沼津高専 電子制御工学科
MIRS9803基本設計書
MIRS9803-DSBN-0001
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容
A01 1999.2.1 馬場 佐野 初版
B01 1999.2.15 馬場 佐野 タスク構成図、保守交換単位、各部細かな点の修正

目次

  1. はじめに
  2. システム概要
  3. 諸元
       
    1. 外観
    2. 機能性能
  4. システムの動作規定
  5. ハードウェア構成
    1. システム構成ツリー
    2. エレクトロニクス回路構成/機能
    3. エレクトロニクス回路基板外形
    4. 保守交換単位
    5. ソフトウェアビジビリティ
  6. ソフトウェア構成
    1. 状態遷移図  
    2. 状態遷移表
    3. リアルタイムモニタ
    4. タスク構成/機能
    5. 試験機能
  7. システム試験
    1. システム試験概要
    2. 規定走行試験
    3. 競技プログラム試験

はじめに

本仕様書はMIRS98競技規定に基づきMIRS9803チームの作成する自立型小型知能ロボットの基本仕様を記述する。

システム概要

ハードウェア

MIRS9803システムのハードウェアは標準MIRS(注1)に準ずる構成を有するが、MIRS9803固有の機能を実現するためにいくつかの変更点がある。以下、標準MIRSと異なる点のみ述べる。

ソフトウェア

ソフトウェアは複数のイベントドリブン型のタスクからなり、割り込みおよびタスクの管理はリアルタイムモニタMIRX68Kを用いて実現する。

システムの動作

MIRS9803システムは、一回目の競技開始時に真ん中を直進し、ポストの存在位置のマップを作成する。その後、マップにもとづき、すべてのポストを周回する最短軌道を計算し、その軌道に沿って移動しながらポストのスイッチを押す。2回目の競技では、開始時に1回目の競技で得たマップ情報をもとに、軌道を決定する。

諸元

  1. 外観
    図1,2,3,4に本システムの外観を示す

    図1 シャーシ1階取りつけ図

    図2 シャーシ2階取りつけ図

    図3 正面図

    図4 側面図

  2. 機能性能

システムの動作規定

MIRS9803システムは、一回目の競技開始と同時に直線移動を開始し、それとともに超音波センサを使ってポール存在位置を決まった区切り(下記参照)においてに記録しマップの作成をする。
ポールの捜索方法は、まずスタート位置から前、左右に超音波を発射しその受信を待つ。このとき壁のない位置に反応があったら、つまりポールが存在していることが確認されると、前左右の確認された場所を一定の区切りを持って記録する。
ここで区切りを説明する。まず縦横2.5cmのフロアあり、四方の壁からそれぞれ35cmまでの区間は、ポールが絶対に存在しないと分かる。これよりフロアの大きさを縦横1.8メートルと考えて、フロアを縦横30cmの区間36個に分断する。この一マスが基準であり、超音波センサの性能から見て縦に3マス、横に2マス、合計6マスを検索することができるので、前を超音波センサで調べたらマシンのいる位置より前に6マスについて記録をすることになる。このときポールがあると結果がでたときはこの6マスをポール存在区域として記録する。
このようにして、調べた3方向がxyマップに記録されるとまた必要な距離を進み、前左右のポール捜索を始める。但し、ここでの動作目的はあくまでもポールの捜索であるため、赤外線センサをもってスイッチ位置を検索したりましてスイッチの獲得を目的とした動作はこの時点では行わない。つまり、ポールが進行方向上、スタートから直線に進行方向をとったライン上に存在しているとき、必ずタッチセンサに触れるのでその反応によってポールをさけて通る動作をする。
ポールを避けて通るという動作は、タッチセンサにより前方にポールがある事が分かったら、マシンは今いる場所から少し後退し、ポールの周りを四角く560度回転するといった内容です。
壁に着いた後、現在位置から全てのポストを通る最短軌道を割り出し、その軌道に沿って移動していく。この時、タッチセンサがポストに触れると、触れたタッチセンサに応じて向きを変え、そのポストの周りを回りながら赤外線センサによる赤外線の検出を行う。
ここではまずポールをかわすようにしてポールの周りを回る。周り方はポールを中心として円形。回るとき、左右ポールに向いている側の赤外線センサを使って赤外線の検出をする。検出されると、その方向を向いて、正面のセンサで赤外線を検出しながらポールに近づき、スイッチを押す。
タッチセンサに触れる前に赤外線を検出したならば、赤外線の方向に正面を向き、赤外線センサで補正をしながら直進してタッチセンサでスイッチを押す。タッチセンサに反応が在り、かつ赤外線が消失した場合、ポールを獲得したものとなり元の軌道に復帰、次のポールへ向かう。マップのずれをなくすようにポールを獲得した後もポールを回り続け、ポールにぶつかった位置まで一周して戻り、さらにポールをかわす動作をしてから次のポールへ向かうことになる。
二回目の競技では、開始時に一回目で得たマップをもとに最短軌道を計算し、その軌道に沿って移動、一回目と同じくしてポールを獲得する。
軌道のトレースは基本的にロータリーエンコーダを使い、自己位置を確認しながら行う。また、超音波センサによって前後左右のずれを修正する。


