誤差:温度が10度から20度まで変化したとき1m進むのに要する時間
kが10度 v=337.5 t=2.96ms
kが20度 v=343.5 t=2.91ms
これより温度差についてはあまり気にしなくてもいいのではないかと思われる。
|
図1 距離による音圧の減衰特性 |
|
図2 超音波センサの原理 |
超音波は、トランジューサから一定の広がりを持ってビーム状に発射される、そのビームの形状
を超音波トランジューサの指向性と言う。市販されている超音波トランジューサの指向性は、それ
程鋭くなく、半値角として 20°〜 30°程度の広がりを持つ。
超音波センサの指向性が広いと、センサによって計測された対象物体の形はかなりボケたもの
になる。すなわち、超音波センサは、距離方向の分解能はよいが、横方向の分解能はよくない。
この指向性を改善する方法として、トランジューサにホーンアンテナを取り付ける手段がある。アン
テナには一般に指向性を鋭くすると同時に、中心方向のゲインをかせぐという利点がある。ただし、
ホーンアンテナの設計を理論的に行なうことは難しいので、ある程度の試行錯誤によってホーンの
形を決める必要がある。
超音波センサには電気信号を超音波に変えて空気中に発射する超音波スピーカ(送波器)部
と、空気中を伝搬してきた超音波を受けてそれを電気信号に変える超音波マイクロホン(受波
器)部とがある。この両者をあわせて超音波トランスジューサーという。
超音波トランスジューサーのように電気信号を機械的振動に変えたりその逆をする電気−振動
変換素子は、原理的には一つの素子が送波器にも受波器にもはたらかせることが出来る。しか
し送波と受波では空気の振動振幅が大幅に異なり、またインピーダンスを変えた方が効率がい
いので実際はほとんど送波器、受波器で別個の素子を用いている。
超音波のような波が対象物に当たった場合、対象物が凹凸のある表面を持っていたとするなら
ば、超音波は散乱しあらゆる方向に反射波が進んでいく。しかし鏡面を持っていたとすると入射
角と反射角の関係から反射波は反射角の方向にしか観測されない。センサに対して斜めの鏡
面は観測されにくいと思われる。試作品
を製作し、実験をする必要があると思われる。超音波にとってどの程度までが散乱面なのかは波
長 λ から知ることが出来る。以下にその関係式を示す。
(式)
v = λ f
ここで 20 ℃の空気中の音の伝搬速度を求めると、
v = 343.5
超音波の周波数を 40 KHz として波長 λ を求める。
(式)
λ = v ÷ f = 343.5÷ 40 K = 8.6 [mm]
以上の結果により、対象物の凹凸が約 8.6 [mm] 以上の場合には散乱面とみなされる。
超音波センサの定格
構造 | 送信・受信専用 (R:受信用 S:送信用) |
品名 | MA40B5R/S |
特徴 | 凡用・広帯域 |
公称周波数/TD> | 40kHz |
感度 | −47dB以上 |
音圧 | 112dB以上 |
指向性(半域全角) | 50° |
静電容量 | 2000pF |
分解能 | 9 |
検知距離 | 0.2〜6.0m |
図 3 の構成による各部の波形の例が図 4 である。実際には反射波は物体の形によりエコーして残るが、この回路では反射波の先頭だけを検出して、最も近い所からの反射時間をはかる。図 3 では発振器を使用しているが発振波形でなく一発の高圧パルスで超音波スピーカを駆動することもある。
|
図3 超音波センサの構成 |
|
図4 超音波波形とタイミング |
また、反射時間を測定するために図 3 のようなハードウェアタイマを用いず、マイクロコンピューターのソフトウェアでタイマを構成することも出来る。図 5 はソフトウェアタイマを用いた場合の超音波センサ制御ルーチンの流れ図である。
|
図5 流れ図 |
|
図6 超音波トランジューサ |
超音波を反射した後待ち時間をおいているのは超音波スピーカの振動が減衰せずその回り込み波が受信回路に入って受信波を検出したように誤動作してしまうのをふせぐためである。
|
図7 超音波送波回路例 |
- 特性上の理由により、壁に対して斜めにあたった超音波はほとんど戻ってこない。
- 超音波トランジューサは、周波数選択性が著しいので、送波回路に発信機を用いるときは周波数の調整を注意して行う。時間変化や温度変化による発信機のドリフト*にも注意が必要。
- 受信機は、大きな増幅率をかせぐアナログ回路であり、回路の雑音に注意。
- 受信機はマイクロホンであるから、外部の音やシステム自体の機械的振動で誤動作する恐れがある。受信機はゴム等を用いて、機械的振動が伝わらないように取り付ける。
- 外部からの音響的な雑音に対しては、距離を 2 回測定して、その値が違っていたら再度センサを働かせるというようなソフトウェアによる対策が有効。
- 続けて距離を測定する場合は、以前に発射した超音波に対する反射や残響が十分に減衰する時間(数 [ns] )をおいてから、次の超音波を発射する。