沼津高専 電子制御工学科
超音波センサ
調査資料
MIRS9803-TECH-0002
改訂記録
版数
作成日
作成者
承認
改訂内容
提出先
A02
1998.12.22
山本
谷
超音波センサの調査結果
超音波の性質
超音波とは人間が聴く事を目的としない音であり、通常20KHz以上の周波数を超音波という。MIRS におい
て、障害物の検知・距離測定と自機座標の確認をするセンサが超音波センサである。
今回 MIRS で使用する超音波センサは反射方式(独立型)を採用している。
超音波は音であるから常温の空気中を約 340 [m/s] という速度で伝播する。従って、
音は1 [cm]距離を約 28 [μsec] だけの時間をかけて進む。すなわち超音波を発射し
てから物体に反射して戻ってくる迄の時間を測定すれば,超音波の送受波器から物体
までの距離を知ることができる。超音波を発射してから,反射波が検出されるまで
の時間を T [μsec]とすると、壁までの距離 d は
d = 0.5T * 340 * 0.001 = 0.17T [mm]
で計算された。
温度の影響に対して空気中の音波伝搬速度vは簡易的に次式で表される。
v = 331.5 + 0.607T [m/s] T : 周囲温度 [℃ ]
つまり、周囲温度によって音速が変化するので物体迄の距離を常に精度よく測定するに
は温度補正が必要となる。
硬い物(金属、木材、コンクリート、ガラス、ゴム、紙など)は超音波をほぼ 100% 反射する
のでこれらの物体の有無は十分検知することが出来るが、布、グラスウール、綿、の柔ら
かくて空気を含んでいる物体は超音波を吸収するため物体の有無を検知することは難しい。
物体の表面の起伏が大きい場合、超音波が乱反射するため検知しにくいことがあるため
注意が必要である。特に今回のMIRS競技では円柱のポールが使用されるため、このことは
十分考慮しなければならない
超音波の指向制と反射特性
超音波は、トランジューサから一定の広がりを持ってビーム状に発射される、そのビームの形状
を超音波トランジューサの指向性と言う。市販されている超音波トランジューサの指向性は、それ
程鋭くなく、半値角として 20°〜 30°程度の広がりを持つ。
超音波センサの指向性が広いと、センサによって計測された対象物体の形はかなりボケたもの
になる。すなわち、超音波センサは、距離方向の分解能はよいが、横方向の分解能はよくない。
この指向性を改善する方法として、トランジューサにホーンアンテナを取り付ける手段がある。アン
テナには一般に指向性を鋭くすると同時に、中心方向のゲインをかせぐという利点がある。ただし、
ホーンアンテナの設計を理論的に行なうことは難しいので、ある程度の試行錯誤によってホーンの
形を決める必要がある。
超音波センサには電気信号を超音波に変えて空気中に発射する超音波スピーカ(送波器)部
と、空気中を伝搬してきた超音波を受けてそれを電気信号に変える超音波マイクロホン(受波
器)部とがある。この両者をあわせて超音波トランスジューサーという。
超音波トランスジューサーのように電気信号を機械的振動に変えたりその逆をする電気−振動
変換素子は、原理的には一つの素子が送波器にも受波器にもはたらかせることが出来る。しか
し送波と受波では空気の振動振幅が大幅に異なり、またインピーダンスを変えた方が効率がい
いので実際はほとんど送波器、受波器で別個の素子を用いている。
超音波のような波が対象物に当たった場合、対象物が凹凸のある表面を持っていたとするなら
ば、超音波は散乱しあらゆる方向に反射波が進んでいく。しかし鏡面を持っていたとすると入射
角と反射角の関係から反射波は反射角の方向にしか観測されない。センサに対して斜めの鏡
面は観測されにくいと思われる。まして相手 MIRS を検出するのはさらに難しいであろう。試作品
を製作し、実験をする必要があると思われる。超音波にとってどの程度までが散乱面なのかは波
長 λ から知ることが出来る。以下にその関係式を示す。
(式)
v = λ f
ここで 20 ℃の空気中の音の伝搬速度を求めると、
v = 343.5
超音波の周波数を 40 KHz として波長 λ を求める。
(式)
λ = v ÷ f = 343.5÷ 40 K = 8.6 [mm]
以上の結果により、対象物の凹凸が約 8.6 [mm] 以上の場合には散乱面とみなされる。
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