沼津高専 電子制御工学科
MIRS 歯車調査報告
MIRS0204-TECH-0007
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容
A01 2002.11.20 武藤圭祐
初版


目次

  1. 歯車の基礎
  2. 歯車の各部の名称
  3. 歯形
  4. 実際に使う歯車


  1. 歯車の基礎

  2. 歯車とは「次々にかみ合う歯によって、運動を伝達する機械要素」を言う。あるいは、「回転できる二軸に固定する剛体に凹凸面(歯)を設け、一方の凸面が相手の凹面に次々に入り込んで、すべり接触を行うことによって、一つの軸から他の軸に回転運動を伝える(回転運動の極限の場合として、一方が直進運動を行うもの{ラック}も含む)機械要素を歯車と言う」などと定義されている。
    歯車の特徴一つの軸からもう一方の軸へ動力を伝達する方法として、歯車・ローラーチェーン・ベルト・ロープ及び摩擦車などいろいろあるが、確実に滑りなく動力を伝達する方法として歯車が最も優れています。

  3. 歯車の各部の名称

  4. 一対のかみ合った標準歯車を用いて歯車の各部の名称を説明する
    1.ピッチ面(Pitch surface)
     かみ合っている歯車の,転がり接触している場合の接触面に相当する仮想の面(相当する摩擦車の接触面)

    2.ピッチ円(Pitch circle)
     ピッチ面を軸に垂直にきったときの断面。歯車はピッチ円での転がり接触によって伝導すると考えて良い。

    3.円ピッチ(Circular pitch)
     相隣り合っている二つの歯の距離をピッチ円上の同じ関係位置において測った円弧の長さで、tの記号で示される。ピッチ円の直径をd、歯数をzとすると、
    t=πd/z
    で表される。

    4.モジュール(module)
     ピッチ円の直径を歯数で割った値をモジュールといい、mの記号で表す。モジュールは
    m=d/z(=t/π)
    となる。

    5.ダイヤメトラルピッチ(Diametral pitch)
     モジュールの逆数をダイヤメトラルピッチという。かみ合う二つの歯車においては、円ピッチやモジュールあるいはダイヤメトラルピッチが必ず等しくなけらば、正しいかみ合いが行われない。

    6.圧力角(Pressure angle)
     かみ合う歯車の歯の接触部において、二つの歯が押し合う力の方向を表すものが圧力角である。JISではこの角度は20度であるが、従来は14.5度のものも使われていた。圧力角を20度とすると、歯元が厚くなって強くなる利点がある。

    7.歯先円(Addendum circle)
     歯の先を連ねた円である。

    8.歯元円(Deddendum circle)
     歯の底を連ねた円である。

    9.歯末のたけ(Addendum)
     歯のピッチ円から歯先円までの距離

    10.歯元のたけ(deddendum)
     歯のピッチ円から歯底円までの距離

    11.全歯たけ(Whole depth)
     歯先と歯底の距離で、歯の全長である。歯末のたけと歯元のたけとの和に等しい

    12.歯末の面(Face)
     歯末の部分の歯の面である

    13.歯元の面(Flank)
     歯元の部分の歯の面である

    14.頂隙(Radial clearance)
     一つの歯車の歯先円から、その歯車とかみ合うもう一つの歯車の歯底円までの共通中心線上の距離

    15.円弧歯厚(Circuler thickness)
    歯の厚さをピッチ円上の弧の長さで表したもである。

    16.歯みぞの幅(Widht of tooth)
    一つのはみぞの間にあるピッチ円の長さである。

    17.バックラッシ(Back lash)
    一組の歯車をかみ合わせたときの、かみ合った歯車の歯面のピッチ円弧部の遊び

  • 歯形
    1. インボリュート歯形(Involute tooth)とサイクロイド歯形(Cycloidal tooth)とがある。インボリュート歯形は、かみ合わせる歯車の位置によってピッチ円が変わるので、取り付け中心が不正確であったり、摩滅のために距離が狂っていたりしても正しくかみ合う。ただ、ピッチ円の位置(大きさ)が変わってくるだけである。しかし、サイクロイド歯形では、歯形そのものにピッチ円の大きさが定まっているから、中心距離が狂うとかみ合いが不正確になる。
      インボリュート歯形は、かみ合わせる歯車の円ピッチさえ等しければ、どんな歯数の歯車でもかみ合わせることができるが、サイクロイド歯形では、円ピッチが同じでも、さらに互いにかみ合う部分はころがり円の大きさの等しい歯形でなければ正確にかみ合わない。
      ふつう、インボリュート歯形のほうがサイクロイド歯形より歯が厚くて丈夫である。
      サイクロイド歯形は上歯面と下歯面で曲線が変わるので、複雑で、製作に手数がかかる。
      それぞれ、色々な得失があるが、現在では、これらのうちインボリュート歯形のほうが一般に広く使用されている。


  • 実際に使う歯車
    1. 実際にmirsに使う歯車はモータの歯車を除くと、モータとタイヤとを直角におくのでその部分でかさ歯車を使うことになる。かさ歯車とは、ある角度で交わっている2軸の間に回転運動を伝えるための歯車です。歯車は精度が大事なので歯車を選ぶ際には十分そのことを考慮に入れて考えたい。また、金属の歯車では熱による膨張があるのでプラスチックのものを使う。

    かさ歯車

    関連文書
    理工学社 初学者のための機械の要素[第2版] 真保吾一著