沼津高専 電子制御工学科 | |||||||
| |||||||
改訂記録 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
版数 | 作成日 | 作成者 | 承認 | 改訂内容 | |||
A01 | 2002.12.16 | 峰山 | 齊藤 | 初版 |
PWM制御
1.制御方式
®
パルス幅変調方式(Pulse Width Modulation:PWM)
PWM方式は、結果的には駆動電圧を変えているのと同じ効果を出しているのですが、
その方法がパルス幅に依っているので、パルス幅変調法PWM(Pulse Width Modulation)
と呼ばれています。具体的には、モータ駆動電源を一定周期でOn/Offするパルス状とし、そのパルスのデューティ比(On
時間と時間の比)を変えることで実現しています。これは、DCモータが早い周波数の変化には、機械反応をしないことを利用しています。
基本回路は下図の様にし、図中のトランジスタを一定時間間隔でOn/offすると、駆動電源がOn/Offされることになります。
このパルス状の電圧でDCモータを駆動したときの、実際のモータに加わる電圧波形は下図の様になり、平均電力、電圧を考えれば、見かけ上、駆動電圧が変化していることになります。
ここで重要な働きをしているのが、上記回路図にあるダイオードで、普通の電源用のダイオードを使いますが、その動作内容からフライホイールダイオードと呼ばれています。
つまり、トランジスタがOffの間、モータのコイルに蓄積されたエネルギーを電流として流す働きをします。(回生電流と呼ぶ)この状態を図で表すと下図のようになり、このフライホイール効果により、モータに流れる電流はトランジスタがOffの間にも休みなく流れているように見えることになり、平均電流もOn時の電流とこの回生電流の和となります。
® PWM方式は出力を絞っても正弦波の入力電流波形を維持するので無効電力がほとんど発生しない。
図2にPWM制御パワーモジュールの回路構成の一例を示す。また、図3に各(図2中のa〜d点)での動作波形を示す。正弦波の入力電圧(a)をスイッチング回路Tr1〜Tr4で切り取る。切り取る幅はPWM信号(スイッチング信号:b)で制御する。切り出した出力電流(c)を平滑回路でフィルタリングして平滑化し正弦波に戻す(d)。出力電力の調整はPWM信号の幅を変えることにより切り取る幅を変えて行う。この制御方式では、出力電力を変化させても出力電流の波高(Ip)が変化するだけで出力電流は正弦波を維持する。さらに高周波でスイッチングするため、入力段のフィルタにより入力電流も正弦波を維持することができる。
®
位相差制御
スイッチング部(図2のTr1〜4)においてPWM信号で波形を切り取る際に入力側に高調波電流が発生する。複数のランプに対して同じタイミングで切り取りを行うと各パワーモジュールの入力高調波電流が重なり大きなスパイク電流となる。これを最小に抑えるために位 相差PWM方式を開発した。図5にその入力電流波形を示す。切り取る位相を同一電源相に接続されているパワーモジュールについて僅かにシフトさせることにより電流の重なりを防ぐことができるため、小さな入力フィルタで力率の向上を実現できる。