名称 MIRS2102開発完了報告書
番号 MIRS2102-REPT-0004

版数 最終更新日 作成 承認 改訂記事
A01 2022.02.03 小河智摩 小谷進 初版

目次

1.はじめに
2.機体評価
3.発表会の振り返り
4.開発スケジュール
5.作業時間分析
6.総括
7.班員の感想



1.はじめに

 本ドキュメントはMIRS2102FUTABAプロジェクトの開発完了報告書である。完成した機体を以下に示す。


図1 FUTABA外観


2.機体評価

 FUTABAの機体評価を表1に示す。

表1 機体評価
機能 概要 評価
除草/播種機能 機構のモータを回転させることで、除草剤/種を数cmおきに散布する 除草剤/種の散布は実装できたが、等間隔に散布することができなかった
マーカー検知 マーカーを認識することで走行区画を設定する カメラから3m先のマーカーまで認識できたが、光の当たり方によっては認識できないことがあった
走行 地面の上で直進、方向転換を行う 直進動作は可能であったが、回転動作が困難であった
アプリとの通信 webアプリから作業を指示し、それに沿った動作を行う webアプリの指示に沿って除草/播種機能を実行することができたが、動作開始まで数秒の遅延が生じた
収穫時期の通知 栽培している野菜の収穫時期を通知する webアプリ上に収穫時期を表示することはできたが、ユーザーへの通知は未実装という形になった
緊急停止 スイッチを押下することで機体の動作を停止させる バッテリーの接続を断つことで動作を停止させる回路を実装した
衝突回避 前方に障害物を検知した場合、機体の動作を停止させる 超音波センサの値を読み込みながら走行することで、衝突回避距離に障害物がある場合停止する機能を実装した

3.発表会の振り返り

3.1.発表会の結果

 発表会の最優秀賞の結果を表1に、技術評価の結果を表2に示す。

表2 最優秀賞結果
班名 プロジェクト名 得票数 得票率 順位
MIRS2101 MemoLip 41 25.2% 2位
MIRS2102 FUTABA 39 23.9% 3位
MIRS2103 ParCle 42 25.8% 1位
MIRS2104 CiDer 15 9.2% 5位
MIRS2105 PhotoKEN 26 16.0% 4位
表3 技術賞結果
班名 コンセプト 機能 ユーザ ニーズ 実現度 合計 順位
MIRS2101 72.5% 92.5% 80.0% 72.5% 90.0% 81.5% 1位
MIRS2102 87.5% 77.5% 77.5% 80.0% 80.0% 80.5% 2位
MIRS2103 77.5% 92.5% 70.0% 75.0% 82.5% 79.5% 3位
MIRS2104 75.0% 67.5% 85.0% 72.5% 77.5% 75.5% 5位
MIRS2105 80.0% 72.5% 72.5% 72.5% 82.5% 76.0% 4位

3.2.発表会・展示会の振り返り

 発表時、動画再生やスライド切り替えにトラブルがあったが、資料・プレゼン・PVのクオリティの高さでカバーすることができた。デモについても通信トラブルがあったが、実機や3Dモデルを見せた機構の説明、来場者にwebアプリにアクセスしてもらう、等の対応ができた。



4.開発スケジュール

 予定していた開発スケジュールを図2に、実際の開発スケジュールを図3に示す。

図2 予定していたスケジュール


図3 実際のスケジュール


 メカの開発スケジュールを見ると、播種/除草機構の開発が2週程度遅れていることが分かるが、これは部品の発注が原因であると考えられる。また、外装をアクリル板等で作成する予定であったが、実際にはコンテナを用いて作成したため外装の作成及び取り付けが同時に行われている。後輪の動作、基盤の配置等に合わせて外装を加工していたため、予定よりも長い作業時間を割いていることが分かる。エレキは予定より詳細設計に時間がかかっていることが分かる。しかし、シールドの作成や発注したモータの試験などは予定通り、あるいは予定より早く完了していることが分かる。ソフトについては、衝突回避や画像認識など、機能単体としてはほとんど予定通りに開発できているが、統合に時間がかかっていることが分かる。また、発表会直前までwebアプリのUIのデザインを修正していたため、アプリ開発の期間が長くなっていることが分かる。


5.作業時間分析

 班員、及び各パートの作業時間の割合を以下に示す。

図4 作業時間割合(小河 215.5時間)


図5 作業時間割合(蔭山 370時間)


図6 作業時間割合(狩野 152.5時間)


図7 作業時間割合(熊切 167時間)


図8 作業時間割合(小林 177.5時間)


図9 作業時間割合(芝田 171時間)


図10 作業時間割合(田中 118.5時間)


図11 作業時間割合(辻 170時間)


図12 作業時間割合(メカ 547.5時間)


図13 作業時間割合(エレキ 493.5時間)


図14 作業時間割合(ソフト 501時間)



 以下に、各パート毎の分析を示す。

メカ

 メカニクスの人員が二人ということもあり、設計・製造の工程がより多く時間を要していることがわかる。

エレキ

 エレキは詳細設計が通らないと作業が出来ない関係で早めにほかのパートより詳細設計を終わらせているためそこにかける時間は比較的短くなった。また、途中でエレキの仕事が減ったため、3人の内2人を他の仕事に回した関係で発表会準備やその他の作業が多くなったことがわかる。

