沼津高専 電子制御工学科
MIRS0202調査報告書 ロータリーエンコーダ
MIRS0202-TECH-
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容 提出先
A01 2000.12.16 岩城 山田 初版 MIRS0202

1 ロータリエンコーダとは

  1. 製品にコネクタを接続し、タイヤの回転数(アナログ量)をパルス数(デジタル量)に変換する機能がある。その変換方式には光電式、ブラシ式、磁気式などがあるが、 MIRSでは最も一般的な光電式を使用する。ロータリエンコーダには、外力によって回転シャフトが回転すると回転角度に比例したパルスを発生するインクリメンタル形と回転角度がデジタル値で出力されるアブソリュート形とがある。ロータリーエンコーダは、回転軸の回転速度に比例した、互いに90°位相の異なる2相の近似正弦波を出力しているもので、2相の位相関係から回転方向が判別できる。他に、2相の信号をカウントして回転数を求めることができる。
    一般的なロータリーエンコーダの使用方法は、回転子の回転数の検出、 更に、回転子の速度の検出である。
    MIRSのロータリエンコーダ部は大きく分けて2つの部分から構成される。一つ目は、モータの回転数を90度位相がずれた矩形波に変換させるマイクロエンコーダ、そしてその回転数をカウントするFPGA内に構成されるロータリエンコーダモジュールである。その二つを組み合わせることによってアナログ量であるモータの回転数をディジタル量でカウントしている。MIRSでは、光学式のロータリエンコーダを用いている。

2 光電式ロータリーエンコーダの概要

  1. 回転量の検出

  2. 発光ダイオード(LED)と受光素子(フォトトランジスタ)が、回転軸に取り付けられた回転スリット(A)と固定スリット(B)をはさみ相対して取り付けられている。回転スリット(A)が回転すると、ダイオードの光がスリットによって通過、遮断を繰り返す。この光を受光素子により検出して、信号(パルス)に変換する。出力信号を2相にするため、固定スリット(B)のスリットは2つで、90°位相がずれている。
    光電式ロータリエンコーダの概要      
    fig1.光電式ロータリエンコーダの概要
    ロータリーエンコーダからの出力信号は近似正弦波形であるので、これを波形整形回路でパルス波形にする。
    パルス       
    fig2.パルス

  3. 回転方向(正転/逆転)の判別
  4.  パルス整形回路からの出力信号A,Bの組み合わせには、回転方向により2つのパターンがある。
     
    パルスパターン       
    fig3.パルスパターン

     上記のように出力信号A,Bの位相差は常に90°であるが、回転方向により、ずれ方が異なってくる。
    @の場合、B信号の立ち上がり時にA信号は必ず”H”になっているため回転方向検出信号は”H”になる。
    Aの場合、B信号の立ち上がり時にA信号は”L”になっているため、回転方向検出信号は”L”になる。
    このようにして回転方向の判別を行う事ができる。

  5. 回転数のカウント
  6. カウント法       
    fig4.カウント法
    パルスのカウント法は、右図のように1,2,4逓倍の数え方がある。MIRSではA相、B相が0のときにどちらが立ち上るかを判別している1逓倍を使っている。MIRS標準のマイクロエンコーダでは1回転するのに100パルス発生する。また、ギヤで回転を1/16に落としているので回転数を求める場合は、以下の式で求められる。

    (タイヤの回転数)=(ロータリエンコーダカウント値)/1600

  7. 回転速度の検出
  8. A、Bの周波数は回転数に比例するからBのパルスを一定時間毎にカウントし回転数をデータ化する。データの読み込みはタイマー割り込みを使い、そのたびにカウンタはリセットされる

3 パルス弁別回路

 2相パルス出力型のエンコーダ正転/逆転を検出するために必要な回路。通常、このA,B相の動きよりup/downパルスを作り出し、必要桁数のup/downカウンタに入力し、カウンタの内容を読み取る事で回転量を知る事ができる。パルス弁別回路は、このup/downパルスを作り出す回路である。 
fig5.パルス弁別回路
  

5 マイクロエンコーダ

5.1 マイクロエンコーダの仕様

MIRSでのマイクロエンコーダは、maxonのモータと一体化したものです。 
fig6.ロータリーエンコーダの外形
  
テクニカル・データ
供給電圧  5V(-10/+10%)
出力信号  TTLコンパチブル
立ち上がり時間  200ns
下降時間  50ns
チャンネル数  2
カウント/回転  100
使用温度範囲  -20/+85℃
コード・ホイール慣性モーメント  =<0.05gcm2
最大加速度  250000rads-2
最大出力電流/チャンネル  5maA
位相差  90°e(-45/+45°e)
最大周波数  20kHz