名称 MIRS1303 開発完了報告書
番号 MIRS1303-RPRT-0004

最終更新日:2014.2.1

版数 最終更新日 作成 承認 改訂記事
A01 2014.2.3 鈴木悠人 初版

目次




1.はじめに

本ドキュメントは,MIRS1303のMIRS開発の分析と総括をまとめたものである.

2.開発スケジュール分析

開発予定スケジュールをFig.1に,実際の作業日程をFig.2に示す.

Fig.1 開発予定スケジュール



Fig.2 実際の作業日程 (赤字は予定と違うところ)

@詳細設計書の作成時に時間がかかりどの班も作業の開始が遅くなった
Aスケジュール作成後電子コンパスをMIRS1301,MIRS1304と合同で作成するプロジェクトをたてることになった.そのためプロジェクトのドキュメントの作成で作業にとりかかるのが遅れた.そのために電子コンパスを使ったプログラムの動作テストが遅れた.
BMIRS本体のヒューズケースが破損,電源ケーブルが1本千切れた.修復のために追跡走行などのプログラムのテストに遅れが生じた.

3.開発工数分析

Table.1に班員の各分野の仕事時間を,Fig.3に班全体の各分野の仕事時間の割合,Fig.4に各班の仕事分野の割合を示す.
Table.1各班員の仕事量内訳
担当 班員名 メカ作業時間(h) エレキ作業時間(h) ソフト作業時間(h) その他の作業時間(h) 合計(h)
マネージャー/ソフト 飯塚洸平 0 63.5 185.5 149 398
ソフト 杉山春樹 2 15.5 165.5 90.5 273.5
ソフト 野村允春 0 28.25 108.5 156.5 293.25
ドキュメントマネージャー/エレキ 鈴木悠人 3 61 0 142.5 206.5
エレキ 高橋一将 7 54.5 0 114 175.5
メカ 青島圭汰 87.5 50.5 0 92 230
メカ 杉山颯 56.5 11 0 131.5 199


Fig.3 作業時間の割合


Fig.4 各班ごとの仕事の割合

 Fig.3より,その他の分野ににかけた時間が最も多くなったことがわかる.これは,ドキュメントの整備などをその他に含めたからである.MIRSの中でドキュメントの整備は重要なことなので,このような結果になったと思われる.
 Fig.4より,各分担の仕事を比較すると,やはりソフト班の負担が一番大きいという結果になった.競技が新しくなり,走行のために制御する要素が増えたことから予測できたことなのでソフト班の人数を多くしたことは正解だった.

4.総括

  • 競技会結果
  • 一回目 -10点
    スタート→I/Oエラー→メンテナンス
    リスタート→チェックポイント2つ通過→I/Oエラー→メンテナンス→終了

  • 二回目 -170点
    スタート→メンテナンス
    モータ不動により画像認識プログラムのみでリスタート→怪盗撮影→棄権

  • 最終結果 -180点(第2位)
     機体の不調は本番中に顕著なものとなり,I/Oエラーでほとんど競技が終わってしまった.しかし,事前にその展開を予期していたためなんとか対処できた部分があった.それは,競技本番中の「つなぎ」用のスライドであった.機体が動いていない状況でもどのようなメカニズムでMIRSを動かそうとしているかをスライドでわかりやすく説明できたため,何とか場をつなぐことができた.最善策ではなかったが,競技会として観客を退屈させない工夫はできたと思う.
  • 全体
  •  1年間を通して,授業の始めにミーティングを行ってから作業を開始することができた.後半では各分担ごとに分かれることが多くなったためまとめてないが,前半の分はドキュメントとして管理台帳に載せてある.始めにミーティングを行うことで、その日の作業を把握して仕事を進めていけた.
     仕事の分担はできていたが,スケジュールの見積もりが甘い部分が多く,後半の開発でもそうだが,それ以前からドキュメントレビューなどの日程が遅れることが多かった.もっと余裕を持って早めに作業をしていくべきであった.
  • メカ
  • メカに関する改造は早いうちに方針を決めることができ,SolidWorksなど,時間がかかってしまったものの計画通りに完成させることができた.
    また基板の追加など,急遽付け足した部品もあったが,即座に改造することができた.
    結果的に予定していた小型化および軽量化を実現できた.しかし,手入れのしやすさも考慮した設計にしていたはずが,実際にはバッテリーの取り外しや基板の手入れなどがしにくい機体となってしまったことが残念だった.実際のバッテリー周りの写真をFig.5に示す.Webカメラやコードが邪魔となり,バッテリーの出し入れがしにくい.

