沼津高専 電子制御工学科
超音波センサ調査報告書
MIRS9802-TECH-0005
改訂記録
版数
作成日
作成者
承認
改訂内容
提出先
A01
1999.1.31
大島
村木
初版
川端
1.超音波の性質
(1)超音波は空気中を約340[m/s]という速度で伝わる。(正確に言うと 気温t℃の空気中を伝わる音の速さvは、v=331.5+0.607t[m/s]で表わさ れる。)よって超音波を発射してから反射して戻ってくるまでの時間を測れ ば超音波の送受波器から物体までの距離を知ることができる。(fig.1参照) 例えば、超音波の往復時間をTsec.とすると目標までの距離dは、
d=340xTx0.5 [m]
で計算することができる。
(2)物体の表面の凹凸が大きい場合は超音波が乱反射するため検知しに くい。また、物体の正面からではなく斜めの方向から超音波が当たった場合 も反射波があさっての方向に行ってしまうために検知しにくい。
2.超音波センサについて
MIRSにおいて、障害物の検知・距離測定と自機座標の確認をするセ ンサが超音波センサである。MIRSで使用する超音波センサは反射方式( 独立型)を使用していて、40kHzの超音波で約20cmから2mまでの距離の測定 が可能である。また、精度は+−1cm。
3.超音波センサの構成
fig.2の構成による各部の波形の例がfig.3である。実際には反射波は物 体の形によりエコーして残るので、超音波センサ回路では反射波の先頭の部 分だけを検出してもっとも近いところからの反射時間を測るようになってい る。
また、反射時間を測定するためにハードウェアタイマを用いずに、ソフ トウェアでタイマを構成することもできる。下図はソフトウェアタイマを用 いた場合の超音波センサ制御ルーチンの流れ図である。
上の図で反射した後待ち時間をおいているのは超音波スピーカの振動が 減衰せずその漏れが受信回路に入って受信波を検出したように誤動作してし まうのを防ぐためである。
4.送受信回路の概要
シーケンサーによるパルスをフォカプラを通して伝え、その情報(一 発パルス)とクロック(40kHz)とを合成して送信部から超音波を発射する。 反射して戻ってきた超音波を送信部でキャッチし、コンパレーターを 通して近距離の不要な反射波をキャンセルし、超音波反射時間の情報をカウ ンタへ送る。(ブロック図参照)
4.1ブロック図の各部分について
1)フォトダイオード 光エネルギーを電気エネルギーに変換するフォトダイオードは 半導体もPN接合部に光が当たると電位差が生じる。光源電力効果を利用した 光検出器(フォトセンサ)である。 2)パルスと正弦波との合成 下図のようにNANDゲートのAにパルスを、Bに正弦波(振動数 波)をいれてやるとCから合成されてでてくる。
3)信号増幅部
4)イコライザーアンプ
5)微分回路
電圧のDC分でカットするための回路 IN60 :バイパスフィルタ C=1000p:パスフィルタ 6)コンパレータ アナログ量の信号をデジタル化するための回路でスレッショル ドレベルを境にしてそれ以上ならHighレベル、以下ならLowレベルに2進化 している。コンパレータには2つの入力ピンがあって+と−またはREF、INV という記号がついている。 +(REF)ピンの電圧が−(INV)ピンの電圧より大きければ出力は同極 性の方向(Highレベル)に振れ、−ピンの方が+ピンの電圧よりも大きいと 出力は逆極性の方向(Lowレベル)に振れる。出力の一部を入力に戻しポジ ティブフィードバックを行っている。 39kオームの抵抗によってヒステリングスをつくっている。10uFのコ ンデンサはリップノイズをバイパスさせ、電流インピーダンスを下げている。 7)時間パルス
5.68230との信号のやりとりについて
4つある超音波センサのうちのどれを動かすかの選択は68230の PA0、PA1の2ビットを使って行われ、超音波送信トリガはH2から送 られる。また、超音波センサからの割り込み要求信号はH1から入力される。
6.超音波センサの定格と外観図
超音波センサの定格
構造
送信・受信専用
(R:受信用 S:送信用)
品名
MA40B5R/S
特徴
凡用・広帯域
公称周波数/TD>
40kHz
感度
−47dB以上
音圧
112dB以上
指向性(半域全角)
50°
静電容量
2000pF
分解能
9
検知距離
0.2〜6.0m