沼津高専 電子制御工学科
MIRS0105 基本設計書
MIRS0105-DSGN-0003
改訂記録
版数 作成日 作成者 承認 改訂内容
A01 2002.1.22 全員 中澤 初版
A02 2002.1.24 全員 中澤 機体_図の貼りつけ
A03 2002.1.30 瀬川 中澤 文書校正
A04 2002.2.3 瀬川 中澤 外観図の訂正
A05 2002.2.12 瀬川 中澤 文書校正

目次

  1. はじめに
  2. システム概要
    1. ハードウェア
    2. ソフトウェア
    3. 競技会行動計画
  3. 機体解説
    1. 外観
    2. 機能性能
  4. ハードウェア構成
    1. システム構成ツリー
    2. エレクトロニクス回路構成/機能
    3. エレクトロニクス回路基板外形
    4. ソフトウェアビジビリティ
  5. ソフトウェア構成
    1. MIRS標準ライブラリ
    2. 動作モードとその遷移
    3. モジュール定義
    4. モードの構成要素
  6. システム試験

1.はじめに

本仕様書はMIRS2001競技規定に基づき、MIRS0105チームの作成する自律型小型知能ロボットの基本仕様を記述する。

2.システム概要

2.1 ハードウェア

MIRS0105 systemのハードウェアは標準MIRS (注1) に準ずる構成を有するが、MIRS0105固有の機能を実現するためにいくつかの変更点がある。以下、標準MIRSと異なる点のみ述べる。
(注1)2000年1月現在、標準MIRSは5年生卒研のATL-MIRS Projectで開発中である。
開発ドキュメントはMIRSATLM ドキュメント管理台帳を参照のこと。

2.2 ソフトウェア

RT-Linux(Ver.2.3)をOSとし、Linuxのユーザプロセスとして行動制御プログラムを起動する。赤外線センサ、タッチセンサからの入力は、行動制御プログラムから、定期的にドライバーを呼び出すことにより監視する。走行系の制御と超音波センサ、白線検知センサの制御は、RTタスクによって行い、RT-FIFO を介して必要なデータ通信を行う。 また、プログラムはC言語でコーディングする。

2.3 競技会行動計画書

  1. 側面の超音波センサを使用しながら、スタート位置で時計回りに回転する。
  2. 超音波センサによりポストを感知したら、左90°回転してポストに対して正面になるようにして接近する。
  3. ポストからの赤外線信号の確認をする。
    1. ポストに接近しながら、赤外線センサで正面にスイッチがあるか確認する。
      • 正面にスイッチがあったら、超音波センサでポストとの距離を測り、5cm手前で止まる。
      • 正面になかったら、そのままポストに接触して5cm下がる。
    2. 左に90°回転してポストと平行するような形をとり、ポストの周りを時計回りに回転する。
      《このときポストとの距離5cmを保つ。》
    3. 右側面部の赤外線センサでスイッチの信号を確認して、ソフト上で記憶する。
    4. そのポストが獲得すべき番号のポストであったら[X]ポストの獲得へ移行する。
    5. 確認次第、回転開始位置に戻る。

  4. ポストの探索をする。
    1. 側面の超音波センサを使用しながら、ポストの周りを時計周りに回転する。
    2. ポストを感知したら停止して、左に90°回転してポストに対して正面になるような形をとる。
    3. 前面赤外線センサと超音波センサを使用してポストに接近。
    4. その後は[V]ポストからの赤外線信号の確認へ移行。

  5. ポストの獲得
    1. 赤外線を確認した後、右に90°ポストに対し正面になるような形で、ポストに接触する。
    2. 前面部赤外線センサでスイッチが押されていることを確認する。
    3. 5cm下がり、左に90°ポストと平行になるように回転する。
    4. その後[W]ポストの探索へ移行。

  6. 今までの動作で獲得可能なポストがなくなるまで[V〜X]の動作を繰り返す。
  7. 獲得可能なポストがなくなったら[[]の中心探索へ移行。
  8. 中心探索をする。これは次に獲得すべきポストが見つからない場合、現在確認済みの全てのポストを獲得した時にする動作である。
    1. ポストの周囲を回転しながら側部の超音波センサでポストを探す。
    2. 最初に感知したポストでなく、2番目に感知した所で停止する。
    3. 左に90°回転してポストに対し正面になるような形でポストに接近する。
    4. その後[V]ポストからの赤外線信号の確認へ移行する。
      • 確認したポストが新たに獲得すべきポストでなかった場合、来た道を戻り再度探索する。
        《この場合は次に感知したポストへ向かう。》
      • 新たに獲得すべきポストであった場合、[X]ポストの獲得へ移行。
    5. 獲得後来た道を戻り、[W]ポストの探索へ移行する。
      《この時に限り[W]ポストの探索の最初の回転は180°行い、全てのセンサは使用しない。》

