沼津高専 電子制御工学科
I/Oボード及びI/OSubボードの調査報告書
MIRS9902-TECH-0003
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容 提出先
A01 1999.1.30 遠藤、高橋 河野 初版

I/Oボード

I/Oボードの概要

I/Oボードの説明

PIOの説明

I/OSubボード

I/OSubボードの構成

超音波センサ回路部

赤外線センサ回路部

PWM回路部


I/Oボードの概要


I/Oボードとは、各センサーやモーターなどの端末部とCPU、メモリなどの中枢部をつなぐ役目をするボードである。
MIRSでは、「VIPC310」というボードをVMEバスに接続して用いている。
また、超音波センサ、赤外線センサ、タッチセンサは、各班のMIRSの仕様によって、搭載数が変化する為 I/Oボードとは別にI/OSubボードという拡張ボードを自作することでこれに対応している。 以下に、I/Oボード(VIPC310)の機能について説明する。


I/Oボード(VIPC310)の説明


1 I/Oボード(VIPC310)の機能概要
  • インプット/アウトプット、メモリ、割り込みの働きを持つ。ボード上でのバッテリーによるバックアップが可能である。
  • VIPC310は、3U(シングルハイト)の要素によってVMEbus Specification C.1(IEEEにより、P1014/D1.2または、IEC821busとしても知られている。)と結合する。
  • IPキャリアは、DMAボードや、68020処理装置を乗せると(6U(ダブルハイト)でも可)様々な機能を利用できる。
  • IPキャリアは、他の標準的なIndustrybusでの利用もできる。
  • VIPC310は、IP Logicの接合方法に従う。IPは互いに、VIPC310の前面を通って50ピンのフラットケーブルによって接合される。
  • 二つのIPは、"A"及び"B"と名付けられている。
  • インタフェースの接合は、基準寸法で、ケーブルでつながれたシステムであれば、IPキャリア上にディレクトリを添え付けられる。
  • 接合ケーブルルは、VMEのシャーシから、VIPC310を動かさずに、差し込み、引き抜きができる。
  • IPは、I/Oからの信号に依らずに、ON/OFFができる。
  • どんなときでも、IPは、グリーンフロントパネルの指示器が点灯していれば、VMEbusから、アクセスされる。
  • 二つの表示器があり、一つづつ、相互のIPに用いられる。
  • どのアクセスに対しても、活動の指示を明確にする為に、一つ又は複数の関係のあるLEDを点灯させる(約三分の一秒間)。
  • ボード上のリチウムバッテリは、こういった機能を利用するIPの為のバックアップ用として用いられる。尚、バッテリは、VMEbus+5 又は、STDBYラインかを選択して使用できる。
  • 通常、バッテリの補佐作用は、スティックRAMと、日時計に使用される。
  • IPのI/Oは、VMEbusA16/D16空間中に位置する。
  • 使用者と、管理者のアクセスは共に、読み取り、修正、書き込み(テスト/セット)の作業を受ける。
  • 相互のIP上にあるI/O空間は、IPの詳細書によって、16ビットのワードが64個と決められている。
  • 相互のIPが、64語を占有するPROMの搭載ができる。
  • こうして、二つのIPのA及びBは、ShortI/O空間のVMEbusシステムの64[KB]中、512バイトを占有する。
  • 割り込みは、全面的に、指示を受ける。相互のIPは、二つに分割された割り込み要求により、動作を行う。
  • VIPC310は、VMEbusのIRQ1,3,4,6の支援をする。
  • 割込み要求を受けた相互のIPは、自身に8ビットのVECTORを供給しなければならない。このVECTORは、VMEbusに受け取りを知らせるサイクルで、割込みバス間に供給される。
  • VIPC310は、VMEbusBERRの操作を受けない。
  • ソフトウェア上の、意味の無いアクセスは、動作していないCPUボード上の停止回路バスによって、停止される。
  • パワーアップ、パワーダウン、バスリセット関数は、全面的にサポートされている。
  • VIPC310は、5,12,-12[v]の電源をLC piフィルタを通して、相互のIPに供給する。これは、精密なディジタル作用とともに、アナログの使用を可能にしている。

    I/Oボード(IP−Dig.48)の説明


    1 I/Oボード(IP−Dig.48)の機能概要
     IP−Digital48には、MC68230PARALLEL INTERFACE/TIMER(PI/T)が2個搭載されている。
     MC68230には、入出力ポートA,B,Cがあり、A,Bは単方向または双方向の8bitまたは16bitの入出力として使用できる。このポートはダブルバッファ内蔵である。ポートCは、DMA,タイマおよび割り込みの制御としても使用される。
     PI/Tは、その内部にTIMERを持っているが、このTIMERは24bitのダウンカウンタを含んでいる。このタイマの基本的な使い方として、
    1 Periodic Interrupt Generator
    2 Square Wave Generator
    3 Device Watchdog
    等がある。1は、設定周期毎のタイマ割り込みが可能であり、2は、設定周期の方形波をTOUTより出力できる。3は、TINが立ち上がると、設定値からカウンタがダウンしていき、TINが立ち下がると止まる。また、underflowになると、TOUTに一発パルスが発生する。

