沼津高専 電子制御工学科 | ||||||||
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改訂記録 | ||||||||
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版数 | 作成日 | 作成者 | 承認 | 改訂内容 | ||||
A01 | 2002.12.15 | 齋藤 | 齋藤 | 初版 |
今年度のMIRSには、ISAバス仕様のI/Oボードが搭載される。それに従い新しいMIRSのOSには、RT-Linux (RealTime-Linux) が使用される。そのため各センサおよびPWMをRT-タスクモジュールおよびデバイスドライバで制御する必要がある。またLCDが使用されるため、これを制御するデバイスドライバも新たに必要となる。 さらに自分たちの班で使用する超音波による環境マッピングについて述べる。
RT-LINUXとはリアルタイム処理が可能なOSである。Linuxを使用して計測や制御向けのハードウェア、リアルタイム処理を実現するための拡張機能として開発されたもので、通常のLinuxカーネルを書き換えることで使用可能となる。ただし、RT-Linuxは厳密な意味ではリアルタイムOSではなく、スケジューラとプロセス間通信のみ提供している。仮想マシンをLinuxに提供し、Linuxを1つのリアルタイムプロセスとして実行することでリアルタイム処理と従来のLinuxの処理の共存を可能にしている。
実時間処理。他のデバイスからの入力信号や、プログラムからの要求に対して、リアルタイムにこれを処理する方式。制御システムなどでは、一定時間内に処理を確実に終了しなければならない場合があり、このような実時間性と許容時間内での処理の完了を保証する処理方式がリアルタイム処理である。
リアルタイムカーネルは、リアルタイムプロセスとLinuxカーネルを対象にしたスケジューリングを行う。このときリアルタイムプロセスの優先度のほうがLinuxカーネルよりも高く、リアルタイムプロセスの優先度は任意に決めることができる。
Linuxでは、スケジューリング間隔が10ms程度であるが、PC/AT機の内蔵タイマICにより1μs程度の間隔になっている。このためLinuxではハードウェア割り込みを受け付けてISR(インタラプトサービスルーチン)を呼び出すまでに600μ〜20msぐらいかかるが、RT-Linuxではこれを15μs程度の短縮している。つまり、リアルタイムカーネルがCPU割り込み制御の主導権を握ってスケジューラも兼ねることによって、時間要素をLinuxカーネルに依存せずに自身で制御できるようにしている。
このようにMIRSの制御に普通のLinuxではなくRT-Linuxを使用しているのは、ハードウェア割り込みがあったときのスケジューリングの処理方法の違いが大きな要素としてある。
APIとは、OSとOS上で稼働するインターフェース規定のこと。 RT-LinuxのAPIは、V1.xのときはわずか15個であり、機能は大きく5つに分かれていた。下記にその機能、API及び対応するV2.x系のAPIを表す。
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機能 | API関数 |
スレッドの生成 | Pthread_create |
スレッドの終了 | Pthread_exit |
スレッドへのシグナル送信 | Pthread_kill |
スレッドIDの取得 | Pthread_self |
スレッドアトリビュートオブジェクトの初期化 | Pthread_attr_init |
スタックサイズ属性の取得 | Pthread_attr_getstacksize |
スタックサイズ属性の設定 | Pthread_attr_setstacksize |
スレッドのCPU明け渡し指 | Pthread_yield |
スケジューリング属性の変更 | Pthread_setschedparam |
スケジューリングプライオリティ属性の取得 | Pthread_attr_getschedparam |
スケジューリング属性の取得 | Pthread_getschedparam |
スケジューリングプライオリティ属性の設定 | Pthread_attr_setschedparam |
タイマー値の取得 | Clock_gettime |
タイマー値の設定 | clock_settime |
タイマー分解能の取得 | clock_getres |
スケジューリングポリシー毎のプライオリティの最大値の取得 | sched_get_priority_max |
スケジューリングポリシー毎のプライオリティの最小値の取得 | sched_get_priority_min |
Mutex属性オブジェクトのプロセス間共有設定の取得 | pthread_mutexattr_getpshared(3) |
Mutex属性オブジェクトのプロセス間共有設定の設定 | pthread_mutexattr_setpshared(3) |
Mutex属性オブジェクトの生成、初期化 | pthread_mutexattr_init(3) |
Mutex属性オブジェクトの破棄 | pthread_mutexattr_destroy(3) |
Mutexタイプ属性の設定 | pthread_mutexattr_settype(3) |
Mutexタイプ属性の取得 | pthread_mutexattr_gettype(3) |
Mutexの初期化 | pthread_mutex_init(3) |
Mutex破棄 | pthread_mutex_destroy(3) |
Mutexのロック | pthread_mutex_lock(3) |
Mutexのロック | pthread_mutex_trylock(3) |
Mutexのアンロック | pthread_mutex_unlock(3) |
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機能 | API関数 |
CPU IDのスレッド属性オブジェクトの設定 | pthread_attr_setcpu_np |
CPU IDのスレッド属性オブジェクトの取得 | pthread_attr_getcpu_np |
スレッドの周期実行の抑制(wait) | pthread_wait_np |
スレッドの削除 | pthread_delete_np |
スレッドの浮動小数・演算の使用許可 | pthread_setfp_np |
スレッドのリアルタイム実行条件を指示 | pthread_make_periodic_np |
スレッドをサスペンド | pthread_suspend_np |
サスペンド中のスレッドを再開 | pthread_wakeup_np |
表中に出てくる用語の解説
超音波距離センサを用いることにより,ポストまでの距離を取得することが可能だが,比較的幅が広い指向性がある場合,一地点からのセンシングだけでポストの正確な位置を取得するのは難しい。そこでMIRS0205ではソナーリング(センサを円形に並べて計測)で、さらに計測範囲を重ね複数地点から距離計測を行うことで,ポストの位置取得の精度を上げることにする。
MIRSがある地点で獲得した距離情報は,超音波のポストからの反射点が,その指向性内の円弧上にあることを示すのみであり,その位置を特定することはできない。そのため超音波距離センサの受信信号を処理し,2点以上で獲得した距離情報によって作られる円弧の交点を計算することで角度と距離が算出される。このようにポストの位置の特定を行い、環境マッピングの能力を向上させる。
ポストの位置データはリアルタイム処理によって何秒毎に算出し、距離と角度の曲座標からデカルト座標に直して保存しておく。可能ならば位置データの差とモーターの移動距離を比較して誤差を計算する事も考えたい。2回目の競技では位置データを元にポストの位置を特定し、大体の見当をつけてポストに向かう。ポスト付近にきたら再度計測し、本当にポストが存在しているかを確認する。
超音波による環境マッピングには移動制御が正確なのは当然で、さらに超音波センサによる測定距離がある程度正確で、距離データがリアルタイム処理可能であることが求められる。処理したデータは保存して次の行動パターンの決定に用いるのでデータ入出力が激しくなる。これら問題点の解決はCPUボード、及び超音波センサの調査も必要なので調査終了時に考えたい。
関連文書 |
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BROKEN's Advanced Vehicle Laboratory |
複数対象物を検知可能な超音波距離センサを用いた環境マッピング(著:飯野正和他) |