  9. 中心探索終了後も[V〜X]の動作を繰り返す。

    注:白線を越えそうになったら、反転して自己回転探索モードに移行する。

3.機体解説

3.1 外観



3.2 機能性能


4.ハードウェア構成

4.1 システム構成ツリー

下記にシステムの構成を示す。

  1. 設計は基本的にツリーの上位から行われ、組立は下位から行なわれる。
  2. 組立の順が狂ってはならない。とくに前段階で組み立てたものをその上の段階に組み立てるときに分解等の作業があってはならない。
  3. 保守交換単位は一つの枝で構成されなければならない。また、保守交換単位の交換時に、交換作業が容易に行なえるような構造でなければならない。つまり、システムをバラバラにしなければ交換できないような構造にしてはならない。授業では保守部品まで作成しないが、製造不良による故障が多発するので修理作業が容易に行える構造になるように心がける。
  4. 電子回路も機構もソフトもこのツリーに包含されていなければならない。
  5. 試験検査仕様書や取扱説明書をも含んでいなければならない。



4.2 エレクトロニクス回路構成/機能


MIRS0105 エレクトロニクス回路図



各部の機能
  1. ロータリーエンコーダ
     タイヤの回転数をパルスに変換して、回転数と速度の検出を行うものある。これは、タイヤの回転に伴うスリットの回転によりLEDの光を通過、遮断を繰り返させ、その通過した光を受光素子で検出した後、信号に変えるカウンタ回路と方向判別を兼ね備えているものである。コネクタを製品に接続し、タイヤの回転数(アナログ量)をパルスは(デジタル量)に変換する機能がある。MIRSでは一般的な光学式のものを使用する。 ロータリーエンコーダは回転軸の回転速度に比例した、互いに90°位相の異なる2相のパルス波を出力しているもので、2相の位相関係から回転方向が判別できる。他に、2相の信号をカウントして回転数を求めることができるものである。 MIRS0105 ロータリーエンコーダ技術調査
  2. モータ
     モータは駆動部分であり、これによりMIRSを動作させる。  DCモータは電源から供給される電力に応じて回転力(トルク)を発生する電気エネルギーを機械エネルギーに変換するものである。これは直流モータで直流電源で動作させる。  モータはPWM制御部からのパルスによってエネルギーを供給されることにより動作する。このパルス幅を変えることによりモーターへの供給エネルギーを調整し、モータの回転数を調節することが出来る。 MIRS0105 モータ技術調査
  3. 赤外線センサ
    赤外線センサ回路は赤外線の受光状態を反応の有り、無し以外に、連続するパルスの組み合わせによってそのポストの数字を識別する。この回路は赤外線センサの受光素子から送られてくるH 又は Lの信号を処理し、信号に状態変化が起きたときに割り込み要求信号をCPUに送る機能を有する。
    MIRS0105 赤外線センサ技術調査
  4. 白線検知センサ
    白線センサ回路は赤外線の受光状態を2つの値(反応の有り、無し)で受け取る。この回路は赤外線センサの受光素子から送られてくるH 又は Lの信号を処理し、信号に状態変化が起きたときに割り込み要求信号をCPUに送る機能を有する。
    MIRS0105 白線センサ技術調査
  5. FPGAボード
    FPGA (Field Programable Gate Array) とは、自由に論理回路を書き込める集積回路の一種で、なかでも比較的規模の大きなものを指す。 MIRS0105ではFPGAボードを使用して以下のことを実現する。
    • タッチセンサ信号の処理
    • 赤外線センサ信号の処理
    • 超音波センサ信号の処理
    • 白線検知信号の処理
    • パワーオン信号の処理
    • ロータリーエンコーダ信号の処理
    • LCDパネル制御信号の処理
    • モーターパワー制御信号の処理
    • Hardware割り込みの処理
    • 上記の各入出力機能の制御
    MIRS0105 FPGAボード技術調査
  6. LCDパネル
    LCDとは液晶ディスプレイ(LCD=Liquid Crystal Display)のことで、液晶を使った文字や絵の表示装置全般をさす。 MIRSではこのLCDパネルを使用しMIRSの状態を文字で表示する。今回のLCDは16文字2行。 MIRS0105 LCDパネル技術調査
  7. 電源ボード
    1. 各ボードの電源として+5Vの電圧を出力する。
    2. 非常停止スイッチ用コネクタにより、モーターの電源のみをカットする事を可能にする。
    MIRS0105 電源ボード技術調査
  8. 超音波センサ
    送信信号により超音波を発信し、その超音波の受信により受信信号を出力する MIRSにおいて、ポストの検知・距離測定の確認をするセンサ。 MIRS0105超音波センサ技術調査
  9. タッチセンサ
    マイクロスイッチを用い、スイッチ押下時のチャタリングを除去した信号を送る。 障害物(ポスト)に衝突した場合、もしくはポストのスイッチを押したときMIRSがこれを認識するためにこれを使用する。 MIRS0105タッチセンサ技術調査
  10. CPUボード
    MIRSの情報処理、姿勢制御、駆動制御など各種演算を行うためのCPUを積んでいてISAラックに積みこむことができ、ISAバスに差し込みが可能。 MIRS0105 CPUボード技術調査
  11. ドータボード
    MIRS0105 ドーターボードは、FPGAボードで行っているATLMIRS独自の入出力機能の制御を補助するためのボードである。この機能を実現するためにMIRS0105 ドーターボードは以下のような機能を持つ。

