名称 | 社会実装実験報告 |
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番号 | MIRS2401-REPT-0003 |
版数 | 最終更新日 | 作成 | 承認 | 改訂記事 |
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A01 | 2025. 2. 17 | 外山英次郎,渡辺尊,中島蒼葉 | なし | 初版 |
本ドキュメントは,MIRS2401が行った社会実装実験の報告書である.
社会実装実験の様子をまとめた動画を下に示す.
予約から案内終了までの一連の動作の流れを,MIRS単体で完了できるかを確かめる.
1年生4人を対象に一人ずつ予約から案内終了までの一連の流れをしてもらった.
まず,クリエイティブラボにおいて,自分のスマホから案内の予約をしてもらった. その後,電子制御工学科棟1階廊下,共通棟1階廊下にあるクリエイティブラボ,D科演習室,共通教室3の中の予約した地点へロボットが自律案内した. 案内終了後,対象者にアンケート調査を行った. このアンケート調査の内容を下に示す.
実験の安全対策として,班員が常にロボットに付き添い,異常な動作がみられたときに非常停止スイッチを押す体制を整えていた.
実験は以下のようなスケジュールで行った.
1月17日(金)~1月27日(月)
1月28日(火)
1月29日(水)~2月17日(月)
案内の一連の動作がMIRS単体でできたことを確認した.
アンケート調査から得られたユーザー評価のうち,MIRSの各機能についての記述欄の要約を下に示す.
また,アンケート調査から得られた機能ごとのユーザー評価として,5段階評価の「非常に悪い」から「非常に良い」までを1から5として平均値を比較したものをfig.1に示す.
結果から,それぞれの機能について様々な意見・評価が得られた. ここから,次のことを考察した.
まず,移動速度については速度感の個人差が大きいことがわかった. 良い点としてゆっくりとした速度が安心を与える人がいる一方で,同じ速度が遅く感じる人もいた. 原因として設計思想では,学校に慣れていない見学者を想定していたので,学校に慣れている学生からの評価が「遅い」となったと考えられる. 一方で,様々な人に適応させるために,改善点として,速度を一定にするのではなく, iPadのようなインターフェースから速度を調節できるようにする機能の追加が考えられる.
次に説明機能は想定通り,情報の提供手段として有用な評価が得られた一方で,説明の内容については簡潔な方がいいという評価が得られた. 説明機能の実装において,事前知識をプロンプトで与え,GeminiのAPIを利用しているため,プロンプティングで説明のセリフの長さは調節できると思われる.
最後に予約機能とマッチング機能については予約についてその簡便さが評価されている. 悪い点として重複が生じる場合の挙動に対する不満があったが, 実証実験用にイベントを乱立したために起こったこととされるので,実使用上の問題はないと考えている. さらに予約確認のタブで予約は確認することができるため,これらUIのデザインによる改善が有効であると考えられる. また,今回の実証実験ではマッチング機能の体験があったが,アンケートではあまり触れられていなかった. これについては実際に機能の体験が行われたものの,対象者への説明の欠落があったことが原因と考えられる.
本実験では、1年生4人を対象に、MIRS単体で予約から案内終了までの一連の動作を完了できるかを検証した。 実験の結果、MIRSは予約された地点まで自律的に案内することができた。 アンケート調査の結果から、MIRSの各機能について様々な意見が得られた。 移動速度については、速度感の個人差が大きいことがわかった。 説明機能は情報の提供手段として有用である一方、説明の内容は簡潔な方が良いという意見もあった。 予約機能はその簡便さが評価されたが、案内場所の組み合わせに重複が生じる仕様に不満があった。 これらの結果から、MIRSの速度を調整できる機能や、説明の長さを調整できる機能を追加することで、より多くのユーザーに適応できると考えられる。 また、予約確認UIのデザインを改善することで、ユーザーの利便性を向上させることができると考えられる。 今回の実験では、本来の対象者である学校を知らない見学者を対象としていなかったことが影響した評価項目があったと思われる。 実際の使用に向けては速度の調整などで学校を知らない見学者を対象としてさらなる実証実験があると良いといえる。