    Fig.5 バッテリー周りの写真
  • エレキ
  • 今回,新競技にあわせてマシンを開発する際,エレキ班はエラーの原因を極力減らしかつソフト班の起動テストの時間を増やすために,他の班ほど大きな変更をしなかった.
    その甲斐もあって早いうちにハードを,特にエレキはスケジュールよりはやく完成させることができたが,電源ケーブルがちぎれたり,ヒューズが飛ぶなどのトラブルによってプログラムテストの時間をあまり稼げなかった
    本番でもモータコントロールボードのコネクタの不調によりI/Oエラーがおきて動かないという事態を起こしてしまった.
    これらのトラブルを防ぐために電源系の引継ぎ物品は万全の状態であるなどと思わず,すべて新規作成するぐらいのことをするべきだったと思う.

  • ソフト
  •  計画していたものと実際のプログラムを比べると,完成度は低かったと言える.画像処理の動作はほぼ完成できたが,機体を動かす走行制御,現在位置を把握する自己位置推定に関しては上手く動作させることが出来なかった.
     作業期間が全体的に遅れがちになり,全体に対して十分な時間を裂くことが困難となった.その為にプログラムの調整を思うように行えないまま,本番に挑むことになってしまった.時間にゆとりを持って作業できれば,より精度を高め,足りていなかった機能の実現もできたように思う.
     遅れた原因は主に2つ考えられる.
    1つ目は,メカ・エレキ班の作業が終わるまでほとんど活動が進んでいなかった事である.実機を使ったテストが出来ない時に,他の作業をうまく平行して進められずに後送りになってしまった.
    2つ目は,eclipseをうまく使いこなせず,想定よりも手間取った事である.最終的にeclipseを使用しなかったため,プログラム移植や統合の手間が非常に多くなり,結果的に無駄な作業時間を作り出してしまった.
    当初はeclipseを使用していたが,プログラムの変更や追加をしていくとエラーが起きるようになった.これはeclipseが原因のエラーで,端末でコンパイルした場合は問題なく通った.この原因を究明する時間的余裕はなかったため,直接ファイルをMIRSに転送するという方法をとったため,eclipseを使用しなくなった.(詳しいやり方は
    SFTP.txt参照)
     一方で良かった点として,メンバー同士で活発に話し合いができた事がある.競技の攻略方針や機能の実現方法など,ソフト班の中で話し合い,決めていくことができた.時には意見がぶつかり合うこともあったが,なんとかまとめることができた.

    5.後輩へ

  • eclipseは使いこなせたら便利なので,使うつもりなら競技会の直前ではなく,もっと早くから使い方を勉強したほうがよい.いざとなったら使わないという方法もある.(ソフト班の総括参照)
  • スケジュールは余裕を持って,できる仕事はその日のうちに.
  • 授業の始めにミーティングをする.
  • 班でLINEのグループを組む,メーリングリストを利用するなどの共通の連絡手段があると便利.
  • 多少の居残りは我慢.
  • ドキュメントではなるべく図や表を用いて,自分たちでも見やすく.
  • 分からなくなったら,他の班,先輩,先生,歴代のドキュメントなどを頼る.考えても分からないことは分からない.
  • MIRSの起動方法や電源周りの配線,起動後のさまざまなテストプログラムの実行方法などは, 班員の複数人に周知しておく.マネージャーしかMIRSの操作方法を知らないなどの状態になると作業効率が著しく落ちる.
  • エレキでの大抵の問題の原因は接触不良.ケーブルやコネクタの根元をチェック.半田付けやケーブル作成は上手い人がなるべくやる.ただ,ケーブルの作り方ぐらいは全員知っていたほうが良い.
  • メカはとにかく早く完成させる.後の開発に影響する.
  • ソフトは班員の間でうまく仕事を分担する.テストの時間にゆとりを持つ.
  • ソフトのデバッグは,基本的な演算が間違っている可能性もある.たぶんあっているだろうと思って確認しないでいると痛い目を見る.わからないときはとりあえずたくさんprintfしてみて,随時変数の値を確認してデバッグする.


