名称 MIRS2202開発完了報告書
番号 MIRS2202-REPT-0003

版数 最終更新日 作成 承認 改訂記事
A01 2023.02.21 山田凌央 小谷進 初版

目次

1.はじめに
2.機体評価
3.発表会の振り返り
4.作業時間分析
5.社会実装
6.班員の感想



1.はじめに

 本ドキュメントはMIRS2202における開発完了報告書である。完成した機体を以下に示す。

図1 全体図1

図2 全体図2


2.機体評価

 機体評価を表1に示す。多少の問題はあったが、実現したい機能を実現することができた。

表1 機体評価

機能 概要 評価
タブレットを用いた受付 機体に設置されたタブレットからの入力をスプレッドシートに書き込む 問題なく実装できた
モジュールでの体温測定 Arduino nano→Raspberry Piを通して測定値をスプレッドシートに書き込む 実装はできたが、30秒ほどラグがある
モジュールでの診察券読み取り >Arduino nano→Raspberry Piを通して測定値をスプレッドシートに書き込む 実装はできたが、30秒ほどラグがある
案内 地図からの経路選択 問題なく実装できた
交差点読み取り ライントレースを用いる 実装はできたが、調整不足であった
走行 ライントレースを用いる 実装はできたが、調整不足であった
衝突回避 周囲の障害物を検知し、停止する 超音波センサの取り付けは行ったが、実装が間に合わなかった
緊急停止 スイッチを押下することで機体の動作を停止させる バッテリーの接続を断つことで動作を停止させる回路を実装した

3.発表会

3.1.発表会の結果

 発表会の最優秀賞の結果を表2に、技術賞の結果を図2に示す。

表2 最優秀賞結果

班名 プロジェクト名 得票数 得票率 順位
MIRS2201 としょかえる 9 5.3% 5位
MIRS2202 NASUBI 92 54.8% 1位
MIRS2203 RAPTA 30 17.9% 2位
MIRS2204 KOZUTUMI 21 12.5% 3位
MIRS2205 てんこっこ 16 9.5% 4位

図3 技術賞

かなりの票を得ることができた。当日のプレゼンテーションによる影響が大きかったと考えられる。機能を拡張できるようにしたことによって、ニーズが高く評価されたと考えられる。


3.2.発表会・展示会の振り返り

・発表会では三橋がプレゼン資料、発表を山田が担当した。

・プレゼン資料や話の構成に時間をかけたため、練習にあまり時間をかけることができなかったが、詰まることなく発表を行うことができた。

・実演も問題なく行うことができ、よかった。

・発表に実演を取り入れることで聞き手に強い印象を与えることができたと考えられる。

・ブースの設営は、山田、浅見、角田、冨永、三橋が担当した。

・ポスターの作成は小柳が行った。

・実際の病院を想定したブースを設定し、実際に案内を行えるようにした。

・ライントレースが安定しなかったため、一通りの案内は2回ほどしか行えなかった。

・受付の流れはすべて体験してもらうことができたので良かったと思う。



4.作業時間分析

 以下に開発スケジュールを示す。黄色部分が予定していた作業、点線で囲まれた部分が実際の進捗である。

図4 開発スケジュール


 班員、及び各パートの作業時間の割合を以下に示す。

図5 作業時間割合(山田 282.5時間)


図6 作業時間割合(畠山 311時間)


図7 作業時間割合(浅見 200時間)


図8 作業時間割合(石川 257時間)


図9 作業時間割合(小柳 232.5時間)


図10 作業時間割合(角田 305時間)


図11 作業時間割合(冨永 338時間)


図12 作業時間割合(三橋 286時間)


図13 作業時間割合(メカ 649時間)

全体の進捗としては予定通り進めることができた。しかし、外装について詳細に設計できていなかったため外装用の素材を見つけるのに時間がかかってしまった。
メカを担当した富永が後半でPVの制作を行ったため発表会準備の割合が多くなっている。メカとしての遅れはほとんどなかった。
実装実験の結果に基づいてサスペンションの追加ができた。現場での需要に合わせてすぐに対応することが出来たのでよかった。


図14 作業時間割合(エレキ 758.8時間)

ジャンク品のステッピングモータを使用したことが原因でモータードライバの選定などに時間がかかってしまった。そのため、基本設計通りにいかないことが起きてしまい製造、試験に時間がかかった。
また、モジュール開発にも遅れが生じてしまいモジュールの外装と除菌シートモジュールについては未完成となってしまった。当初の予定ではエレキの作業を早めに終わらせ、残りは発表会準備にあてる予定だったがこれらの遅れによってあまり時間を取ることができなかった。詳細設計段階でジャンク品についても調査しておき、タスク管理もうまく行うべきだった。


図15 作業時間割合(ソフト 787.8時間)

詳細設計時に受付システムについての調査が不十分であったため時間が予想以上に時間がかかってしまったがエレキを担当していた山田が補助をしたため間に合わせることができた。
ステッピングモータからDCモータに変更したため制御に時間がかかったことなどにより遅れが生じてしまった。それにより走行実験に十分な時間を使えず、調整が間に合わなかった。
受付システムについては、完成度の高いものになったので良かった。分担が上手に出来たためと考えられる。


図16 作業時間割合(全体 2202.3時間)

全体的に進捗に遅れが生じてしまった原因としては詳細設計が不十分だったことによるものが大きいと考えられる。これについてはPMがこまめに進捗確認を行いその都度修正する必要があったと考えられる。
問題はあったが班員の尽力もあり完成をさせ当日をやり切ることができたのはよかった。