ハードウェア

  1. システム構成ツリー
    MIRS9803製造仕様書
    |-MIRS9803組立図
    ||-シャーシフレーム組立図
    |||-シャーシフレーム
    |||-モーターx2
    |||-モーター取付金具x2
    |||-可逆モータパワー変換ボード
    |||-タッチセンサ・ロータリエンコーダケーブル
    ||||- マイクロスイッチx2
    ||||- コネクタ類
    ||||- ケーブル類
    ||||- ケーブル検査仕様書
    |||-側面タッチセンサ左機構部
    |||-側面タッチセンサ右機構部
    |||-タッチセンサ×6
    |||-取り付けネジ類
    |||-シャーシフレーム試験仕様書
    ||-電子回路フレーム組立図
    |||-電子回路フレーム
    |||-ラック
    ||||-VMEラック
    ||||-CPUボード(VSBC1)
    ||||-IOボードアセンブリ
    |||||-IOボード(VIPC310)
    |||||-IPDigital48ボード
    |||||-ロータリエンコーダボード
    |||||-ジャンパ設定仕様書
    ||||-IOSubボード
    ||||-MMIボード
    ||||-VMEラックジャンパ設定仕様書
    |||-電源制御基板
    |||-超音波センサ回路×4
    |||-赤外線センサ回路×8
    |||-ケーブル接続図
    |||-取付金具
    |||-ネジ類
    ||-ケーブル接続図
    ||-電池ホルダ
    ||-取付金具
    ||-ネジ類
    |-電池
    |-ソフトウェアインストール手順書
    ||-MIRS9803(プログラムファイル)
    |-MIRS9803試験仕様書
    |-MIRS9803取扱説明書


  2. エレクトロニクス回路構成/機能

    図X.MIRS9803エレクトロニクス回路ブロック

    各部の機能

  3. エレクトロニクス回路基板外形
    1. 下記についてはVMEハーフハイト基板仕様に従う。
      • CPUボード(VSBC1)
      • IOボード(VIPC310)
      • IOSubボード
      • マンマシンインタフェースボード
    2. 下記についてはIOボード(VIPC310)インダストリパック仕様に従う。
      • IPボード(IPDigital48)
      • ロータリエンコーダボード
    3. 下記については標準MIRS基板を使用するのでMIRSデータベースを参照すること。
  4. 保守交換単位
    以下のものを保守交換単位とする
       シャーシフレーム
       モーター
       可逆モーターパワー変換ボード
       側面タッチセンサ左機構部
       側面タッチセンサ右機構部
       前面タッチセンサ機構部
       CPUボード
       IOボード
       IPDigital48ボード
       ロータリエンコーダボード
       IOSubボード
       MMIボード
       電源制御基板
       超音波センサボード
       赤外線センサボード
       電池


  5. ソフトウェアビジビリティ 本システムのソフトウェアビジビリティは標準MIRSソフトウェアビジビリティ(現在作成中)の仕様と同一である。但し、各センサの位置とIOポートアドレスの対応は下表による。bitは最上位bitがD7最下位bitがD0とし、並びはD7D6D5D4D3D2D1の順とする。
    センサIO port Address/bit備考
    超音波センサ
    FC6151/------01


    FC6151/------10


    FC6151/------11


    FC6151/------00

    赤外線センサ右後
    FC6153/10000000

    右中
    FC6153/01000000

    右前
    FC6153/00100000

    左後
    FC6153/00010000

    左中
    FC6153/00001000

    左前
    FC6153/00000100

    前右
    FC6153/00000010

    前左
    FC6153/00000001

    タッチセンサ右上
    FC6003/-111----

    左上
    FC6007/-111----

    前1
    FC6003/-100----

    前のタッチセンサは右から順に1から6まで番号をつけた。
    前2
    FC6003/-010----

    前3
    FC6003/-001----

    前4
    FC6007/-001----

    前5
    FC6007/-010----

    前6
    FC6007/-100----

ソフトウェア

  1. 動作モード

    状態遷移図

    1. 初期モード:
      電源投入、システムリセットの最初の状態。

    2. ポスト検索モード+マップ作成モード:
      中央を直進しながら前左右に超音波を発信しポストの位置を記憶させ、マップを作成する。また、進行方向にポストがありタッチセンサが反応したら、回避モードへ。ロータリーエンコーダーにより壁到達確認後は最短ルートを計算し、ルートトレースモードへ。

    3. ポスト回避モード:
      ポスト検索モードにおける進行方向のポストの回避を行う。タッチセンサ反応後、少し後退し、超音波を発信しながらポストの周りを540度回転して、正面を向く。

