沼津高専 電子制御工学科
MIRSモータ技術調査報告書
MIRS0202-TECH-0011
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容
A01 2002.12.14 笠井 岩城 初版

  • DCモータとは

  •  一般的に言う直流モーターであり、直流電源で回すことができる。 DCモーターは制御用モーターとして非常に優れた回転特性を有している。 例えば、大きな起動トルク、電圧変化に対するリニアな回転特性、入力電流に対する出力トルクの直線性、出力効率の良さなどおよそ制御用モーターに要求されるすべての性能を兼ね備えたモーターといえる。
    ※トルクとは、モーターの回転力のことであり、これが大きいほどその出力パワーも大きくなる。 ここでトルクとは日本語に訳すと回転力ということになるが、このトルクは直線運動における推進力に相当する。 また、トルクの単位は[kgf・m]で表されるが、これをSI単位系になおすと[N・m]になる。

  • DCモータの基本
  •  電源電圧がモーターに供給されている時の関係式は、
         Ea=Ra×Ia+Ec
     Eaが供給された直後はモーターが回転していないので、Ecは0である。従って モーター起動時の式は、


         Ea=Ra×Ia
         Ia=Ea÷Ra
    である。Iaは、このモーターの起動時の電流であり、これがこのモーターの最大電流である。(この時モーターは最大トルクを生じる。最大トルクを生じるのはこの時と過負荷で動けない時であり、過負荷が最大トルクを上回っていて起動できない時、 W=Ia×Ra のジュール熱を生じ、その熱によりモーターを損傷する恐れがある。
     従って、負荷は最大トルクの30〜50%位にする。)



  • モータの電流と回転数との関係
  •  モータートルクTは一般に、モーター自身のトルク定数をKtとすると、流れる電流Iaに比例する。
         T=Kt×Ia
    これより、モーターに流れる電流は、
         Ia=T÷Kt
    となる。又、モーターの回転数Nは、逆起電圧Ecとほぼ比例する。
         Ec(N)=Ea-Ra×Ia より、
         N=Ec(N)/(Ec÷N')
    [Ec(N):モーター仕様の逆起電圧C[V](N'[rpm])]
    という関係がある。


  • モータ特性カーブ
  • DCモーターの特性を算出する公式
  • 標準のモータ
  •  
    モータ型番 : RE025-055-34-EBA201A


    table.2 モータデータ
    定格出力 20[W] 最大連続トルク 24.45[mNm]
    公称電圧 18.00[V] 公称電圧時最大出力 55200[mW]
    無負荷回転数 10200[rpm] 最大効率 83.2[%]
    停動トルク 219[mNm] トルク定数 16.3[mNm/A]
    回転数/トルク勾配 48.1[rpm/mNm] 回転数定数 585[rpm/V]
    無負荷電流 53.9[mA] 機会的時定数 4.63[ms]
    起動電流 13400[mA] ロータ慣性モーメント 9.19[gcm2]
    端子間抵抗 1.34[Ω] 端子間インダクタンス 0.12[mH]
    最大許容回転数 11000[rpm] 熱抵抗(ハウジング/周囲間) 14.00[K/W]
    最大連続電流 1500[mA] 熱抵抗(ロータ/ハウジング間) 3.10[K/W]