目次

1. はじめに
2. 開発工程
3. 製造仕様書
4. ソフトウェア試験結果報告
5. 改善報告
6. 既知問題点
7. 最後に

1. はじめに

   この文書はMIRS9801の開発完了報告を行うものである。

2. 開発工程

   以下の表に開発計画と対比した作業期間、作業工数を示す。

   作業内容	開発計画		作業期間		作業工数(h)
   	開始	終了	開始	終了
   3年次
   システム開発計画書の作成	98.11.05	98.11.24	98.11.05	98.12.09	156.5
   各センサ及び各ボードの調査	98.12.16	99.01.21	98.12.16	99.01.21	76
   各動作モードのについての検討	99.01.21	99.02.02	99.01.21	99.02.02	68
   基本設計書の作成及び修正	99.02.02	99.02.16	99.01.26	99.04.16	179
   4年次
   競技会プレゼンテーション用の資料作成	99.12.10	99.12.17	99.12.10	99.12.17	65.5
   メカニクス
   メカニクス詳細設計書の検討、作成及び修正	99.04.13	99.05.25	99.04.20	99.06.01	106
   メカニクス部品発注書作成	99.05.25	99.06.01	99.06.01	99.06.01	7.5
   各図面及びツリーの作成	99.06.11	99.07.06	99.06.11	99.09.30	361.5
   システム製造	99.07.13	99.08.31	99.07.13	99.09.07	367
   改善設計	99.09.10	99.10.19	99.09.10	99.10.22	121.5
   システム製造（改善設計）	99.10.01	99.11.10	99.10.15	99.01.31	136
   図面の整理	99.11.10	00.02.20	99.11.10	00.02.29	65
   エレクトロニクス
   エレクトロニクス詳細設計書の検討、作成及び修正	99.04.13	99.05.25	99.04.20	99.06.01	70
   エレクトロニクス部品発注書作成	99.05.25	99.06.11	99.05.28	99.06.25	4
   標準MIRS基板仕様書作成	99.07.02	99.07.16	99.07.02	99.07.23	22
   MMIボード仕様書及び基板の作成	99.06.01	99.08.20	99.06.01	99.08.17	125.5
   Power Distributorボード仕様書及び基板の作成（MIRS9801用）	99.06.01	99.07.31	99.06.01	99.08.16	197.5
   Power Distributorボード仕様書及び基板の作成（MIRS9803用）	99.08.01	99.08.13	99.08.18	99.08.27	66
   IOsubボード仕様書及び基板の作成	99.06.01	99.08.20	99.06.01	99.08.06	35
   タッチセンサボード仕様書及び基板の作成	99.06.01	99.08.20	99.06.01	99.07.30	31
   赤外線センサ・超音波センサの仕様書作成及び試験	99.06.01	99.07.16	99.06.01	99.07.16	25
   ケーブルの仕様書及びケーブルの作成	99.07.12	99.08.20	99.07.12	99.09.02	68
   エレクトロニクス部品の修理	99.08.21	00.02.04	99.09.03	00.02.04	31.5
   ソフトウェア
   ソフトウェア詳細設計書の検討、作成及び修正	99.04.13	99.05.25	99.04.20	99.06.01	80.5
   ソフトの調査・標準MIRS規定走行試験用のプログラム作成	99.05.25	99.07.02	99.06.01	99.07.26	120
   サブシステム試験用のプログラム作成	99.07.06	99.09.10	99.07.26	99.09.14	8
   規定走行会用プログラムの作成	99.09.17	99.10.13	99.09.17	99.10.23	77.5
   基本動作試験用のプログラム作成	99.10.15	99.11.12	99.10.23	99.11.26	87
   本番用のプログラム作成	99.11.12	00.02.04	99.11.26	00.02.04	83

3. 製造仕様書

   製造仕様書については以下の各文書を参照。

   • MIRS9801 メカニクス製造仕様書一覧(MIRS9801-ASBY-0001)
   • MIRS9801 エレクトロニクス製造仕様書一覧(MIRS9801-ELEC-0001)
   • MIRS9801 ソフトウェア製造仕様書一覧(MIRS9801-SOFT-0001)

4. ソフトウェア試験結果報告

   各試験結果は以下の文書を参照。

   • MIRS9801 ソフトウェア試験報告書一覧 (MIRS9801-SOFT-2000)

5. 改善報告

   MIRS9801における改善報告については、以下の各ファイルを参照。

   • MIRS9801 改善設計提案書 (MIRS9801-DSGN-0006)
   • MIRS9801 エレクトロニクス部品修理報告書一覧 (MIRS9801-ELEC-9000)
   • MIRS9801 ソフトウェア部バグ曲線 (MIRS9801-SOFT-0003)

