沼津高専 電子制御工学科
ロータリーエンコーダ調査報告書
MIRS0204-TECH-0006
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容 提出先
A01 2002.12.15 温水 初版 MIRS0204

1. ロータリエンコーダは…
   タイヤの回転数(アナログ量)をパルス数(デジタル量)に変換する機能を持っている。
   回転軸の回転速度に比例した,互いに90°位相の異なる2相の近似正弦波を出力しているもので、
   2相の位相関係から回転方向が判別できる。
   他に、2相の信号をカウントして回転数を求めることもできる。
   一般的な使用法は回転子の回転数の検出・速度の検出である。
  
   MIRSでは光電式(光学式のロータリエンコーダ)を使用する。このロータリエンコーダ部は大きく分けて
   マイクロエンコーダとロータリエンコーダモジュールの二つの部分から構成されている。
   その二つを組み合わせる事によりアナログ量であるモータの回転数をディジタル量でカウントしている。
     *マイクロエンコーダ…モータの回転数を90°位相がずれた変換させる矩形波に変換させる
     *ロータリエンコーダモジュール…FPGA内に構成され、モータの回転数をカウントする


2. 光電式ロータリーエンコーダの概要

  2.1 回転量の検出

     発光ダイオード(LED)と受光素子(フォトトランジスタ)が、回転軸に取り付けられた回転スリット(A)と
     固定スリット(B)をはさみ相対して取り付けられている。
     回転スリット(A)が回転すると、ダイオードの光がスリットによって通過、遮断を繰り返す。
     この光を受光素子により検出して、信号(パルス)に変換する。出力信号を2相にするため、
     固定スリット(B)のスリットは2つで、90°位相がずれている。(図1・図2参照)

                    ―  図1  ―
                               
                 ―  図2  ―


  2.2 回転方向(正・逆)の判別

               ―  図3  ―

図3において出力信号A,Bの位相差は常に90°であるが、回転方向により、ずれ方が異なってくる。
@の場合、B信号の立ち上がり時にA信号は必ず”H”になっているため回転方向検出信号は”H”になる。
Aの場合、B信号の立ち上がり時にA信号は”L”になっているため、回転方向検出信号は”L”になる。
このようにして回転方向の判別を行う事ができる。
(*パルス弁別回路…2相パルス出力型のエンコーダ正転/逆転を検出するために必要な回路。
 *カウンタ回路…ロータリエンコーダの信号をカウントし、2相の信号の位相差から回転方向を判断する回路。)

  2.3 回転数のカウント

  パルスのカウント法は、1,2,4逓倍の数え方がある。MIRSではA相、B相が0のときに
  どちらが立ち上るかを判別している。1逓倍を使っている。

 ―  図4  ―

  MIRS標準のマイクロエンコーダでは1回転するのに100パルス発生する。
  また、ギヤで回転を1/16に落としているので  回転数を求める場合は、以下の式で求められる。
      (タイヤの回転数)=(ロータリエンコーダカウント値)/1600

  2.4 回転速度の検出  

  A、Bの周波数は回転数に比例するからBのパルスを一定時間毎にカウントし回転数をデータ化する。
  データの読み込みはタイマー割り込みを使い、そのたびにカウンタはリセットされる

3. MIRSで使用するマイクロエンコーダの仕様

MIRSでのマイクロエンコーダは、maxonのモータと一体化したものです。

テクニカル・データ
供給電圧  5V(-10/+10%)
出力信号  TTLコンパチブル
立ち上がり時間  200ns
下降時間  50ns
チャンネル数  2
カウント/回転  100
使用温度範囲  -20/+85℃
コード・ホイール慣性モーメント  =<0.05gcm2
最大加速度  250000rad/s2
最大出力電流/チャンネル  5mA
位相差  90°e(-45/+45°e)
最大周波数  20kHz

4. その他

  MIRS競技で指定されている物以外のロータリエンコーダについて調査したところ、指定されている物より
  1.2倍から最大12倍の精度を得る事ができる物をいくつか見つけました。当然のことながら、
  精度が良くなるにつれて価格も上がるのでMIRSを製作する上でどの程度の゛正確さ゛が
  必要なのかを話し合った後決めたほうが良いと思います。