沼津高専 電子制御工学科 | ||||||
|
||||||
改訂記録 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
版数 | 作成日 | 作成者 | 承認 | 改訂内容 | ||
A01 | 2003.2.12 | 笠井 | 山田 | 初版 |
・標準のタイヤ
品番 ST-L26SH サイズ 26mm幅 コンパウンド(材質) Lラバー(スポンジ系) グリップに優れリアタイアに適します。 スーパーハード 硬度(目安) 約48度 適合車種 GPツーリングカー(GT-4W) 入り数 2ヶ 価格 \1,300
・タイヤは軽く
MIRSなどのようにすばやい前進、後進、左右方向転換をするマシンでは回転運動の慣性モーメントが出来るだけ小さい方が有利です。これは軽いタイヤは動きやすく、停止させやすいことから分かる。また慣性モーメントの性質から分かることだが、同じ重さのタイヤでも車軸の中心部を軽くするよりも周辺の接地面(トレッド)部分を軽くした方が有利である。またタイヤの直径を小さくするとスピードは下がるけど、トルク(回転力)はあがる。
・太いタイヤとそうでないタイヤ
F1マシンなどのレーシングカーではタイヤの幅が太い。これは有り余るエンジンのパワーを路面に叩き付けても滑らないための対策である。高速カーブのコーナリングの遠心力でマシンが横滑りしないために、太いタイヤがついています。
幅の太いタイヤは重くなるし、また転がり抵抗も大きくなる。限られたパワーのモーター、ギヤボックスから取り出せるトルクでは重いタイヤは負担以外の何者でもありません。狭い競技リング上でのすばやい動作が要求されるロボットのタイヤは、細い方が有利である。
タイヤの重さは15倍
マシン本体(車体やシャーシ)の重量に対して、タイヤや車軸などのシャーシの下にぶら下がり、動く部分の重さを「バネ下質量」という。自動車工学ではタイヤが回転している状態での「バネ下質量」は慣性モーメントの作用を考慮すると本体の重さの10倍から15倍の重さにを相当することが証明されている。
要するにタイヤ・ホイールを1kg軽くすれば、4本で4kgの15倍で60kgの軽量化に相当する。背負いかばんの重さはあまり影響ないけど、足に履くものを鉄下駄からスニーカーに変えると大きな違いが出てくる。これと同じである。
タイヤの断面は四角か丸か
ロボットのタイヤに限らず、タイヤの接地面をトレッドという。進行方向に対してタイヤの断面が幅広で四角(□)のものをスクエアショルダー、半円(∪)のものをラウンドショルダーという。先に述べたレーシングカーなどの幅広タイヤのトレッドはスクエアショルダーで地面とタイヤの設置面積が大きく強い摩擦が期待できますが転がり抵抗が大きい分パワーもタイヤに食われる。
なのでシンプルで小回りを必要とするロボットであれば、ラウンドショルダーのタイヤが有利です。さらにリング上の差や溝、轍(わだち)を乗り越えるためにはラウンド形状が必要である。
スクエアショルダーとラウンドショルダーの比較
スクエアショルダー
接地面が広い。平滑な路面と高精度名車軸、タイヤの加工が必要
ロボット同士の衝突、起伏のある競技リングなどの外乱要素が大きなロボコンでは、スクエアショルダーのタイヤトレッドの接触面積の変動がロボットの動きを大きく左右してしまう。
傾くと設置面積が激減し、操縦性が大きく変化してしまう。
衝突、転回、起伏のある路面が不得意であり、ロボット用タイヤに不向きである。
ラウンドショルダー断面
接地面が小さく転がり抵抗が小さい。多少、車軸やタイヤの精度が低くても実用になる。
小回りが利き、運動性能に優れる。
車体が傾いても、操縦性の変化は少ない。
段差や轍を乗り越えやすい。
車軸を斜めにする
自動車をよく見てみると、タイヤが必ずしも地面に対して垂直ではないことが分かる。真正面から自動車を見てみると、タイヤがほんの少し「ハ」の字、もしくは「逆ハ」の字になっていることに気がつくと思われる。ここに運動性能を左右する大きなポイントが隠されているのだ。
この微妙なタイヤの取り付け角度を「アライメント」といい、このほんのわずかかな角度の設定で、モーターの負担が減って、スイスイ走ったり、左右の旋回性能が劇的に変化してしまうのである。車軸のアライメントにはキャンバー角、キャスター角、トー角などいろいろある。ここではキャンバー角を取り上げる。
普通、タイヤを接地面に対して垂直にしていても、ロボットの車体全体に重さがかかったり、垂直方向に負荷がかかると車体は変形して、車軸がハの字に広がってししまう。このようなハの字の車軸の角度をネガティブ(-)キャンバーという。
この状態だと、タイヤのグリップ力が横方向に強くなり、速いスピードのコーナリングの際、横滑りしにくくなるが、モータの駆動力が食われてしまう。ありあまるパワーのレーシングカーやスーパーカーによく見られる。
反対の逆ハの字の車軸のセッティングをポジティブ(+)キャンバーという。タイヤの横方向へのグリップ力は低下するが、タイヤの中心線が路面の下で交わることにより軽い力で旋回することが出来、モーターのパワーロスをを押え、小パワーモータでは有利なセッティングで動きは随分軽快になる。
ただプロのレーサーはサーキットの特性に合わせて、あらゆるアライメントを調節してマシンのハンドリングを煮詰めていくように試行錯誤が必要で奥が深いものである。
潤滑スプレーで摩擦を減らす
開店が早く、狭い隙間には潤滑スプレー、回転が遅い部分やキャスターなどのベアリングにはグリーススプレーを吹きかける。