ソフト

 アプリの開発を詳細設計として登録しているため、「ソフト詳細設計」と「ソフト実装・試験」の工数が同等となっている。開発に必要な工数を分散できていることから、アプリの作成と機体のプログラム作成を分担し、並行して開発を行うという体制がうまく機能していると考えられる。

6.総括

 畑を想定した走行の実現に向け、タイヤのサイズアップ、4輪への変更など課題が多くあったが、何とか屋外で走行させることができて良かったと思う。しかし、土の上での方向転換が困難だったり、砂地のような路面が柔らかい場所では直進も困難だったりと、問題点が多く残る結果となった。当日のデモは満足のいくものではなかったが、発表資料や動画などの完成度は高く、得票率につながっていると思う。


7.班員の感想

MIRS2102の班員の所感を以下に示す。

小河智摩

 標準機から大幅な変更をする必要があり完成するか不安だったが、何とか動くものを作ることができて良かった。しかし、班員の作業時間の偏りが出たり、作業がスケジュール通りに進まなかったりと、仕事の振り方や進捗の管理など、マネジメントの難しさを痛感した一年だった。加えて、詳細設計やドキュメントの整備、部品の発注など、実際に何かを作るだけがモノづくりではないということをMIRSを通じて知ることができた。普段の生活や授業では得られないこの貴重な経験を今後に活かしていけたらと思う。

蔭山朱鷺

 チームでの開発の難しさを実感した。仕事を適度に分散させて効率的に作業を進めることが理想だったが、作業を任せないで自分でやってしまうことが多かった。班員のやる気の差異が大きいと誰かに負担が集中するということを実感した。

狩野秀斗

 出来る限り参加できるよう心掛けました。また、手が空いているときは雑用なども積極的に行いました。この1年で学んだことを、活かせるような将来を設計したいと思います。

熊切雄之助

 基本的にwebアプリの開発をしました。夏休みに一からHTML,CSS,Javascriptを学び始め、いろいろと調べながら開発をしていきました。firebaseを使ってアプリとラズパイの通信をするところが一番難しくて、とてもいい経験になりました。しかし、もっと早くから毎日プログラミングをしていればもっといいアプリができたと後悔しています。結局プッシュ通知は一切実装できず、栽培時期を表示するだけとなったのが一番の心残りです。一年間で学べることが多くあったので、この経験を忘れず、これからに活かしていきたいと思います。

小林拓馬

 僕はMIRSでメカニクスを担当した。全体を通してよくできた点としては、設計、モデリングを率先して行えたことだと思う。Fusion360というモデリングソフトを用いて機体の設計を早い段階から行い、周りの人にイメージをつかませることができたのはチームに貢献できた点だといえる。しかし、設計の時間が思ったより長くなり機体の製作に時間をかけることができなかったのは改善すべき点であると感じた。

芝田和弥

 僕はエレキとして基板の製作や配線などを担当した。エレキの活動は自分が主体となって行い、他のパートとも進捗を確認しながら作業をすることができた。詳細設計では確認不足などによって再レビューになってしまったが比較的早めに詳細設計のレビューを通し、パート開発までスムーズに移ることが出来たので良かった。パート開発も早めに終わらせることが出来たが、不具合がちらほら出てきてしまったのでその都度直す必要があった。エレキの仕事がない時にメカの仕事を手伝ったが、安全講習を受けてなかった為出来る事が少なく、あまり役に立てなかったのが申し訳なかった。班員の仲が良いのもあり、ミーティングや作業を楽しく行えたので良かった。

田中萌葉

 全体を通して多かった仕事はロゴやポスターなどデザイン関係のことが多かったです。途中、モーター用のプログラムも考えましたが、作業が遅く、変わってもらったりしたので自分の力量不足を感じました。また、前半ではあまり班員とのコミュニケーションが取れずに同じ作業をしてしまったこともあったのでしっかりと話し合うことが大事だなと感じました。後半では前半と比べコミュニケーションが取れるようになっていたので、良かったです。技術的な部分の班への貢献度は慣れてないこともあり些細な量になってしまったと思いますが、他の人がスムーズに作業出来るよう自分の出来る範囲での仕事は頑張れたと思います。1年間を通して成長する機会があり、これからの自分の糧にすることが出来ました。これらを、今後に活かして行きたいです。

辻幸弘

 MIRSの授業を約1年行ってきたなかで最も印象的だった事が2つあります。1つ目は、アイデアを形にするという行為です。これまで、自分の脳内に実現したいアイデアが生まれても、前向きに取り組もうとせず、もしくは取り組んでみても壁にぶつかったら諦めてしまい、アイデアを忘却の彼方に葬り去ってしまうことが多くありました。しかし、授業の一環であるMIRSではアイデア(個人ではなく班みんなのアイデアだが)を必ず実現に移す必要があり、この環境が強い刺激になり、パート開発やPV制作での原動力となりました。2つ目は、8人という大人数での制作活動という経験です。パートが分かれているとはいえ、パート間でも連携は必要です。特にエレキは性質上メカ・ソフトどちらとも連携を欠かすことができません。パート内、パート同士との話し合いを重ね、着々と形にしていく過程と、無事システムとして完成させたときの成功体験は、今後の人生に強く影響することと思います。MIRSで育んだ経験を忘れることなく、まずは就活、就職したあとの社会人生活でも技術者としての心意気を持って歩みたいと思います。


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