    • ドーターボードを通してFPGAボードにつながる各基板に電源(5V GND)を供給する。
    • 液晶ディスプレイボードのコントラストアドジャストを行う。
    • タッチセンサ(マイクロスイッチ)から入力されるスイッチ入力のチャタリング除去を行う。
    • 超音波センサ選択信号によって選択された超音波センサをFPGAボードの超音波センサ信号処理モジュールに接続する。
    • FPGAボードから送られてくるMPC信号を用いて、MPCボードのフォトカプラを動作させる。
    • PDボードから送られてくる駆動系電源ON信号からパワーオン信号を作ってFPGAボードに出力する。
    MIRS0105 ドーターボード技術調査
  12. PWM制御
      PWM回路では、モータを制御する信号であるPWM信号を作り出し、方向データとともに出力する。速度データとカウンタのカウント値との比較によりPWM信号を形成する、この信号のDuty比は0%から100%で、これを128段階に分けている。
    • 利点
      PWM制御法は、電力パルスがONの時だけモータ電流を流し、それ以外は休んでいるためその間トランジスタなどの負担が軽くなる。
    • 欠点と対策
      オフタイム中に起こる事で、モータもコイルがある限り、そこには必ず何がしかのインダクタンスを有するので、これにオフ時の自己誘導作用が発生し、大きな逆起電力を誘発する。これは、制御用トランジスタを破壊するだけでなく、非常に大きな雑音を周囲に巻き散らし、ひいては大きな電磁波障害となる。 これを解決したのがダイオードD1で、一般にこれをフライホイールダイオードと呼んでいる。この働きは、モーターオフ時に誘発する逆方向の電力をダイオードを介して同じモータに回生してやる事である。こうすることによって、高レベルの電気雑音が抑制されるだけでなく、そのエネルギーをオフタイム中、モータに流す事が出来るので、モーター電流が連続的となり、その結果エネルギー効率が上がり、なおかつモーターの動きもスムーズになる。
    MIRS0105 PWM制御技術調査

4.3 エレクトロニクス回路基板外形

  1. 下記については標準MIRS基板を使用するので MIRS データベースを参照すること。
  2. ドータボード
    • FPGA の20pin ジャンパコネクタに接続したとき、ISA ラックに収納可能なこと。
    • IO 接続がコネクタが ISA ラックの外に出て、ケーブルの取外しが容易であること。ただし、不必要にラックの外に飛び出さないこと。


      PD  : 電源ボード
      MPC : モーターパワー制御モード
      USS : 超音波センサボード
      IRS  : 赤外線センサボード
      TS  : タッチセンサ
      RE  : ロータリーエンコーダ

      MIRS0105ドータボード技術調査

4.4 ソフトウェアビジビリティ

本システムのソフトウェアビジビリティはATL-MIRSソフトウェアビジビリティ(暫定版)の仕様と同一である。

5.ソフトウェア構成

5.1 MIRS標準ライブラリ

ATL-MIRS用に開発された標準ライブラリを使用する。
ATL-MIRS標準ライブラリユーザマニュアル(現在作成中)
参考 MIRSATLM ソフトウェア設計仕様書

5.2 動作モードとその遷移


モード遷移図

※探索モードUはポストの配置等によって目的のポストが5回以上見つからなかった場合から探索モードVに切り替わる。

5.3 モジュール定義

5.4 モードの構成要素

6. システム試験

システム試験はシステムの組立が完了した段階で、基本設計書の内容に適合しているかどうかを試験する。システム試験を実施する際には、各サブシステムで規定されるサブシステム試験に合格していなければならない。 試験は以下の項目について行われる。
関連文書