  • I/O Subボードの構成


    I/O Subボードは超音波センサ回路、赤外線センサ回路、PWM制御回路を持つ。
    標準で超音波センサを4ポート、赤外線センサを8ポート、搭載できる。


    超音波センサ回路部


    超音波センサ回路の機能は大きく分けて、トリガが送られて来ると周波数40[kHz]の矩形波を0.4[ms]の間、送信回路に出力する機能と、受信信号を受け取ると、割り込み要求信号をMPUに送る機能の二つがある。また、正しく距離計測を行うために、回りこみ波を無視する機能も備え付けられている。
     距離計測はPITに内蔵されているタイマを利用している。このタイマは、トリガを受け取った時点でカウントを開始し、受信を感知すると停止する。このカウンタ値を読み込む事により障害物迄の距離を知ることができる。すなわち、タイマのクロック周波数は8×106/32[Hz]であるので、障害物までの距離Lは、
    L=1/(8×106/32)×Count×v
    * L:距離 v:音速 Count:カウント値
    で与えられる。最後の1/2は、超音波が障害物までの距離を往復することを考慮しているためである。
     しかしながら、音速vは一定値ではなく、周囲の温度で変化するため、この方法では、ある程度の誤差は覚悟しなければならない。しかし温度によるLの誤差は非常に小さいので、、MIRS競技に使用するには問題はないと思われる。
    2 回路構成
    図1に回路構成図を示す。図1より@からEのブロックの機能について説明する。
    @ 発振回路
     この回路は、コンデンサの放電を利用し、ゲートと組み合わせて構成した簡単な発振回路である。超音波センサ回路のメインクロックともなる重要な回路である。この回路では正確に40[kHz]の周波数を作り出すことは難しいが、40[kHz]近い周波数で安定していれば動作に支障はない。またICにCMOSを使用しているので、回路自体がデリケートなこと、コンデンサの放電を利用しているので、少しの状況の変化(接触や、端子の先のRの値)によって、発振したりしなかったりと言うこともあるが、回路周辺の設計に注意すればこの問題は解消される。中央の抵抗値によって周波数が変化するので、最初は可変抵抗で抵抗値を変化させながらオシロスコープで、周波数を調べ丁度40[kHz]の周波数を示した時、その時の可変抵抗の抵抗値にできるだけ近い値(約5.6kΩ)を持つ抵抗を付けた。
    A ワンショット回路
     図2にPLDにプログラムされたワンショット回路構成図を示す。ワンショット回路は、64進カウンタと制御回路で、構成されており、PLDを2つ使っている。
     この回路から、トリガ一回毎に、ガードパルス、タイミングパルス、送信用ワンショットを一回づつ出力する。送信用ワンショットとCLKとのANDをとって幅0.4[ms]、周波数約40[kHz]のパルスを送受信回路に出力する。ガードパルス、タイミングパルスは、比較回路の項で述べる事にする。
    B タイマ制御部
     PITのタイマを動かしたり、止めたりする部分である。タイマのカウントはトリガが送られてきてから、送信、又はタイマのオーバーフローが起こるまでの間行われる。この制御はRSフリップフロップで行い、タイマのスタート信号のON−OFF制御をする。
     PIT内臓のタイマは、設定によりいろいろ選べるが、この回路ではオーバーフローを検出できる「Device.Watchdog」という設定を選んだ。
    C 比較回路
     この回路では、主にノイズの除去と回り込み波による影響の無視をおこなう。受信回路から送られてきた受信波と、基準電圧をコンパレータで比較し、基準電圧より低い電圧の信号を除去する。
     また、回り込み波の除去については送信してから、一定時間基準電圧のレベルをあげることで対処する。この時間はタイミングパルスによって決められる。さらに送信開始から一定時間受信そのものを無視する方法をとり、二重の対策をとっている。
    D 基準電圧発生部
     超音波は波の性質を持っているため、スピーカから発信された超音波が、直接マイクで受信されてしまう。このため、障害物からの距離に関係なく、同じタイミングで受信が行われることのなる。回りこみはを受信するタイミングがわかっていれば、その間だけ基準電圧を5Vに引き上げれば、回りこみ波による影響をコンパレータによって打ち消すことができる。この基準電圧発生部は、コンデンサの放電を利用して、タイミングパルスから基準電圧を作り出す部分である。
    E マルチプレクサ
     搭載されている4対のセンサのうち、一度に距離計測ができるのは一対だけである。計測をおこなうときには4対の内1対を選ばなければならない。マルチプレクサは、コネクタを通じて4つの送信回路と直結しており、PITから送られてくるセンサ選択信号により、使用する1対のセンサを選択する。センサにはそれぞれ0から3まで番号がつけられていて、センサ選択信号もそれに対応して00から11までの2ビットの信号により成り立っている。


    赤外線センサ回路部


    この回路は、赤外線周辺回路から送られてくるHigh levelもしくはLow levelの信号を処理し信号に変化が起きたときに、割り込み要求信号をMPUに送る機能を持つ。またその時の各受光素子の状態は後述のレジスタを読むことにより得る。I/OSUBボードに搭載されているこの信号処理部は主に周辺回路からの赤外線信号の同期をとる信号同期部と、68230に割り込み要求をする割り込み信号発生部から成る。図3に回路構成図を示す。


    PWMセンサ回路部


    1 PWM回路の機能概要
     この回路は、モータを制御する信号であるPWM信号を作り出し、方向データとともに出力する回路である。速度データとカウンタのカウント値との比較によりPWM信号を形成している、この信号のDuty比は、速度データで128段階に変化させている。
    2 回路構成
     図4に回路構成図を示す。右速度・方向データは68230のpartAから、左速度・方向データはportBから送られてくる。カウンタのCLKは、68230のToutから得ている。PWM信号発生回路は、カウンタより得られた8ビットのカウント値と7ビットの速度データとの比較によりPWM信号を形成している。PWM信号波形形成原理を図5に示す。Duty比は0%から50%で、これを128段階に分けている。速度データをnとするとPWM信号のパルス幅TとDuty比Dは次式で計算できる。
    T[μs]=(n+1)×5[μs]
    D[%]=(n+1)/256×100
                0≦n≦127

    参考文献