沼津高専 電子制御工学科 | ||||||
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改訂記録 | ||||||
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版数 | 作成日 | 作成者 | 承認 | 改訂内容 | ||
A01 | 2002.02.06 | 渡辺 | 中村 | 初版 |
a.)モーターに発生する力Fはフレミングの左手の法則より
b.)電気系の方程式はキルヒホッフの法則により次式が成り立つ。
上のことより次のことが考えられる。
トルクはFに比例するのでフレミングの左手の法則より、i(t)に比例することが分かる。また回転数Nはコイルの移動速度v(t)がに比例する。そしてフレミングの右手の法則より逆起電圧eiと回転数Nが比例することが分かる。よって回転数Nがあがれば逆起電圧があがり、コイルを流れる電流i(t)が下がり、トルクが下がる。
一般的に言う直流モーターであり、直流電源で回すことができる。DCモーターは制御用モーターとして非常に優れた回転特性を有している。例えば、大きな起動トルク、電圧変化に対するリニアな回転特性、入力電流に対する出力トルクの直線性、出力効率の良さなどおよそ制御用モーターに要求されるすべての性能を兼ね備えたモーターといえる。
※トルクとは、モーターの回転力のことであり、これが大きいほどその出力パワーも大きくなる。ここでトルクとは日本語に訳すと回転力ということになるが、このトルクは直線運動における推進力に相当する。また、トルクの単位は[kgf・m]で表されるが、これをSI単位系になおすと[N・m]になる。
・機械的時定数τm
また次のようなこともモーターの選定のときに考えるとよい。 電源電圧がモーターに供給されている時の関係式は、
Tt=Ta+To=Ke・I
Ec=Ke・ω
Ea=Ec+Ra・I
N=Na・(1-[T/Ta])=Nt・(1-[T/Tt])
ω=(Ea-Ra・I)/Ke=(Ea/Ke)-((Ra・To)/Ke2)-((Ra・T)/Ke2)
η=(2πNT)/(EaI)
3.モータの特性カーブ/性能
モーターのトルクをあげるにはモーターの原理から
A固定磁石の磁界を強くする。(強力な磁石に変更する。)
Bコイルの巻き数を多くする。
Cブラシの接触抵抗を下げる。
D回転数を上げギヤ比を多くする。
などが考えられる。ただし回転数をあげることと、モーターのトルクをあげることは逆の操作なので無駄にトルクがあると良くない(回転数が下がるため)。また。回転数が高すぎても良くない(マシンが動かなくなるため)。もしも改造をするときは自分たちのマシンのことを良く考慮する必要がある。
また必要なトルクを得るためには減速機(ギヤ比)のことも考慮しなければならない。
またモーターを含めた駆動系の善し悪しはモーターの特性だけではなくほかの要因もある。それはモーターの電気的な起動特性や機械的な起動特性も考えられるからである。これはモーターがコイル、つまりインダクタンスの成分を持っているため、モーターが動き始め、一定の速度になるまでの電圧の上がり方などはeの関数の形を持つからである。そしてその曲線が最終値の63%になるまでの時間を時定数といい、これを小さくすることで最終値、つまり安定した値になるまでの時間を小さくすることが出来る。
これより、巻線抵抗が大きく、等価インダクタンスが小さければ良いことが分かる。
where:
Jm:ローターイナーシャ
Ra:巻線抵抗
Ke:逆起電力定数
KT:トルク定数
このことよりJm,Raは小さく、Ke,KTを大きくすればいい。
・N-Tカーブのリニアリティをよくする。理想的にはトルクTと電流iは比例、トルクTとN
負の比例関係になるが、実際は、Nの上限で特性が曲がったり、下限でリプルを生じる。したがって、多スロット型、スロットレス型のモーターを選ぶ必要がある。
*リプル・・・・出力トルクの変動分を、平均トルクに対する百分率で示すもの。この値が大きいと軸振動や騒音がひどくなる。
*スロット・・・・スロットとは、回転子鉄心の"溝"である。これがあると、軸の固有振動数が変わるので、それによってモーターの振動との共振を避け、騒音を抑えられる。スロットレスモーターはスロットを持たないものをいうが、別名で平滑鉄心モーターとも言う。−解説
a.)DCモータの基本
Ea=Ra×Ia+Ec
Eaが供給された直後はモーターが回転していないので、Ecは0である。従ってモーター起動時の式は、
Ea=Ra×Ia
Ia=Ea÷Ra
である。Iaは、このモーターの起動時の電流であり、これがこのモーターの最大電流である。(この時モーターは最大トルクを生じる。最大トルクを生じるのはこの時と過負荷で動けない時であり、過負荷が最大トルクを上回っていて起動できない時、 W=Ia2×Ra のジュール熱を生じ、その熱によりモーターを損傷する恐れがある。
従って、負荷は最大トルクの30〜50%位にする。)
4.MIRSで使用するモータのデータ
maxon DC モータ
モータデータ
定格出力
20[W]
最大連続トルク
24.45[mNm]
公称電圧
18.00[V]
公称電圧時最大出力
55200[mW]
無負荷回転数
10200[rpm]
最大効率
83.2[%]
停動トルク
219[mNm]
トルク定数
16.3[mNm/A]
回転数/トルク勾配
48.1[rpm/mNm]
回転数定数
585[rpm/V]
無負荷電流
53.9[mA]
機会的時定数
4.63[ms]
起動電流
13400[mA]
ロータ慣性モーメント
9.19[gcm2]
端子間抵抗
1.34[Ω]
端子間インダクタンス
0.12[mH]
最大許容回転数
11000[rpm]
熱抵抗(ハウジング/周囲間)
14.00[K/W]
最大連続電流
1500[mA]
熱抵抗(ロータ/ハウジング間)
3.10[K/W]
運転範囲
5.予備知識
a.)DCモーターの特性を表す記号
記号
名称
単位
記号
名称
単位
Tt
全発生トルク
N・m
Ea
電機子端子電圧
V
Ta
有効出力トルク
N・m
N
回転数
rps(rpm)
To
損失トルク
N・m
Ra
電機子抵抗
Ω
Nt
無損失時の無負荷回転数
rps(rpm)
Ec
逆起電圧
V
Na
無負荷回転数
rps(rpm)
η
効率
%
It
起動電流
A
ηm
最高効率
%
Io
無負荷電流
A
W
出力
W
Km
トルク定数
N・m/A
Wm
最高出力
W
ω
回転角速度
rad/sec
Ke
逆起電力定数
V/rpm b.)DCモーターの特性を算出する公式
[全発生トルク]=([有効出力トルク]+[損失トルク])=[逆起電力定数]・[電流]
[逆起電圧]=[逆起電力定数]・[回転角速度]
[電機子端子電圧]=[逆起電圧]+[電機子抵抗]・[電流]
[回転数]=[無負荷回転数]・(1-(T/[有効出力トルク]))=[無損失時無負荷回転数]・[1-(T/[全発生トルク])]
[回転角速度]=(([電機子端子電圧]-[電機子抵抗]・[電流])/[逆起電力定数])-(([電機子抵抗]・[損失トルク])/[逆起電力定数]2)-(([電機子抵抗]・[トルク])/[逆起電力定数]2)
[効率]=(2π・[回転数]・[トルク])/([電機子端子電圧]・[電流])参考文献
・maxon motor
・MIRS0005のモータ技術調査