  • 6.感想

  • 飯塚洸平(マネージャー)
  • 1年間マネージャーとして活動してきたが,実力が足りない部分が多く,班員をうまく動かせていないことが多かった.
    やるべきことを正確に把握し,それを班員と協力してこなしていけば,もっと効率的に仕事を終えられたように思う.
    それでも後半には少しずづ慣れてきて,班員を動かしていくことができるようになったと思う.1年間のマネージャーの経験を通して少しは成長できたように感じる.MIRSの活動の中で,班員や他のクラスメイトに助けられることも多く,仲間と協力する重要性を感じた.


  • 鈴木悠人(ドキュメントマネージャ・エレキ)
  • エレキ班として作業をしていましたが,主に回路関連のことを理解して必要に応じて設計していました.
    もともとエレキの仕事が少ないのもありますが,ハンダ付け等はすべて高橋に指示をしていただけなので,ほとんどドキュメント関連のことをして一年が終わりました.
    ドキュメント関連はPHPやJavascriptなどに手を出して,できる限りのことをしてみましたが,プログラムが苦手なのもあり,さほどレベルの高いことはできないままに終わってしまいました.
    その他にはミーティング議事録,レビュー議事録をhtmlをさほど知らないままでも時間をかけずにかけるようにテンプレートを作りました.
    ですが,知識の範囲を広げればもうちょっと良い方法があったように思えます.
    こういったこともあってMIRSの活動はプログラミング関連の苦手意識を克服しなければと思うきっかけになりました.


  • 野村允春(ソフト)
  • MIRSという授業を通して,「期限のあるものづくり」というものの難しさを体感した.何より感じたのは,「前倒しの姿勢」の大切さだった.期限に間に合うかもしれない予定なんていうものはもちろん論外で,実際には「余裕をもって間に合う予定を組んだ上で,可能な限り前倒しする」くらいの姿勢がなければ,期限に間に合わせるなんて出来ないんだと感じた.
    死ぬほど苦労してたマネージャーたちには怒られてしまうかもしれないが,個人的にはなかなか充実感と達成感を感じられる体験で,楽しかった.過去に習ったプログラミングの知識は滅多に生活で活用される機会がないため(実際は機会を作っていないだけかもしれないが),このように一つの成果を上げることができたのは貴重な体験だった.


  • 杉山春樹(ソフト)
  • 私はMIRSを通じて,正直大きな達成感は得られなかった.
    一年間,主にソフトウェアの活動をメインとしてきた. 役割分担時に,班員の中でプログラミングが苦手な人が多く,ソフトウェア担当は今の3人に任された.
    3年生の時にロボカップjr.のプログラムを頑張っていたこともあり,この仕事が一番頑張れると思い,やる気が出た. しかし,いざ機体を動かす仕様を考えてみると,考慮するべき事が多くてなかなか思った通りの工程で作業が進められなかった. 他のソフト担当の二人と一緒にプログラミングするので,お互いの作ったモノを合わせることに苦戦を強いられた. また,プログラムの規模が今まで扱ってきたものよりもずっと大きく,プログラムの全容を把握することも難しかった. それでもどうにか機体を動けるようにしてやる一心で作業を続けたが,競技会前に次々とトラブルに見舞われ,結局成果を挙げられなかった.
    期間自体は確かに短かったと感じた.しかし,それ以上に私達のプロジェクトに対する認識が甘かったと思う.
    単純な間違いがあったとしても,それを見て見ぬ振りをしてしまったような気がする. その瞬間には何も感じていなくても,振り返るとはっきりと見えてくる. 自分自身から動き出せるようになれば,きっと目標は達成できるはずだと思った.
    結果自体は悔しいものとなったが,作業している中で一つ印象に残っている事がある. 競技会本番の前夜,班員の野村君がクラスの徹夜組全員に米とお肉を振舞ってくれたのだ.
    彼はこの差し入れの為に,努力を惜しまず皆に夜食を分けてくれた.普通の人にはできないだろう. そのお陰か,作業場全体の雰囲気は一気に明るくなり,競技会へ向けて最後の調整が捗った.
    このように,気を利かせる努力は私も見習うべきと感じたし,実際に考えを行動に移せる力は必要になると思う. "人の振りみて我が振り治せ",という事だろうか.この反省を次に生かして.