6. 既知問題点

   開発完了後のMIRS9801における既知問題点とその問題に対する見解を述べる。

   • Power Distributor の電源コネクタにおける接触不良の多発。
     　この問題は、MIRS9801の改善設計を行ったときに生じたものである。具体的に説明すると、車高をより低くしたために、シャーシの２階部分によるバッテリの固定が不充分となってしまい、マシンの走行中にバッテリが激しくゆれて、Power Distributorのバッテリコネクタ部分に多大な負荷が生じてしまい、この部分が接触不良に陥ってしまったということになる。
     　競技会までに何度かこの問題についての検討をしたが、最後まで良い解決策が浮かばず、そのまま競技会へ出場することになってしまった。修正できなかったことが悔やまれる個所である。

   • 側面のタッチセンサに、期待するほどの性能がなかった。
     　本来、側面のタッチセンサはMIRS9801のタイヤを保護する名目で作られた。しかし、このセンサのメカニクス的な設計が難航し、期待する性能を得るまでにはいたらなかった。
     　実は、この問題に対する改善案はいくつか出ていたが、マシンの改造に時間がかかると予想されること、ある程度であればソフトウェア的にこの問題を回避できることなどから、改善にはいたらなかった。

   • 前面バンパ型タッチセンサの対衝撃性の欠乏
     　前面バンパ型タッチセンサは、バンパとしての対衝撃性能よりも、タッチセンサとしてのセンサ性能を重視して製造した。ところが、度重なる壁、ポストへの衝突を行う試験を繰り返した結果、競技会の２日前になって、ほとんどのマイクロスイッチが動作不良となり、部品の交換を行わなければならなかった。
     　本来ならば、この部品に関しては、もっと短いサイクルで点検を行う個所ではないかと思うが、マシンのオーバーホール時の確認によって未然に発見できたので特に大きな問題でもないように思った。しかしこの問題は、マシンパーツにおいて強度と感度は相反するものだと再確認する、ちょうど良い事例になったと思う。

   • マシンの回転半径
     　MIRS9801は上から見ると、ほぼ正方形の形をしている。よって、MIRS9801がその場回転をするには、30の1/2乗cm程度の回転半径が必要となり、八角形に近い形状を持つマシンよりも小回りが利きにくくなってしまった。
     　前面バンパ型タッチセンサの使用目的と形状からすれば仕方のない事だが、これによってマシンの動きに制限ができてしまったことも事実である。この問題に関しては、システム開発提案書や基本設計書の段階ではまったく気づいておらず、自分たちの見解の甘さは反省すべき点であると思う。

   • マンマシンインターフェースボードのロータリーディップスイッチの破損
     　このパーツはよく動かす部位の１つであるにもかかわらず固定強度に乏しいため、多少乱雑な操作をするとすぐ壊れてしまう。取り扱う人間も十分に注意をするべきではあるが、この部位に関しては、パーツの方に問題があると思われる。
     　設置場所等の問題もあるので簡単には直せない部分だが、この辺りに関する考慮も必要だったのではないかと思う。

   • タッチセンサボード‐タッチセンサケーブルの交換性の悪さ
     　メカニクス部の設計の都合で、タッチセンサボード‐タッチセンサケーブルの取り付けが難しくなってしまった。この部分に関しては、タッチセンサボードの取り付け位置にもう一考あっても良かったのではないかと思う。

   • ケーブルの長さと配置について
     　ケーブルに関しては反省する部分がいくつかある。
     　１つ目は、いくつかのケーブルを短く作ってしまい、取り付け時に苦労した、もしくは取り付け後の動作に不安があった、という部分があったことである。
     　２つ目は、コネクタの付け間違いによるエラーが結構あった事である。
     　３つ目は、エレクトロニクス担当者以外がケーブルを扱うとき、その取り扱い方が悪かったことである。
     　１つ目に関しては、マシンに対するケーブル配線の考え方が甘かったためであると思われるが、マシンの改善等を繰り返すうちに改善できたと思う。
     　２つ目、３つ目に関してはエレクトロニクス担当者が、ほかの部門の担当者に対して十分な指導をしなかったことが原因である。これは、各個人が他の部門に目を向けるほどの余裕を持てなかった結果であると思う。他の部門に関係のあることはしっかり指導するべきだということを再認識させられた。

   • ソフトウェアの開発体制が不充分であった事
     　ソフトウェアの開発に対しても反省することはいくつかある。
     　まず、ソフトウェアの開発に対してソフトウェア詳細設計書が有効に使われていなかったこと。
     　つぎに、各試験に対しての取り組みにつながりがなく、順番に行った試験とそれに対応する各試験プログラムが有効に生きていなかったこと。
     　また、プログラムのインターフェース等がしっかり決まっていなかったため、複数人でのプログラム開発が困難であったこともあげられる。
     　これらの問題に関しては、ソフトウエア担当者の議事を重ねることで回避できたのではないかと思われる。

7. 最後に

   以上の報告をもってMIRS9801の開発における全過程が終了したことを報告する。

• MIRS9801 INDEX(MIRS9801-DSGN-0001)