名称 MIRS2603 PoC(食堂実証実験)
番号 MIRS2603-DSGN-0007

版数 最終更新日 作成 承認 改訂記事
A01 2026.08.04 長野 煌 初版


本ドキュメントは、MIRS2603のPoCの「食堂実証実験」(実施日:2026年7月24日、明電舎食堂にて実施)についてまとめたものである。

1.検証内容

1.1 Webカメラによる通過人数カウント

C定食の決済機横にWebカメラを設置し、カメラ視点で右から左へ通過した人物を自動カウントする方式の精度を検証した。

1.2 呼びかけによる誘導効果の検証

以下の3パターンで、呼びかけが利用者の行動(列への誘導・注目)に与える影響を検証した。

1.3 システム面の技術検証

本PoCに付随して、以下2件のシステム実装・動作検証を実施した。

2.KPI

項目 目標値 実績値 判定
Webカメラによる通過人数計測の誤差率 誤差0% 実測223人/計測228人(誤差5人、約2.24%) 未達成
呼びかけによる誘導効果 具体的な数値基準は未設定 AI合成音声を用いた比較を実施できず、成功基準への到達判定は不可 判定不可

3.結果と考察

3.1 Webカメラ計測に関する考察

誤差の主な要因として、同一人物の重複カウント、食堂職員の誤認識、他定食利用者の混入が挙げられる。成功基準(誤差0%)に対しては未達成であったが、これら無関係な事象を除いた上での精度は別途評価する余地がある。今後の改善案として、明電舎から借用可能なリアルタイム売上表示タブレットをカメラで認識し、通過人数カウントに頼らず正確な販売数を把握する方式への転換を検討する。

3.2 呼びかけに関する考察

個別の呼びかけはほとんど関心を持たれず、不特定多数へ向けた呼びかけに切り替えたところ、わずかながら人の流れに偏りが確認された。ロボットによる呼びかけ(実機不動のため固定実施)は音声内容にも課題があり効果が薄かった。人間の生声と録音音声の比較では、混雑時にはスピーカーから約10m離れた入口まで声が届かず、半径3m以内であっても注目されにくいことが分かった。総じて、通行人の大半は呼びかけに反応せず、言葉のみで人の行動を変えることの難しさが確認された。

3.3 改善案

3.4 今後の方針

ロボットが正常に動作すれば、当日程度の混雑状況であれば食堂内部での運用も可能ではないかという指摘が得られた。稼働場所や、呼びかけを一方的な発話のみとするか、来店者への質問形式を取り入れるかについても、今後検討が必要である。あわせて、Jetson⇔入力端末間のHTTP通信、およびOllama・VOICEVOXを用いたAI音声案内システムは、いずれもインターネット接続を必要としないローカル環境で正常に動作することを確認しており、今後の実装基盤として活用する。

4.アンケート結果

PoC実施後、来場者115名を対象にアンケート調査を実施し、人間およびロボットからの案内(呼びかけ)によって当初予定していたメニューを変更したかどうかを確認した。

4.1 人間による案内の効果(全回答者115名中)

回答 人数 割合
変更した 5名 4.3%
変更しなかった 40名 34.8%
人間の案内を聞いていない 70名 60.9%

4.2 ロボットによる案内の効果(全回答者115名中)

回答 人数 割合
変更した 4名 3.5%
変更しなかった 29名 25.2%
ロボットの案内を聞いていない 82名 71.3%

4.3 案内を聞いた人に限定した変更率(参考)

案内の種類 案内を聞いた人数 うち変更した人数 変更率
人間の案内 45名 5名 11.1%
ロボットの案内 33名 4名 12.1%

案内を聞いた人に限定すると、ロボットの案内による変更率(12.1%)は人間の案内による変更率(11.1%)とほぼ同水準であり、案内さえ届けば、ロボットによる呼びかけも人間による呼びかけと同程度にメニュー変更を促す効果を持つ可能性が示唆された。一方で、案内を聞いていない層はロボットで71.3%、人間で60.9%といずれも高く、「案内をいかに来場者へ届けるか(到達率の向上)」が今後の主要な課題であるといえる。

5.後期の展望

今回のPoCでは、案内を聞いた人に限定した場合のメニュー変更率において、ロボットによる案内が人間による案内とほぼ同等の効果を示すという良い結果が得られた。後期は、この良い点を伸ばすことを軸に据え、案内の到達率(聞いてもらえる割合)を高める工夫、たとえば設置位置や音量の調整、外装デザインやタブレット表示等による視覚的な訴求の強化に取り組み、より多くの来場者にロボットの案内を届けることで、メニュー変更率全体の向上を目指したい。




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