  • 高橋一将(エレキ)
  •  私は主にエレキを担当しました.専門科目も実験も苦手な私は得意なことというと細かい作業や半田付けぐらいしかありませんでした.前期ではモータ制御ボードなど基板作成に費やす時間が多かったためうまく仕事をこなすことができたと思います.一日体験入学では主に呼び込みをしていかに沼津高専が素晴らしいところであるかを伝えることができました.
    後期はエレキとして基板作成,その他の時間はケーブルや備品の作成に費やして暇な時間を作らないよう努力しました.こうして自分の不得意な分野でもチームのために何ができるかを考えて行動することの重要さを学んだ1年間でした.


  • 青島圭汰(メカ)
  • 1年間お疲れ様でした.1年を通してメカを主に担当しました.後期は機体の小型化および軽量化に重点をおいてメカの開発を行いました.小型化に関しては機体を円形として,標準機よりもコンパクトな仕上がりになりました.Solidworksの使い方にも1から挑み,今では始める前とは比べ物にならないぐらい使えるようになりました.しかしながら,反省点も多くあります.設計に関して,徹底的に時間をかけて設計したつもりでしたが,実際に組み立ててみると,設計段階では見えなかった問題点がいくつかでてしまいました.これでは将来設計などをしたときに大問題を起こしかねません.今後様々な場面で設計することがあると思いますが,問題が起こらないようにより慎重に設計するようにしていきたいです.またパーツの交換など,手入れをしやすい設計を心がけましたが,結果的に手入れのしにくいものになってしまいました.限られた期間内にどれだけ独創的かつ正確なものを作れるのか,今後もとても重要な課題だと実感しました.他にもチームワークの大切さなど,MIRSでは本当に多くのことを学べたと思います.今年1年,MIRS1303で活動できて良かったです.ありがとうございました.

  • 杉山颯(メカ)
  • 一年間をメカ担当ということでMIRSに携わらせていただきましたが,その作業時間のほとんどがドキュメントの作成に費やされていた気がします.まずhtmlの勉強から始まり,一番最初に自ら引き受けた標準ボード試験計画書のレビューで何度も何度も叩き落とされることで,MIRSと江上先生の厳しさが嫌と言うほど身にしみました. 高専祭でお客に説明する用のポスターを作成したときも散々な言葉を投げかけられ続け,幾度となく心が折れかけましたが,その度に己を奮い立たせてお客の目を惹くようなより良いポスター作りに勤しみました.加えて,競技会当日に配布するパンフレットの作成も行いました.パンフレットの内容はある程度自由が利くということもあり, 自分のやりたいことを最大限にやりつつ,狭い枠の中で1303班の特長をしっかりとまとめられたように思われました.(遊んでたんじゃないヨ,きれいに見せるための工夫だったんだヨ.)また,ドキュメントの作成中どうしても必要になってきたSolidWorksの使い方の勉強もゼロから始めました.これも非常に労力が要り, 独学で勉強をすることの難しさを思い知ることとなりました.しかし,ある程度やりたいことができるようになってくるとやはり面白く,自分の理想が形になることはとても達成感がありました.また,今後も使う可能性が十分にあるこのツールの勉強をする良い機会となりました.余談ですが,今思うとポスターだのパンフレットだの, 誰が作ったか記述されないものばかり引き受けていてMIRSの評価大丈夫なんだろうかと心配になっています.  一方で本職であるメカでは,部品加工において大きな貢献ができたと考えています.高専に入学してから三年間ロボコン部に所属していたことがあり,器具の使い方・メンテナンス,素材の加工の方法・バリエーション・精度等において自信があり,それを確実に使役し,自分なりの工夫も加えることでより良い部品造りができました. (やっぱりパソコンと向き合うよりこっちの方が向いてるなぁ)作業をしている間も楽しく,その成果が判りやすくきれいに得られたことで達成感も大きく,作業数は少なくも十分な充実感を得ることができました.(ホントどうしてドキュメント系ばっかり引き受けちゃったんだろう..)  今年一年間のMIRS製作全体を通して,毎日遅くまで残って作業をこなす根気,幾度となく否定されてなお立ち向かう勇気,個人の技量を正しく計り適材適所をする知識,班員から意見を求め柔軟に対応しようとする寛容さ,競技会という大きな舞台を大人数でひとつにまとめる伝達力等,様々な点へ成長することができました. MIRSをやり遂げられて本当に良かったと思っています.  最後に,多くの作業をしてくれた班員に感謝と労いを致します.みんな,本当にお疲れ様!!

    MIRS1303ドキュメント管理台帳