1997.01.XX 菊池篤史 山口容平 作成

ロータリーエンコーダの調査研究




1. ロータリエンコーダの種類


 ロータリエンコーダには回転量をパルス数に変換する機能がある。その変換方式により、光電式、ブラシ式、磁気式などがある。
 また出力パルスの形式により、インクリメンタル型(変位のみの情報を出力)とアブソリュート式(絶対位置を出力)の2つに大別される。一般の機械系では、初期動作で原点復帰を行うのでインクリメンタル型を使用する場合が多い。ここでは最も一般的な光電式、安価で構造も小さいインクリメンタル型を使用する。

2. 機能性能


 このボードは、ロータリ・エンコーダからの信号を取り込み、カウンタでカウントし、CPUの要求に応じてカウント値を出力するものである。また、タッチセンサの信号を取り込みスイッチの状態を調べ、スイッチ割込みの割込み信号を発生させるのも、このボードである。

・ロータリ・エンコーダは、a、b2相入力式のものを、2個まで取り付け可能である。
・カウンタは、12ビット・バイナリ・アップ・ダウン・カウンタを用いる。
・駆動輪が逆転の時にはカウンタはダウンカウントし、0以下になるとカウント値は2の補数表示となる。
・データ出力は、8ビットのパラレルデータを2回に分けて出力する。
・タッチセンサは、最高3個まで取付可能である。
・タッチセンサの割り込み信号は、3つのセンサの入力のORとする。

3.機能のブロック構成


6つのブロックから本機能は構成される。
(1)ロータリ・エンコーダ
(2)波形整形回路
(3)方向検出回路
(4)カウンタ回路
(5)ラッチ回路
(6)マルチプレクサ

4.光電式ロータリエンコーダの概要


(1)回転量の検出

 2枚のスリット円盤A,Bを挟んで発光ダイオード(LED)と受光素子(フォトトランジスタ)が相対して置いてあり、回転スリット(A)が回転する事により、LEDの光が透過/遮断する。この光を受光素子で検出することで回転したか否か判断する。出力信号を2相にするため、固定スリット(B)はスリットが2つに分かれている。
 


 各端子における波形の例を左に示した。aでは不定形な波形が、bでは定形なパルスに、更にアンプを通して+5Vになる。ZERO相はエンコーダ1回転につき1パルス。
 


(2)波形整形回路

 ロータリエンコーダからの出力信号(A相、B相)は近似正弦波形であるので、これをパルス波形(Ap、Bp)に変換する。OPアンプをコンパレータとして使用し、スレッショルド電圧によりHレベルとLレベルに分けられる。また、HLとL→Hの場合のスレッショルド電圧の違いを利用すれば、多少のノイズにも耐えられる。

(3)方向検出回路

 波形整形回路から出力されたAp,Bpはそれぞれ90度位相がずれている。正転の場合はApがBpに対して位相が進み、逆転の場合はApが遅れる。ここでは、この位相差を利用して方向を検出する。
 正転の場合、Bpが立ち上がるとき、ApはHレベルであり、逆転の場合、ApはLレベルである。Apのエッジ検出とBpの論理積で方向検出回路は作られる。

(4)カウンタ回路

 パルスApをカウントするI/Oポートは8ビットあるが、回転方向を示すのに1ビット使うので残る7ビットを使用する。実現を容易にするため16進カウンタを2個つなげた256進カウンタを使用し、その最上位ビットは使用しないものとする。

(5)ラッチ回路

 I/Oポートで値を引き渡す場合には一定時間、値を変化させないようにする必要がある。しかし、カウンタを止めてしまうと値が不正確になるため、ラッチを利用する。リセット信号の立ち上がりでラッチする。

(6)マルチプレクサ

 左右のデータを読み分けるために使う。左右独立して使用すれば必要ではないが、ポート数が不足する場合必要である。セレクト用に1ビット増えるが、データのビット数は半分になり、結果として使用ビット数は7ビット減る。


参考文献 mirsdoc/mirs95/mirs9501/enc.sam


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