沼津高専 電子制御工学科
赤外線センサ調査報告書
MIRS0202-TECH-0001
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容
A01 2003.05.02 小野田 山田 初版


1.目的
       MIRSに搭載する赤外線センサ、特に指向性と信号の処理方法について詳しく調査する。


2.調査報告


    1.赤外線センサについて

      1.1 赤外線センサとは

             赤外線センサとは、照射光(MIRSでは赤外線センサLEDにより放射)のフォトン(光子)エネルギーを何らかの形で変換し、電気的に扱えるようにするものである。


      1.2 赤外線センサの特徴

            ・人間の視覚を刺激しないでものを見ることができること

  ・対象物の温度を遠くから比接触で瞬時に測定できること


      1.3 量子型素子

            ・フォトンを吸収しキャリアを励起することによって直接赤外線を検出するセンサ。

  ・熱型センサより100〜1000倍の検出能力を持つ。

  ・しかし、動作温度が低いために通常は液体窒素などで冷却の必要がある。
  よって、MIRSでの使用は不可能である。


      1.4 熱型素子

            ・すべての波長において使用できる受光素子。
  「焦電型」「サーモパイル」「サーミスタ」など。

  ・これらの素子は、赤外線エネルギーを熱として吸収し、
  それによる温度上昇で表面電荷や熱起電力、

  ・量子型素子と違って常温での動作が可能だが、感度が低く、
  焦電型を除いては応答速度が遅いという短所がある。



    2.使用する素子について

      2.1 発光側

            赤外線LED  TLN105B

  ・特徴

    ・放射強度が大きい。

    ・指向特性が広い。

    ・光出力の直線性が良く、パルス動作、高周波による変調が可能。


      2.2 受光側

            IS1U60

  ・特徴

    ・OPICによる1パッケージ化を実現

    ・電磁シールド内蔵により、電磁ノイズの影響を受け難い

    ・BPF、中心周波数調整済み(38KHz固定)

    ・非球面レンズ採用

  以下にこの素子の写真を添付する。


      2.3 赤外線送信機の射程距離及び指向特性

            理論値による射程距離及び指向特性は以下の図のようである。
            直線送信距離は1.0m、指向角送信距離は0.6mであり、指向性は 60度である。


      2.4 赤外線受信機の射程距離及び指向特性

            理論値による射程距離及び指向特性は以下の図のようである。

            直線受信距離(Φ=0度)はL=0.2〜5.0m、指向角受信距離はL=0.2〜3.0mであり、

  X方向指向性は60度(-30度≧Φ≦30度、θ=0度)

  Y方向指向性は30度(Φ=0度、 -15度≧θ≦15度)である。



      2.5 発光側の定格及び特性

         
  2.5.1 外観




            2.5.2 最大定格

最大定格(Ta=25)
項目 記号 定格 単位
直流順電流 IF 100 mA
直流順電流低減率(Ta>25℃) ΔIF/℃ -1.33 mA/℃
パルス順電流 IFP(注) 1 A
直流逆電圧 VR 5 V
許容損失 PD 150 mW
動作温度 Topr -20〜75
保存温度 Tstg -30〜100


  (注)パルス幅≦100μs、繰り返し周波数=100Hz

  2.5.3 電気的特性

電気的特性(Ta=25℃)
項目 記号 測定条件 最小 標準 最大 単位
順電圧 VF IF=100mA --- 1.35 1.5 V
逆電圧 IR VR=5V --- --- 10 μA
放射強度 IE IF=50mA 12 20 --- mW/sr
光出力 PO IF=50mA --- 11 --- mW
端子間容量 CT VR=0,f=1MHz --- 20 --- pF
ピーク発光波長 λP IF=50mA --- 950 --- nm
スペクトル半値幅 Δλ IF=50mA --- 50 --- nm
半値角 θ1/2 IF=50mA --- ±23.5 --- °


  2.5.4 波長特性

      (標準値、IF=50mA、Ta=25℃において)



  2.5.5 製作における注意

    ・リードフォーミングする時は、リードのストッパ部より先端部分で、
  素子本体にフォーミングストレスが残らないように曲げ、
  半田付けはリードフォーミングのあとで実施すること。

    ・半田付けは、リード線のストッパ部より先端部分で行う。

    ・半田付けの温度は、260℃以下。時間は5秒以下とする。



      2.6 受光側の定格及び特性

            2.6.1 構成図


  2.6.2 絶対最大定格

項目 記号 定格値 単位
電源電圧
CC 0〜6.0
動作温度
opr
※1  −10〜60
保存温度
stg
−20〜70
半田温度
sol
※2           260
  ※1  結露してはいけない。  ※2樹脂端面より下部の位置で5秒間以内

  2.6.3 推奨動作条件

項目 記号 動作条件 単位
電源電圧
CC
4.7〜5.3


  2.6.4 電気的特性

項目 記号 最小 標準 最大 単位 備考
消費電流
CC
2.8 4.5
mA
入力光なし、出力端子OPEN
Hレベル出力電圧
OH
CC−20
※3、出力端子OPEN
Lレベル出力電圧
OL
0.45 0.6
※3、プルアップ抵抗2.2kΩ
Hレベルパルス幅
1
400
800 us ※3
Lレベルパルス幅
2
400
800 us ※3
B.P.F中心周波数
0
38
kHz
 
      下図に示すバースト波を、送信機にて送信するものとする。



    3. 回路構成

4. ポストナンバー伝送方法

            4.1 伝送命令
  ポストが何番かを示す伝送命令は、次のような、1ワード12ビットの構成になっている。
            4.2 コードビット
  コードビットとは、赤外線の信号をいろんな機種で対応できるようにする為のコード。

            4.3 連続・単発信号&コード
  伝送命令には、単発信号と連続信号による、信号伝達方法がある。

   4.3.1 単発信号
単発信号とは、単発信号キーが押された場合。次のような単発信号が2サイクル出力されて終了するような、命令伝達信号。
   コード(H S1 S2)=0 1 0 or0 0 1
   4.3.2 連続信号 連続信号キーが押されている場合に、次のような連続信号が2サイクル出力されて、208a休止し、また2サイクルされて208a休止を連続的に繰して出力するような命令伝達信号。
   コード(H S1 S2)=1 0 0
            4.4 データコード
  下位の6ビットの0,1信号を変化させる事によって、ポストから出力される送信波が変化して各ポストにナンバーをつけることができる。また、MIRSもこの送信波形を頼りに、目的のナンバーのポストを探し出す事ができる。

            4.5 送信波形
  送信基本波形(今回は発信周波数が455KHz)は、次のように表される。



  各ビットの時間aは発信周波数fxにより決定されている。

a=(1/fx)×192 [sec]
            4.6 ビット0,1の区別
  送信基本波形の各、コードの0,1は次のように表されている。