沼津高専 電子制御工学科
リアルタイムモニタの調査
MIRS9804-TECH-0006
改訂記録
版数
作成日
作成者
承認
改訂内容
提出先
A01
1998.12.17
渡邉幸太郎
杉本
初版
1. リアルタイムシステムとは
一般に、リアルタイムシステムというと割り込みに即座に応答する高 速性や、即時性、複数の割り込みを同時に処理するマルチタスク性が問 題にされる。しかし、それらはリアルタイムシステムの一部で、低速の リアルタイムシステム、シングルタスクのリアルタイムシステムもある。
2. リアルタイムOSとリアルタイムモニタ
リアルタイムOSはリアルタイム&マルチタスクシステムを容易に実現で きるように、タスクスケジューリングの機能を持っている。リアルタイムOS を利用すれば、個々の処理を独立したモジュールとして使用することがで き、モジュールの起動や優先順位の管理はOSが自動的に行ってくれるので その手間が省け、作業効率は向上する。
またリアルタイムOSは他にリソース管理、データ管理、入出力など の一般的なOSの機能も持ち、実行環境とともにリアルタイムの開発環境を サポートするものも多く、開発効率は大きく向上する。
パソコンのような汎用コンピューターと違って、組み込み用コンピューターではOSのユーザ インターフェースやファイルシステムの機能はあまり必要とされない。OS の機能があまり必要ない場合は、タスクスケジューリングの機能だけを持 つリアルタイムモニタも利用される。簡易なモニタであれば自作も容易で あり、MIRX68kもD科独自のリアルタイムモニタである。
一般にリアルタイムもOSやリアルタイムモニタを使うほうが有利なのは、将来もそれを繰 り返してつかえる場合で、どんなシステムを開発するにせよ、1回限りで は、リアルタイムOSやリアルタイムモニタを使っても十分なメリットが得 られない。D科のMIRSでは何年にも渡り、独自のリアルタイムモニタを使用しておりメリットは十分に得ているだろう。 また開発効率は、リアルタイムモニタを使用しない場合とは比べ物にならな いほど向上していると思われる。
3. MIRS用リアルタイムモニタMIRX68K
通常リアルタイム・システムでは、それぞれの状況に対応する処理(これをタスクと呼 ぶ)を迅速に実行することが求められる。そのためには、センサ信号に よるハードウエア割込みや内部タイマによる周期的な割込みのためのプ ログラミング技術が多用されるので、プログラム作成者の個性に依存す る部分が多くなり、プログラムの構造が複雑になりがちである。そのた め、システムの仕様変更や類似のシステム開発へのプログラムの利用な どが困難となる。これは先ほど書いたタスクスケジューリングの考えの基礎となると思われる。
タスクを切り替えて実行するためのタスク管理や、割込みハンドラ (割り込みを受け付ける部分のプログラムをいう)や、システムの資源 管理を受け持つカーネル部と、ユーザのタスク・プログラム内でカーネ ルの機能を利用するために設けられたユーザ・インターフェース部(シ ステム・コール関数と呼ぶ)からなるリアルタイムOSあるいはシステ ムの資源管理をコンパクトにしたリアルタイム・モニターを用意してお けば、プログラム作成上のこのような問題を解消できる。MIRS開発 では、専用の簡易リアルタイム・モニターMIRX68Kを利用して、 ソフトウエア開発を行う。
4. MIRS用リアルタイムモニタの構成
MIRX68KはMIRS専用のリアルタイムモニタであり、タイマや外部からの 割り込み要求信号(例外処理)などで起動される複数のタスクを管理す る。ユーザに対してMIRSのソフトウエア作成に標準的な手法を与えるた め、ソフトウエア構造の見通しが良くなり、開発効率を上げることがで きる。
5. まとめ
リアルタイムモニタを使って作成される物が、MIRS用ソフトウェアーであり、 その事からもリアルタイムモニタとソフトは、非常に密接な関係にある事が分かる。 よってソフトを担当する者は、リアルタイムモニタを熟知する必要があると思われる。
以上簡単ではあるが、リアルタイムモニタの調査とする。
6. 参考ページ
D工学 MIRX68Kを用いた実験
リアルタイムモニタMIRX68K説明書
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