    4. 向き修正モード:
      ポスト回避モード後、超音波センサによりマシンの向きを元の向きに直す。

    5. ルートトレースモード:
      最短ルートマップにしったがってポストに向かって移動している状態。ロータリーエンコーダで自己位置を検出しながらルートを逸脱しないように移動する。移動中、タッチセンサが反応したらポスト周回モードヘ、また、赤外線を検出したらスイッチ押すモードヘ。 二回目の競技でスタートスイッチが押されたときは、この状態に遷移する。

    6. ポスト周回モード:
      タッチセンサでポスト発見後、その反応したタッチセンサの位置が右側だったらポストのの周りを右回り,左側だったら左回りをする。赤外線を検出したらスイッチ押すモードヘ。

    7. スイッチ押すモード:
      赤外線センサを検出後、自機の向きを変えポストに衝突させてスイッチを押す。タッチセンサの反応があり、赤外線センサの反応がなっかたら、スイッチ押し数をプラスして位置修正モードへ。 検索ポスト数(ポスト検索モード+マップ作成モードでMIRSが発見したポスト数)=スイッチ押し数となったら初期モードヘ。

    8. 位置修正モード:
      赤外線の消灯後、ロータリーエンコーダを使用して、元の位置に戻り超音波センサで向きを修正する。

    状態遷移表

    次のモード/現在のモード初期モードポスト検索モードポスト回避モード向き修正モードルートトレースモードポスト周回モードスイッチ押すモード位置修正モード
    初期モードスタートSW1押す/××スタートSW2押す/×××
    ポスト検索モード+マップ作成モード×タッチセンサ反応/×ロータリーエンコダーにより壁接近確認/ポストの数出力×××
    ポスト回避モード+マップ作成モード××回避/××××
    向き修正モード×向き修正/×××××
    ルートトレースモード××××タッチセンサ反応/赤外線センサ反応/×
    ポスト周回モード×××××赤外線センサ反応/×
    スイッチ押すモードタッチセンサ反応かつ赤外線センサ反応なし、検索ポスト数=スイッチ押し数/×××××タッチセンサ反応かつ赤外線センサ反応なし、検索ポスト数≠スイッチ押し数/スイッチ押し数プラス1
    位置修正モード××××位置修正/××

  2. リアルタイムモニタ
    MIRS用に開発されたMIRX68Kを使用する。
    MIRX68K user's manual(現在作成中)
  3. タスク構成/機能

    図5.タスク構成図

    1. 低レベルタスク
      • task00:マンマシンインタフェースタスク
        BB(タスク間情報の受け渡しに用いる掲示板)に書かれているセンサ情報やシステムの状態をLEDに表示する。またDIPスイッチの状態をBBにに書き込む。このタスクはタイマにより一定時間ごとに起動される。
      • task01:超音波センサタスク
        3つの超音波を順に動作させ距離情報をBBに書き込む。この戸タスクは電源投入時に起動され、常時測定を行っている。超音波発信したのち、タスクは開放され割り込み待ちになる。
        注)超音波受信もしくはタイムアウトにより再起動され距離を計算する。したがって常時計測を行っていてもこのタスクがCPUを占有することはない。
      • task02:自己位置検出タスク
        一定時間ごとに起動され、ロータリエンコーダの値から自己位置のx、y座標と姿勢角をBBに書き込む。
      • task03:赤外線センサタスク
        赤外線センサ割り込みが入るごとに、センサ状態を読み取りBBに書き込む。
      • task04:PWMモータ駆動タスク
        タスク起動時に受け渡される引数によって指定される左右車輪の速度データをPWM回路に書き込む。
    2. 高レベルタスク
      • task06:赤外線接近タスク
        2つの前方の赤外線センサのうち中央のセンサが常に赤外線を捉えるように車輪回転数を制御しながら前進する。
      • task7: 接触回避タスク
        タッチセンサに割り込みがあったら回避する
      • task8 :軌道トレースタスク
        マップを読み込みコースを決定し常にずれがないように 車輪回転数を制御する
      • task9: ポスト獲得タスク
        赤外線をキャッチしたら、ポストに正対するように 車輪を制御し、そのまま直進する。
      • task10: 軌道復帰タスク
        ポスト獲得後軌道に復帰する。     
      • task11:試験走行タスク
        試験走行用のタスク。各種試験を行うもの。
    3. メインタスク      
      • task5:行動計画タスク
        mirs本体の行動を決定する。状態遷移図の通り動作させる。
  4. マンマシンインターフェース
    マンマシンインタフェースとして以下の機能を具備すること。
  5. 試験機能
    下記の試験機能を有する。

システム試験

  1. システム試験概要
    システム試験はシステムの組立が完了した段階で、基本設計書の内容に適合しているかどうかを試験する。システム試験を実施する際には、各サブシステムで規定されるサブシステム試験に合格していなければならない。
    試験は以下の項目について行われる。
  2. 試験内容
    下記仕様書による。
    MIR9803システム試験仕様書
    システム試験仕様書の作成はMIR98システム試験仕様書作成規定に従うこと。
関連文書