名称 MIRS1804 標準機走行試験報告書
番号 MIRS1804-REPT-0001

版数 最終更新日 作成 承認 改訂記事
A01 2018.06.22 川口大和 初版

1 試験班

 今回の試験は以下のメンバーで行った。
 川口大和、土屋優貴、中村美月、山崎蒼人、米持春貴

2 直進制御PゲインKsの調整

 直進制御PゲインKs(以下Ks)の値を調整し走行中のぶれを少なくする。
 2.1 試験方法
 test_requestプログラムを実行して標準機を直進走行させ、走行中のぶれを観察する。最初のKsの値を10、速度を50[cm/s]、距離を200[cm]とする。その後Ksの値を少しずつ大きくしながら(簡単のためKsの値は整数になるようにする)それぞれ走行させ、走行中に機体のぶれが目立つKsの値を探す。
 今回はKsの値ごとに5回ずつ走行させ、見た目で評価する。尚、評価はぶれが目立たない場合に良好、ぶれが目立った場合不良とし、実験を行ったメンバー全員が良好と判断した場合のみ全体の評価を良好、それ以外の場合は不良とする。
 2.2 試験結果
 Ksの値の変化量を小さくすると走行の様子の違いが判断できなかったため、今回はKsの値を10,12,17,25,40として試験を行った。
 Ks=10,12,17の時は良好と評価したが、Ks=25,40の時に走行中のぶれが目立ったため不良とした。その後、良好と判断できる境界を探すため、Ksの値を25から1ずつ下げて走行させ、評価が良好となるKsの値を探した。その結果、Ks=20の時に良好となったため結論は以下のようになった。

    「走行する際の直進制御PゲインKsの値を20以下にすれば走行中ぶれが小さくなる。」

3 速度の検証

 標準機の走行について指定した速度と実際の速度を比較する。また、標準機が出すことができる速度の限界を調査する。
 3.1 試験方法
 test_requestプログラムを実行して標準機を直進走行させ、機体が止まるまでの時間を2人で測定する。今回は簡単のため、速度を50[cm/s]から10刻みで100[cm/s]まで、距離は走行時間が10[s]となるように指定し、それぞれ2回ずつ走行させる。
 また、指定した距離を走行距離、2人が測定した時間の平均時間を走行時間として、実際の速度を (走行距離[cm]) (走行時間[s]) で求め、指定した速度と比較する。
 すべての結果をまとめた後、誤差の値の最頻値を評価の基準とし評価する。評価は、基準の値からずれが±1%以内の値に収まる場合に良好、±1%より大きい場合は不良とする。
 尚、±1%という値は班で話し合った際に全員が許容できると宣言した値であり、以下の試験でも同じ値を用いる。

 3.2 試験結果
 試験の結果をまとめた表をTable.1として以下に示す。

Table.1 速度の検証
Table.1 速度の検証
 データ番号②~⑥で誤差が約-9.5%でほぼ一定だったため、これを基準として評価した。また、データ番号①、⑦は誤差の値が周りから大きく外れていたため、評価から外した。

 今回の試験に用いた駆動用バッテリーの電圧が7.06[V]であった。
 指定速度を50[cm/s]~80[cm/s]としたとき(データ番号②~⑥)、実際の速度は指定速度より低くなっているが、誤差の値が一定であるためモータの仕様と考えることができるため評価は良好とする。
 指定速度を90[cm/s]、100[cm/s]にしたときの結果(データ番号⑧~⑪)を見てみると、それまでに比べ誤差が大きいことが分かる。評価は不良とするが、これによりモータの出力の限界がこのあたりのあると予想できる。計算から求めた実際の速度は約80[cm/s]であり、指定速度にかかわらず値が一定になっているため以下の結論が言える。

「標準機は指定速度から10%程度低い速度で走行し、出せる速度は80[cm/s]が限界である。」

4 タイヤの回転比の調整

 タイヤの回転比を調整することで、直進走行の際に左右のタイヤの回転数を揃える。
 4.1 試験方法
 test_requestプログラムを実行して標準機を直進走行させ、進行方向に対して垂直方向の移動距離(以下、移動距離)を測定する。その値を直進走行においての横ずれとして評価する。
 この試験において、回転比とは右のタイヤの回転数に対する左のタイヤの回転数の比である。前試験にて、回転比を1とした場合は左にずれることが確認されており、回転比が1より大きいことが予想される。そのため最初は回転比を1.003とし、試験の結果に応じて値を調整することにする。また、指定する走行距離を200[cm]、速度を50[cm/s]とする。
 評価は、指定した走行距離との誤差が±1%以内に収まる場合に良好、±1%より大きい場合は不良とし、評価が良好である値の中から誤差が最も小さい値を今後用いる値とする。
 4.2 試験結果
 試験の結果をまとめた表をTable.2として以下に示す。

Table.2 タイヤの回転比の調整
Table.1 タイヤの回転比の調整
 データ番号①は、誤差だけ見ると±1%に収まっているが、これは初動で標準機機体の方向が変わったために起きたことであり、その後の走行で左に曲がる様子を確認したため評価としては不良にした。他にも初動の影響で、同じ回転比の値を用いたデータの中に誤差のばらつきが発生している。それを考慮し、誤差が±1%を超えなかった場合には同じ値で5回試験を行い、誤差の平均を導いてから評価することにした。
 データ番号⑤までで回転比が1.006では小さく、1.01では大きいことが分かる(データ番号②以外で初動の影響は確認されなかった)。回転比を1.0095にしてみたところ、誤差が0.75%であった。その後の5回の測定の結果(データ番号⑥~⑩)、誤差の平均が0.019%となったため、評価を良好とした。
 よって今後、回転比は1.0095を用いることにする。

5 距離の計算式の調整

 標準機の走行において、走行距離は以下の計算式で求めている。
(右のエンコーダの値)[cm]+(左のエンコーダの値[cm]) 2
この式の分母の値を調整することで、計算から求めた走行距離と実際の走行距離の誤差をなくす。
 5.1 試験方法
 test_requestプログラムを実行して標準機を直進走行させ、走行距離を測定する。その後、走行距離と指定した走行距離を比較し評価する。
 前回の標準機走行試験にて、分母の値が2であると走行距離は指定した走行距離より短くなることが確認されており、値は2より大きくなることが予想される。そのため最初は分母の値を2.06とし、試験の結果に応じて値を調整することにする。また、指定する走行距離を200[cm]、速度を50[cm/s]とする。
 評価は、指定した走行距離との誤差が±1%以内に収まる場合に良好、±1%より大きい場合は不良とし、評価が良好である値の中から誤差が最も小さい値を今後用いる値とする。
 5.2 試験結果
 試験の結果をまとめた表をTable.3として以下に示す。

Table.3 距離の計算式の調整
Table.1 距離の計算式の調整
 分母の値を2.06とした時、評価は良好だったが若干誤差があったため(データ番号①)、2.07に変更した。5回測定してみたところ、そのうち4回で誤差0%という結果になったため(データ番号②~⑥)、この値を今後の計算式の分母の値とする。
 よって、走行距離を求める計算式は以下のようになった。
(右のエンコーダの値)[cm]+(左のエンコーダの値[cm]) 2.07