90°位相がずれている。
       ロータリーエンコーダからの出力信号は近似正弦波形であるので、これを波形整形回路でパルス波形にする。fig.2にその波形の変化を示す。

      fig.2 波形の変化図

    3. 回転方向の判別

        パルス整形回路からの出力信号A,Bの組み合わせには、回転方向により2つのパターンがある。


      fig.3 回転方向の判別方法

       上記のように出力信号A,Bの位相差は常に90°であるが、回転方向により、ずれ方が異なってくる。
       1の場合、B信号の立ち上がり時にA信号は必ず"H"になっているときと2の場合のようなB信号の立ち上がり時にA信号は"L"になっている場合の二つによって回転方向が判別できる。

    4. 回転数のカウント


      fig.4 カウント法
       パルスのカウント法は、右図のよう に1,2,4逓倍の数え方がある。MIRSではA相、B相が0のときにどちらが立ち上るかを判別している1逓倍を使っている。MIRS標準のマイクロエンコーダでは1回転するのに100パルス発生する。また、ギヤで回転を1/16に落としているので回転数を求める場合は、以下の式で求められる。

      (タイヤの回転数)=(ロータリエンコーダカウント値)/1600

  4. 仕様
    1. マイクロエンコーダ
      MIRSでのマイクロエンコーダは、maxonのモータと一体化したものです。
      供給電圧 5V(-10/+10%)
      出力信号 TTLコンパチブル
      立ち上がり時間 200ns
      下降時間 50ns
      チャンネル数 2
      カウント/回転 100
      使用温度範囲 -20/+85℃
      コード・ホイール慣性モーメント =<0.05gcm2
      最大加速度 250000rads-2
      最大出力電流/チャンネル 5maA
      位相差 90°e(-45/+45°e)
      最大周波数 20kHz
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