5.社会実装

開発前段階からファルマバレーセンターで現場の需要を確かめることができた。デザインや消毒液モジュールなどはこちらでの意見を参考にして取り入れた。詳細については、以下ドキュメントに示す。
また、実装実験によって、サスペンションを加えることができた。
第1回企業ミーティング議事録
第2回企業ミーティング議事録
第3回企業ミーティング議事録
第4回企業ミーティング議事録
第5回企業ミーティング議事録


6.班員の感想

MIRS2202の班員の所感を以下に示す。

山田凌央

 結果として、最優秀賞と技術賞のどちらもとることができたので良かったです。この授業によってものづくりにおける、提案から設計、開発、発表という流れを知ることができました。マネージャーという立場には技術的な知識はあまり必要ないのではないかと私は最初に考えてしまっていました。しかし、それとは真逆で全体を総括するマネージャーはすべてのパートにおいて最も知識を持っていないといけないということを強く感じました。全体の流れを完全に把握していなければ、指示を出すことも仕事を任せることもうまくいきませんでした。自分の力不足によって班員に迷惑をかけてしまったので、この反省をこれからの学びに活かしたいです。
 ですが、最も力を入れた「周りの人に自分たちの製品をどうアピールするか」「どのようにうまく見せるか」というプレゼンや展示によってこのような結果になったと思うので良かったです。

畠山佑紀

 今回のMIRSを通して私は技術的な面に加え、タスク管理等のマネジメントの重要性について学ぶことが出来た。技術的な面では、昇降機構に用いたラックアンドピニオンで正確な設計を学んだり、社会実装先での問題点を改善するためのサスペンションの設計で対応力を学んだりした。特にサスペンションの設計では、自分の作りたいものではなく、ユーザーのニーズに応えるためのものを作ることの大切さを知った。
 マネジメントの面では、班員に対する効率的なタスクの振り方やタスク管理の重要性を学んだ。今回の一番大きな課題だったタスク管理について、最後まであやふやになってしまったが、今後のタスク管理では意識したい。

浅見颯太

 最優秀賞、技術賞ともに獲得できたので嬉しい。この電子機械設計・製作の講義としては、ドキュメントマネージャーとしてHTML関連の作業が多かった。今まで学んでこなかったものであったため、良い経験となった。ソフトウェアとしてはプログラムの実装が間に合わず、一部機能が欠けるなど悔しい部分があった。チームでの開発作業は、遅れや認識の違いを通して、報告・連絡・相談がとても重要ということを実感した。今後に活かしていけたらと思う。

石川敦也

 モジュールの製作を担当したが、全体的に大きく遅れてしまった。原因として夏休み時にオンラインミーティングなどを行って決めた内容が曖昧になってしまい、チーム内での連携が上手に行えなかったためだと考えられる。これは自信から動くという自発性のなさが原因だと考えられる。モジュールに必要になる3Dプリンタパーツの作成依頼の遅かった。そのため3Dプリンタパーツが紛失するというアクシデントに対応が間に合わずモジュール4つのうち1つが完成しなかった。計画性は今後の課題として精進していきたい。発表会の結果は技術賞、最優秀賞ともに1位と誇らしい結果であったが、悔いの残るものとなった。

小柳とも

 結果として、最優秀賞、技術賞を両方とることが出来ました。今までの実験や実習を通して、女子として8人班に溶け込むことは最初は難しいと考えていました。出来ることがあるのかと悩むこともありました。しかし8人の中で唯一の女子としてあまりない視点から物事を発言して、MIRSの開発に携われたと思っています。出来ることを探し、自分が持っている最大限を発揮できたと思います。あまり経験できないことを吸収できる良い機会でした。

角田啓昌

 今回、一つの製品を作る為に要求された複数の目標に対して自身で必要なシステムを設計し、実装するというのは初めての経験でした。その過程で今まで全く触れて来なかった分野の知識を理解し実装するというのは、大変だったと同時に大きく成長するきっかけとなったと思います。 実際には本番までに走行制御を始めとした一部機能の調整が間に合わず、個人としては悔しい結果となりました。これに対し個人としては、自身がソフトウェア開発をリードする立場でありながら個人の作業に没頭したため、他ソフトの開発が遅れたこと、メカ、エレキも含め連携が不十分であり機能を実装する段階で問題が多数発生したことがあります。またチームとしては、互いが共有する知識や技術を過大に評価していたこと、マネジメントが機能せず各自の分野を超えたタスクが多数あったため効率が落ちたり仕事量の偏りが起きたこともあります。これらは実際の製品開発でも発生するであろうことである為、その反省を活かしたいです。

冨永悠陽

 結果として総合優勝、教員方による技術賞を獲得することができとても嬉しかったです。 最後まで諦めずに突き詰めたチームとしての努力が実った瞬間だったと思います。 自分は今回メカとして3Dプリンタパーツの設計、MIRS本体の製作を行いました。特にSolidWorksを用いた作業は慣れていない部分も多く、一年を通して技術を身に付けることができたことは大きな成長になったと考えます。 全体を通してはやはり進捗の遅れが目立ちました。要因の一つとして機体の外装設計を開発序盤から行わなかったことが挙げられます。計画的な作業進行という面ではまだまだ課題が多かったため、これからの教訓にしていきたいです。

三橋俊介

 ぼくは、自分自身ここまでMIRSに熱心に取り組むとは3年の時思っていませんでした。ユニバーサル基板の作成の基礎はわかっていても実際やってみるとうまくいかない、回路が短絡し導線の被覆が溶けるなど、こんな失敗体験はやってみないとわからなかったです。でも失敗を楽しんで一つひとつ学べたのではないかなと思っています。先生や友達、先輩の協力もあり知識や技術はもちろん、メカエレキソフトの連携、コミュニケーションの大切さは今後の社会でも役に立つことだと思います。楽しかったです。


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